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コミュニケーションの間抜けの構造

スカウトメールと求人広告って…

企業人事や人材紹介会社が転職サイトで登録をしている人へスカウトメールを送ることが多い。
待ちの姿勢で求人広告を出していたとしても、ポチッと応募ボタンを押してくれるかどうかはわかりません。
ライバル会社の求人広告がなく、チャンスといわれた週に出向したとしても、反応がイマイチということも多い。

求人広告には出稿料が関係をしており、転職サイトを使った人ならわかると思うのですが、自分が希望している職種、自分が経験をしている職種だけに絞って選択をしたとしても、数百件の求人案内が検索に引っかかります。

キャッチコピーや企業名にビビッと来ない限り、ポチッと詳細まで見てくれることはほとんどありません。
You Tubeのサムネイルで釣ることはできるのですが、内容を見たら…違うじゃん!となって滞在時間が短くなってしまうのと同じ原理なんです。

ターゲットにしている層がどんな言葉なら見てくれるかどうかということを考えていくと、SNSのちからが必要になる時代です。
短文でわかりやすく、ターゲット目線で書かれていればポチッとしやすいのですが、意外と型にハマった言葉が乱立、横文字ばっかりっていうケースが多く、何をいいたいのかわからないため、途中離脱しています。

コピペメール、うちの会社自慢の内容ではポチッと押してくれません。
なぜなら、自分たちの行動指針になっている数値をクリアするための地引網大作戦であり、何をいいたいのか全く伝わらないからです。

数撃ちゃ当たるとやりがちなのですが、実は受けての心理には全く関係なく自己中心的なスカウトメールが多いので、開封率も、返信率も1桁台というのが当たり前です。

その原因については全く触れず、思考停止状態で送りまくればいいという考え方にメールボックスがパンクする理由です。

やっと見つけた!ど真ん中のストライク人材!

スカウトメールはラブレターのイメージで送ることについては、今から20年以上前に年間1億円以上売り上げていた凄腕の営業パーソンから教えてもらったことです。

そのひといわく、「いきなりうちの会社が凄いんです。こんな会社に転職することが可能です。」と言われてもさぁ、なんか怪しくね〜ぇ。って警戒されてしまうでしょ。

それより、「あなたのここのスキルを伸ばしたいと考えているなら、こういう会社がありますよ!」って3つの案件を提示して、いろいろなキャリアプランがあるから、一度話し合いをしてから、あなたにあった会社やキャリアプランの提案ができるかもしれません。というようにするだけで返信と来社率が変わるんだよ。

そして来社してくれたら、細かくアフターフォローをしていれば、その人が転職をしようとした時に連絡をくれるし、場合によっては友人、知人を紹介してくれる。
そうすると商談にいった時も、その人をイメージしながら話をすることができるんだよ。

その教えをいまだに守りながらも、言葉遣いや時候の挨拶などは変化をしている。
そんな中、人材紹介会社でもなかなか紹介をできないポジションで、特殊な経験を持っている人を採用したいということになった。

転職サイトのデータベースに1名だけいた人へ渾身のスカウトメールを送ったところ、即レスで面接の段取りとなり、人事、現場、経営陣との面接まで、2週間足らずで面接が終了。

現場と経営層からは絶対ほしい人材だから、逃さないでほしいということで、条件面やボルトネックなどについてコミュニケーションをとりながら、条件面談では現職の給与保証という流れになった。

条件面談終了前に「数日時間をください。追って連絡をいたします。」という流れになった。
急に雲行きが怪しくなってきてしまった。

数日後、応募者の人から「お伝えづらいのですが、今回は辞退させていただきたいと思います。また御縁があった時はよろしくおねがいします。」という連絡がきてしまった。

敗因分析をしてみると…原因不明

この連絡を受けて、人事、現場、経営層で原因不明会議がすぐに開催されたのは言うまでもない。
なぜなら、本当に欲しいと感じていた人と出会えて、みんなが前のめりになっていたのは間違いない。

ご家族へのフォローであったり、ボルトネックを外すため、外堀から少しずつ内定承諾へのプロセスを踏んでいたけど、どこで踏み外してしまったのか、どうしてこういう結果になってしまったかは全くわからなかった。

スペシャリスト採用ということでの採用のため、本人の同意がない限り、総合職のようにいきなり営業職への異動とか、慣れない職種への異動もなし。
会社都合での人事異動もなし。

経営層、現場、人事が一体となっても採用できなかったレアケース。
この答えがわかったのは、数年後にSNSでやり取りをしながら、飲みにいってわかった。

当時は本当になぜだろう?どうしてだろう?って考えたけど出なかった。
からくりを聞いてわかったけど、間抜けが原因だったとは…完敗した気持ちであったけど、これがわかった時、コミュニケーションのスピードを合わせることが大切だって理解できた。

答えは、間抜けの構造だった

即断、即決、即レスで回答を求めることが最高のクロージングだったと当時は思い込んでいた。
とにかくスピード重視、直感重視という企業がほとんどだったし、先行することで印象が良くなるというのが刷り込まれていたからである。

期間が伸びると辞退率が高くなり、歩留まりが悪くなるというのが定説ですが、主導権を企業が握るのか、候補者が握るのかで結果が違ってきます。
主導権争いが発生してしまうと大抵の場合、辞退になってしまいます。
お互いがお互いに自己主張をすることで、物別れになってしまうからです。

企業としては早期内定、早期出社で補充を完了させて、現場の疲弊度を最小限に抑えるのが目的ですし、新規事業を立ち上げる場合については1日でも早く、軌道にのせたいというのが本心です。

応募者はいい条件、いい会社、いいキャリア、年収アップなど、人それぞれにポイントがあり、すぐに転職をしたいという気持ちが固まっていないまま、転職活動をしている人もいるぐらいです。

転職活動をして内定をもらってから、退職届を出すので時間をかけたいというのが本音である。
転職活動をしながら自分の市場価値を確かめる人も最近は増えているので、間抜けになってしまうと辞退することになるので注意が必要です。

人事がコントロールしなければならないのが、企業のスピード感と応募者のスピード感を一致させること。
企業は新幹線ぐらいのスピード感なのに対して、応募者は原付のスピード感であった場合、この調整をした上でスピードを合わせないと、選考途中で辞退して、歩留まりが悪くなってしまうだろう。

間合いがしっかりあって、スピードをあわせないと、逃げ出してもおかしくない。
クロージングの際に企業のエゴがでたり、応募者のエゴが出てしまうとご破算になるケースが多く、実に64.8%は内定辞退という結果になっている。

選考結果を伝える際のコミュニケーションや選考終了後のコミュニケーションなど大切であり、何気ない雑談の中にヒントが隠されていたり、スピード感のズレを人事が感じないともったいない。

他社の選考状況も踏まえた上で、自分たちの選考状況やオファーレターを出すタイミングを考えないと、採用したいという応募者に対してはいけない。
慎重かつ大胆にコミュニケーションをとりながら、腹のさぐりあいをしながら、心理戦で勝たなければ意味がない。

これだけはいろいろな経験をしていないとわからず、勘に頼る部分もあるけれど、ある程度ケーススタディとしてフレーム化することができるので、是非人事はいろいろなパターンをしっかりと分析をしておくことが必要です。

信用と信頼を得なければ転職するという最後の一歩を踏み出すことがなかなかできないのが現実です。
コミュニケーション量、接触回数などを踏まえて、信用と信頼を得られるようにするのには、主導権争いをするのではなく、寄り添いながら、押すところは押して、引くところは引くということをしなければ、間抜けになってしまうということ。

腹を割って話せば何でもいいという人もいますが、面接はお互いにいい面だけを見ようとして頑張ってしまった結果、信用と信頼を得ることができずに、選考中に辞退するケースが生まれたり、内定辞退につながるケースも多々あります。

面接中も常に見られており、A社はいろいろな質問されて、お互いの理解が深まったけど、B社はいいところだけを強調して、自分のことを聞いてくれなかったなど、与えている印象について見直す必要があるでしょう。

面接中に口説くことも必要ですが、露骨にそれがわかってしまった時には応募者から逃げられるので、仕掛けるタイミングを間違えると、辞退という結果を招いてしまうものです。

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