新卒採用で起きてしまっている!?7つ間違い!?
優秀な学生の定義って…
人事コンサルタントとして人事や経営者と話をしてみると、優秀な学生を採用したいという意志が強い。
いい大学をでていれば優秀な社員になるかといえば、そうではありません。
名選手、名監督にあらずということ。
上司やチームの力によって、能力開発がされるケースもあれば、本人が危機感から社内、社外にメンターを見つけて勝手に育つこともあります。
私がよくインタビューで聞いているのは、「御社にとって優秀な学生の定義をしてください」と質問をしている。
そうすると、国公立卒、六大学卒以上ということをドヤ顔でいう。
私がいいたいのは大学でマウンティングをするなと言うことです。
新卒採用で入社をした学生が3年後に世界のトップ10に入った営業や、予算数億円の大規模なプロジェクトを任されたのは、なんと人事や経営者が除外していた学校を卒業している。
彼らが成功をした理由としてはコンプレックスがあったから知恵を絞ったこともありますし、社内で優秀な社員を見つけて、弟子入りをした。
現在、売り手市場といわれる採用環境の中で、多くの企業経営者や人事・採用担当の方々は「優秀な学生」を採用したいと考えていると思います。
入社数年で頭角を現し、社員の中でも上位に入る活躍するような学生を採用できるかどうかは、会社の経営を左右します。そうした企業の方々から見ると、上記の彼らがそんな「優秀な学生」だったと思われる方もいるかもしれません。
しかし実際の彼らは、必ずしもそんなことはありませんでした。
サークルや部活でのリーダー経験も英語力もなく、スポーツや勉強に打ち込んで何かしらの実績を残したということもない、ごく普通の生活を送る、普通の大学生ばかり。
彼らは早い時期からの就職活動もしないし、夏期インターンに行った学生は一人もいません。
むしろ情報解禁日が近づいてやっと動き出すので、むしろ私のほうが毎年焦るくらいです。
そして一方の私は学生を選べる立場にはなく、選抜をしたり、お金をとってセグメントしたりもしません。
優秀かどうかに関わらず、相談に来た学生の彼らとお酒を呑んで話したり、食事をしながら相談にのるだけです。
そうやって関わってきた彼らの多くが、就活を経て、それぞれ入社した会社で活躍をしています。
偏差値が高い学校の学生VS体育会系の学生
ここ数年のトレンドとなっている体育会系採用でも同じことがいえます。
会社や組織は縦社会ですから、縦社会の規律がわかっている学生がほしい。
会社がコントロールしやすい学生を採用したいということで、体育会系採用が流行っていました。
はっきりいってしまうと、体育会系出身者というのはコントロールしやすい、染めやすい学生という認識がそこにあるからです。
無理をいっても辞めない、豆腐メンタルではない強靭なメンタルの持ち主という思い込みがあるのと、有名企業に入りたいという学生のWinWinの関係にはなりますが、それで出世をする学生というのは1%に満たない。
体育会系の特徴として、地位と名誉を与えられると神様扱いされていると勘違いするため、部下がすぐに辞めてしまう傾向があります。
これでは優秀な社員とはいえません。
プレイヤーのラットレースに参加をするのが精一杯でしょう。
会社にとって優秀な学生とは何かをしっかりと考える時期になっていると思います。
その経験を踏まえて現在の企業の採用活動を見ていると、どうも企業のみなさんが想像する「優秀な学生」と、本質的な意味で「活躍する可能性の高い学生」の間には、決して小さくないズレがあると考えています。
旧来の就職活動の枠組みで動いている学生たちと、さまざまな工夫やツールに取り組みながらも現在の学生の素の姿を掴みきれず、ズレを埋められない企業。
この状態から、次の就職活動、次の採用活動にアップデートしていくことが、企業と学生の適切な関係性を築いていく上で重要なポイントではないかと思うのです。
優秀な学生の定義って難しいんです。
はっきりいってしまうと、育成プランをちゃんとしていないと、間違った方向で優秀な学生を採用したいということになります。
それでは企業としてタレントマネジメントもできなくなるし、勘違いをしたまま採用活動をすることになります。
学生は未完成品であるという前提条件
たとえば、私が学生と接する上での大前提があります。
それは、「学生は完成品ではない」ということです。
何を当たり前のことを、と思う方もいるでしょう。もちろん学生は未完成で、これから社会に出て仕事を通して成長していくものです。
基本的なマナーや商談のスキルすらない、という意味で未完成なのは当たり前です。
ただ、ここではそういう「社会人として」未完成、という意味ではありません。
それ以前に、彼らは「学生として」も未完成、ということなのです。この前提があるかないかで、学生の捉え方や評価の仕方は大きく変わります。
企業は学生の過去と現在を結んで評価をしている!?
私が経営者や人事に関わる方々の意見を聞いていつも抱く違和感は、目の前の学生の「今まで」を評価しているように見えることです。
今の能力、今のスキル、今の状態。もしくは、過去の実績、過去の成果、過去の動き方といったものによって学生を評価する。
もちろん新卒採用を行う上で、学生の今や過去を知ることは重要です。むしろそれがわからなければ人を評価することができないのは、当然ではあります。
しかし、そもそもの新卒採用の目的に立ち返るのならば、本来の目的は「入社後に活躍する人材を獲得する」ことであるはず。
であれば、何よりも重要なことは、目の前の学生が「どんな活躍をしそうか」ではないでしょうか。
現状の能力やスキルや過去の実績や行動は、あくまでもそれを判断するための材料でありヒントであるだけです。
それこそ「優秀な学生」という言葉がまさにそれを表していて、多くの方が設定している「優秀」とは、現時点での定性的・定量的な指標にすぎません。
つまり、多くの企業の方々が言う「優秀な学生」というのが、学生として「できあがった」状態を前提としてしまっているところにズレの根本があるのではないか、と私は思うのです。
視点を変える採用をしないと目標達成は困難な時代へ!?
学生は、おそらく多くの方が想像している以上に短期間で成長します。
ちょっとした刺激と、ちょっとした意識の変化で、急激に変わるもの、というのが私の実感です。
だからこそ私は、現時点で「優秀な学生」を探して各社で奪い合いをするよりも、もう少し視点を変えることで、より効果的な採用の実現可能性があると考えています。
例えるなら、学生は「起動スイッチがわかりにくい家電」のようなものです。
今でこそ誰でもiPhoneに慣れているかと思いますが、初めて手にした時は電源の入れ方にちょっと戸惑った方もいるのではないでしょうか。
最近では体重計なども電源スイッチはなく、乗れば勝手に測ってくれるものもあります。
ドラえもんの起動スイッチは、尻尾だったりもします。
視点を変えることは簡単なことではありません。
変化をするということはリスクとリターンの兼ね合いがあり、ハイリスクハイリターンはやりたくない。
ローリスク、ローリターンでは美味しさがないということになってしまいます。
変化を恐れていては、昨今のビジネスの流れにのれず企業が衰退するかも知れません。
短期的な予測はできたとしても、当たるも八卦当たらぬも八卦。
中長期的な予測については、誰もが見えていないというのが現状でしょう。
日々刻々と変わり続けるビジネスの世界で潮目をみて判断するのが遅くなるということは命取りになりかねない時代です。
ひとりひとりが起動スイッチをもっている!?
そんな家電のように、学生たちにはまだ動いていない機能、起動していない機能があり、そのスイッチの場所は彼ら自身ですら気づいていない状態。
その上、学生は一人ひとりそのスイッチの場所が違うのです。
そして、そのスイッチを見つけ出して、入れてあげさえすれば、その学生は急激に変化・成長していきます。
「ただでさえ忙しい採用活動で、わざわざそんな面倒なことを」という方もいるでしょうし、「そんなことまでしないといけない程度の学生は要らない」とも思うかもしれません。
ただ、そんな学生の中に「社内トップクラス」に育つ可能性がある学生がいるというのは、冒頭に述べた通りです。
それこそ逆に、苦労して「優秀な学生」を採用したにも関わらず、入社後は期待通りではなかったという経験は、いくらでもあるのではないでしょうか。
もしくは成績が振るわない社員の上司を替えただけで、急に成績が変わるという事例も多数あります。
その人をしっかり見るとパターンがわかる!?
そのように学生のスイッチを見つけるには、採用にかかわる方が「できるだけ多くの活躍パターンを知る」ことが重要です。
テレビやマンガの主人公たちのチームのように、人はそれぞれ活躍の仕方が違います。
それと同じように、学生にも彼らそれぞれの活躍の仕方があります。
目の前の学生たちが自分でもまだ気づいていない特性に目を向けて、それを彼らに伝えつつ、彼らと一緒に、活躍するイメージを醸成していく。
ひとつの「活躍する姿」に縛られることなく、学生が本来もっている特性を、最も活かせる方法を考え提示すること。
それこそが彼らの成長を促進する「スイッチ」になるわけです。
そのために、人の「活躍するパターン」のバリエーションを多く持っていることが重要なのです。
現時点ではなく、将来の伸びしろに目を向ける
現時点で「優秀な学生」の採用を目指すよりも、そうした視点で「今はまだ特性を発揮できていないけれど、成長のさせ方が想像できる学生」に目を向けていく。
それが、採用競争が激化している現状では逆に有効な戦略なのではないでしょうか。
人事・採用に関わる方々が学生のスイッチを見つけて刺激をしてあげることで、多くの企業と学生が良い関係で結ばれることを願っています。
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