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積んで昇るだけじゃなく、広げてつなげるキャリアへ

キャリアコンサルタントの松岡澄江です。
キャリアカウンセリングやキャリア研修を通して、「キャリアは仕事だけでなく人生全体のこと」とお伝えしています。それでも人生の時間の中では、働くことや仕事が重要な意味を持っているので、キャリア=仕事ととらえがちです。実際、その人の経歴とか経験は、仕事を通して語られることが多いですよね。

それにキャリアは、昇り続けていくものであったり、積んでいくものという見方が一般的です。しかし、世の中の変化が激しく、人々の価値観や働き方も生き方も多様になってきた今の時代には、キャリアは昇ったり積んだりするだけでなく、「広げる」とか「つなげる」といった視点も必要なのではないか?と考えています。

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キャリアは経験を積み右肩上がりで上昇する

年功序列・終身雇用が当たり前の時代は、入った会社で仕事を学び、経験を積んで、いくつかの部署に異動しながら、昇進を繰り返していくといったキャリアを描いていた人がほとんどでした。一度レールに乗れさえすれば、後は安定・安心で定年まで勤めていけた時代には、右肩上がりに上っていくキャリアがよしとされていたのです。

でも今は、少し違います。組織は成果主義となり、昇進のタイミングは個人によって違いが出てきているので、年下上司も増えてきました。バブル景気の頃に大量に採用された人が50代となり、ポストも埋め尽くし人件費もかさんでいます。企業では50歳前後の退職者を募る早期退職制度や、設定された年齢になったら自動的に役職者ではなくなっていく役職定年(ポストオフ)制度などがどんどん導入されています。

昔は「転職なんて大丈夫なの?」と言われ心配されたものでしたが、今は転職も気軽にカジュアルになり、「30歳で3社目です」という人もめずらしくなくなりました。自分のやりたいことで独立しフリーランスになったり、お店を出したり、起業する若者も増えています。

それでも・・・キャリアを考える時、人々は不安になります。

何のスキルを得たらいいのか?
どんな資格が必要か?
どういう仕事が安心か?
大手企業に就職した方が安定しているのではないか?

今の若者が考えるキャリアも、まだ『どんなレールに乗ったらいいのか?』『何を積み上げたらいいか?』を探している人が多いのは、親の世代が大事にしてきたキャリア観が影響しているのかもしれないと思っています。未来は見えないことが多いので、不安になる気持ちは十分わかりますが、これからの未来を担う若い世代が歩くキャリアに正解はありませんし、安心なレールもひかれていません。何を積んだらいいのか?どこを昇ればいいのか?だけではない視点も持ってみて欲しいと思います。

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これからのキャリアはスキルを広げてつなげていく

例えば、キャリアを広げるという視点はどうでしょう?経験をある程度積んだら、こんどは横に広げていくイメージです。今の時代、ずっと同じことをやっている人は少なくなっています。デジタル化で単純作業はコンピュータが行ってくれるようになり、今後のAI化でいくつかの職業は無くなっていくか大きく変容することが予測されています。

営業職を例にとってみましょう。これまでの営業職に求められていたのは、とにかく会って話して信頼関係を顧客と築いていく力でした。でも今は、お客様と直接会えないことも当たり前になってきています。取引先がリモートワークになっていればなおさら、直接会うことができない。そんな時に必要なのは、オンラインツールを活用できることと書く力です。メール文や資料でいかに説得力を出せるか?、オンラインで相手にも伝わるように伝えられるか?がカギになります。これまで必要だといわれていたスキルだけでは足りず、時代に合ったスキルを広げていくことが大切です。

そしてもうひとつはつなげる視点です。自分がこれまで経験したことや得たスキルを、これからの自分に活かしていくためにつなげていきます

昔は一貫性のあるキャリアが良しとされ、転職を繰り返していたりやっていることがコロコロ変わることは望ましくないといわれていました。私はその典型で、転職のたびに「松岡さんのキャリアは一貫性がない」と言われ続け、応募のチャンスすらもらえないこともしばしばでした。新卒で入った会社では事務・秘書・雑誌編集者を経験し、その後フリーライター・WEBディレクター・プロジェクトマネージャーを経て、今はキャリアコンサルタントです。確かにやってきたことだけを並べても、何者なのかわかりません。

それでもこれらの経験の一つひとつがつながって、今の私を助けてくれています。プロジェクトマネージャーの経験があるので、仕事をマネジメントすることが比較的得意です。ライター経験は、こういったブログ記事で自分の考えを発信することに役立っていますし、研修の投影資料やテキストは雑誌編集者~フリー時代の編集力が活かされています。

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一貫性がなくバラバラだったスキルや経験も、つなげることで強みに変わっていきます。スキルを積み上げる足し算だけでなく、広げてつなげる掛け算も考えてみてください。自分の経験やスキルを棚卸しし、「何と何がつなげられるだろう?」「どんな化学反応がおこせるだろう?」と考えるのも面白いと思います。



これからを担う若者のキャリア(人生)は、積んで昇るだけでなく、広げたりつなげたりして変化させながら未来を描いてみましょう。そして、これまで積み上げて登ってきたミドルシニアやシニアのキャリアも、これからのために広げるてつなげる視点を持ってみてください。


それが一人ひとりの自分らしさや個性につながっていくと思います。


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