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1on1が待ち遠しくなる上司の面談力(4)オンラインで話すとき

キャリアコンサルタントの松岡澄江です。

せっかく1on1をやるならば、上司と部下にとっていい時間になって欲しい!そんな願いを込めて、この連載では「上司の面談力」についてお伝えしています。過去記事はマガジンにまとめていますのでこちらをご覧ください。

今はリモートワークも増えて、オンラインで話すのが日常になっている会社も多いですよね。オンラインで1on1、うまく機能していますか?

私の場合、昨年からキャリアカウンセリングはほぼオンラインとなりました。オンラインでの面談は、最初はリアルとの違いにかなり戸惑いました。傾聴スキルがうまく発揮できず、相手とのテンポを合わせるのが難しかったこと、時折回線の関係で聞き取りづらい部分があること、相手の表情があまり変わらないこと・・・等々。一つひとつはちょっとしたズレですが、積み重なると面談の効果に影響すると感じました。オンラインでも面談をよりよい時間にするために、相手に話しやすい環境をつくるポイントがあります。ぜひオンライン1on1に活用してください。

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オーバーアクションとカメラ目線

オンライン会議の時、カメラonになっていますか?最近は、『自宅内を見せたくない』とか『服装が整っていない』等の理由で、カメラoffでオンライン会議を実施しているケースも増えているそうです。いろいろ事情はあるでしょうが、『一日に1度、みんな顔を見せること』はリアルな出社環境と同様、仕事上の信頼関係には大事かなと私は思います。特に個別で話をする1on1の際はカメラonでお願いします。

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まず、オンラインでの面談時に私が注意していることは、『目線』です。オンラインではみなさんPCの画面を見ています。見ている画面と映しているカメラの位置がずれるので、アイコンタクトが難しいのです。私は、モニターの上にWEBカメラを設置しているので、画面を見ていると相手と目線が合いません。そのため意識的に時々カメラに目線を合わせるようにしています。カメラにばかり目線を合わせていると、画面上の相手の表情が見えませんので行ったり来たりしている感じです。ずっとではなく時々でもいいので、相手との『目線が合う』状況を意図的に作ってみてください。

そして、リアルよりも強く意識して欲しいのは『表情』です。だいたいみなさん真剣に画面を見ているので、どうしても『真顔』になります。思っている以上に『無表情な顔』になっています。リアルであれば自然に柔らかい表情をつくれる人も、オンラインだと画面を注視する環境上、柔和な表情を維持するのが難しくなります。オンラインの1on1では、いつも以上に表情をやわらかく、口角を上げていてください。

さらに、取り入れていきたいのは『オーバーアクション』です。画面では上半身が固定されているように見えます。そこに変化がないと、話のテンポが上がらなかったり盛り上がらなかったりします。いつもよりオーバーアクションで、画面に変化をつけてください。例えば・・・

「一つ聞いてもいいかな?」と何かをたずねる時、手で1をつくってカメラに映る位置に持ってくる。「それいいね」とあいずちを打つ時、いいねを手で表現する。拍手をカメラに映るように行う。等

相手も、オーバーアクションによって話を受け取ってもらえている実感が持てます。それが『話したい気持ち』につながっていきます。

お互いが空気を感じられないオンラインだからこそ、積極的に上司から表現していきましょう。

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うなずきと要約で「聴いていること」を伝えよう

オンライン上での1on1は、お互い違う環境でバーチャルに話をしているので、いつもより『聴いていること』を伝える意識を強く持ってください。そのためには、オーバーアクションに加えていつもより大きめのうなずきと、こまめなあいづちが重要になります。

大切なのは、全身を使って相手に『話を聴いているよ』というメッセージを伝えることです。

オンラインだと会話にちょっとした間が空くこともあります。それも加味して、相手の話すテンポに合わせたわかりやすいあいづち(「へえ~」「そうなんだ」「ふ~ん」「うん、うん」「そっか~」)をしていくと、お互いの呼吸が合ってきます。呼吸があってくると話しやすいと感じます。ちょっとしたことですが、相手が『話したい』と心が動くために重要なことなのです。

うなずきやあいずちに加えて、相手の話を要約して返すことも、『話を聴いている』ことを表現する方法です。

「つまり~~だったんだね」
「それって、〇〇っていうこと?」
「いつもより×××に力を入れたんだ~」 等

というように、相手の話を要約したりまとめたりして返していくと、部下は『自分の言いたいことが伝わった』と実感できます。上司の要約が部下の伝えたいこととズレていた場合、そこで「いえ、そうじゃなくて・・・」と修正することができます。もしこの要約がなければ、上司はずっとズレたまま受け取ってしまうことになり、それが後々何らかの悪影響を及ぼす可能性もありますよね。

要約することで「自分が受け取った内容はこうだけど、これで合ってる?」と確認することができるのです。お互いの信頼関係をつくり、相互理解を深めるために重要な傾聴スキルです。リアルでも効果の高い手法ですが、音声が途切れたり聞き取りにくい場面があるオンラインだからこそ意識的に実行してみてください。

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1on1では、話す側の部下は「上司は自分の話をどう受け取ったんだろう?」と不安になります。お互いの姿が感じられないオンラインだからこそ、「聴いていること」「受け取ったこと」を部下にわかるように表現してきちんと伝えていくことが大切だと思います。


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