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採用は費用ですか!?投資ですか!?

即戦力採用という落とし穴

企業の採用をお手伝いしているとよく聞かれるフレーズが、「うちは教育、研修をしている余裕がないから、即戦力を採用したい」という人事。

こういう人事がいるから、人材の墓場と言われてしまうことに気づいていない。

私は常々「即戦力採用という言葉に惑わされることなく、地道な採用活動をしましょう」と言い続けています。

なぜなら、即戦力採用をするということは東大入試レベルぐらい難しいもので、採用を間違えてしまうと高い買い物になりかねないリスクが大きく、会社にとっても、候補者に取ってもマイナスになることを理解しているからです。

そのため、きちんとした戦略に基づいて採用活動をしていくことが必要になります。

即戦力になる候補とは、ライバル会社からの引き抜きをすることになり、転職市場にはでていない人材がほとんどだからです。

私は即戦力採用という定義については、「会社風土に馴染み、3ヶ月で実績を残し、チームワークで会社と個人の成長をしていく人材」と言い続けています。

いくら実績のある人であったとしても、入社したときからすぐに実績を出せる人というのはほとんどいません。

たいていの場合、3ヶ月〜6ヶ月後に結果が出る人がほとんどである。

会社のやり方、企業風土に馴染むことが必要であり、会社の看板で仕事をしている人と自分の名前で仕事をしている人では結果が全く違うことになるから。

企業の看板で仕事をしていると、会社が変わった途端に成績不振に陥ることになるからです。

個人の看板で仕事をしていると、再度信頼関係を結び直したり、契約条件を見直したりして、最初の実績まで3ヶ月は必要になる。

以前にターゲット設定の重要性についてお話をさせていただきましたが、今日はその後、Quality、cost、Deliveryの設定について、お話をしていくことにしましょう。

仕事の基本であるPDCAとQCD

最近ビシネスパーソンの間では、爆速PDCAについて関連した記事や本が書店では平積みになっています。

仕事の基本ですが、年齢を重ねると共に忘れてしまっていることが多いので気を引き締めなければならない。

仕事ができる人は、基本に忠実であり、疎かにしない。

ビジネスの世界においても常にPDCAを回しながら、最初の戦略が正解ではなく、PDCAを回しながら結果を得ていることが多い。

即戦力を採用したいという時に考えることは次の3つです。

Quality…どれぐらいの人材のレベルを採用するのか?

社内のロールモデルになる人物がいるのであれば、スキルを深掘りしておく必要があります。

cost…どれぐらいの費用をかけるのかを考えます。

1人の採用なのか、複数人の採用なのかによって、選択肢が変わってきます。

Delivery…どれぐらいの納期で採用活動を終了させるのかというのがポイント。

短納期で終わらせるのか、ストライクゾーンど真ん中の人材が出てくるまでやるのかで変わってきます。

もちろん最優先をするのはQualityと答える人が9割います。

Qualityを最優先すると、costかDeliveryが犠牲になることは間違いありません。

なぜなら、QualityとDeliveryを優先すると、年収が高く、costが犠牲になります。

Qualityとcostを優先すると、Deliveryが犠牲になり、いい人が出てくるまでずっと採用活動をすることになります。

求人広告サイト、転職サイトでは、ずっと同じ求人広告が出づっぱりになります。

矛盾が生じていることについては、理解を頂けましたでしょうか。

人がいないということではなく、御社の採用戦略が間違っているということになります。

採用は6つのパターンに分類される

ビジネスの世界は全てギブ・アンド・テイクです。
何かを得るためには、何かを提供しないといけません。
これは大前提です。

採用活動をする時にQuality、cost、Deliveryの3つのポイントからどこを重視するのかによって、戦略も方法も変わってくる事になります。

どこを優先するのかシンプルに6通りあります。

1.Quality>Delivery>cost:人材レベル重視×投資型

2.Quality>cost>Delivery:人材レベル重視×じっくり型

3.cost>Delivery>Quality:コスト重視×育成型

4.cost>Quality>Delivery:コスト重視×じっくり型

5.Delivery>cost>Quality:スピード重視×育成型

6.Delivery>Quality>cost:スピード重視×投資型

Qualityを重視する場合

人材レベルと採用スピードを重視するならば、従来の採用費よりもさらに費用を投資する必要があります。

それまでリファラル採用メインだったベンチャー企業が、事業の成長スピードを一気に加速させるタイミングで、人材紹介会社(エージェント)の利用をはじめられるのはこうした点が理由です。
 
通常、エージェントの紹介フィーは理論年収の30~35%ですが、採用難易度の高いエンジニアのみ50%以上の高いフィーをお支払いしている企業もあります。

それは「お金で時間を買っている」という点である意味で合理的な判断と言えます。

costを重視する場合

また、採用コストを抑えることを最重要視する場合は、人材レベルか採用スピードのいずれかの優先順位を下げざるを得ません。
 
たとえば、リファラル(社員紹介)採用は、採用義務のない社員に協力してもらい、かつ必ずしも転職意欲のない優秀な人材を紹介してもらう採用手法です。そのため、リファラル採用を開始してから、実際に採用成功に至るまで、時間が非常にかかる採用手法ですが、デリバリー(採用スピード)を犠牲にする代わりに、非常に優秀な人材を極めて低いコストで採用することが可能になります。
 
また、独自の育成メソッドを持っていたり、教育研修が非常に上手な会社は、未経験人材の採用でも早期に戦力化できるため、低コストかつハイスピードな人材採用が可能になるのです。

Deliveryを重視する場合

「急遽スタッフが退職してしまったので、すぐにでも採用しないと!」
「2019年入社の新卒採用の内定者が、まだ一人もいないんです!」
 
上記の場合は間違いなく「スピード重視」です。
今すぐに採用したい!のであれば、通常よりも大きな採用予算をかけて採用するか、他社が採用したがらない「ブルーオーシャン」な人材を採用するかのいずれかしかありません。
 
コストをかけてでも採用するのか、採用ターゲットをズラして入社後の育成にコミットをするのかを、経営者や部門責任者に「覚悟」してコミットしてもらうことが採用成功の絶対条件となります。

人事は総合力の集合体である

優秀な人材を、短納期で採用するためには、ある程度の採用コストをかけて採用することは非常に重要なことです。

一方で「金さえかければOK」という発想になってしまうのは、非常にもったいないです。

これは私の持論ですが「優れた人事=商品企画×マーケティング×宣伝広報×営業」と思っています。

いわゆる総合力が試されるのが人事採用の力であると、経験から思うようになりました。

通常だったら、入社後に任せたい業務内容そのものの経験者を求めます。

WEB系の企業でエンジニアの採用担当者を採用する場合は、同じくWEB系の企業でエンジニアの採用を経験していた人を採用しよう、というのが普通の考え方です。
 
そうではなく「エンジニア採用の経験はないが、エンジニア採用の適性が高い人はどんな人なのか?」という問いに対する仮説を立てた上で、「確かにこんな人なら採用未経験でも活躍できそう!」という要件を現場責任者と握った上で採用プロジェクトを進め、見事採用に成功し、入社後にめざましい活躍をされているのをお見かけすると、「ああ、この人事の方はクリエイティブだなぁ」と感じますし、もはや芸術的ですらあるなと感じます。
 
フレームワークできちんと採用要件を整理した上で、最後は総合力で勝負する人事こそが「どこに行っても通用する『勝てる人事』」です。

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