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保育現場のバッド・サイクル

(一社)キャリアヘルス研究所 キャリアコンサルタント・公認心理師・保育士の谷口です。

園内研修やキャリアアップ研修で、園の組織運営について話をしていますが、内容は保育ではなく、マネジメントです。

保育現場でよくある事例を、マネジメントの原則にのっとって解説をしています。
研修の一部を、数回に分けてnoteに書いていきたいと思います。

組織の成功循環モデル

マサチューセッツ工科大学の教授ダニエル・キムの「組織の成功循環モデル」。人が集まって協働して動くときのマネジメントの本質は、保育も一般企業も、基本は一緒です。

組織の好循環理論を保育組織に当てはめて考えると、次のようになります。

バッドサイクルの保育園 

①仕事の成果を求める


保育の仕事は成果が数値で表されないので、指標を何にするかが難しいところですが、私は「ミス」「事故」の数を指標としています。
仕事の成果を一番最初に求める組織というのは、
「ミスをするな」
「けがをさせるな」
という指示を最重視する園のことです。

②人間関係の質

ミス・ケガゼロを求めると、命令口調が多くなり、職員の心に”防衛機制”が働き、攻撃、対立、責任のなすりつけ合い、ミスを隠すといったことが起こります。
ミスを隠すというのは、意図して隠すだけではなく無意識に報告をしないという状態も起こります。
問題を問題と捉えなくなる、不適切保育にもつながっていく組織にとって大変危険な兆候です。

③思考の質

こうなってくると、組織の心理的安全性は低下します。
自由な思考は阻害され指示を待つ姿勢になり、受け身な職員が増えてきます。
日々の保育を「ミスなく、怪我無く、事故なく」することに精一杯。
理想とする保育があり、子ども達と一緒にやってみたいことがたくさんあったはずなのに、ミスをしないように、ケガをさせないようにすることを第一に考えるため、保育の幅を広げる前に思考はストップしてしまいます。

行動の質

自然豊かな場所に行って、そこで子ども達に思いっきり遊んでもらいたいと思っていても、「何かあったら」と考えると、一歩踏み出せない。
新たな試みや提案を行動に移すことは当然できず、その結果、毎日同じ保育の繰り返し、社会の変化に適応できず、何年も同じことを繰り返す保育になります。

⑤子ども達が伸び悩む

日常をつつがなく過ごすことに終始し、結局保育の質が高まらないということになります。

①の結果の質からスタートすると、こんな組織になるという理論です。
子ども達にとっての大切な時期。このような環境で過ごすことは、長い年月にわたってどのような影響を及ぼすのか、だれにも分からない未知の世界ですが決して良い影響はなさそうです。

では、グッドサイクルはどのようなものでしょうか?

次の記事で解説します。

今日はここまでです。
読んでいただいてありがとうございました。


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