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キャリアは目的?手段?ゴール?どこを見ているかで全く違う景色になるもの

人事異動は年2回が定番

毎年4月と10月になると9割の会社では大きな人事異動が発生しています。

新しい環境で仕事をすることでキャリアのプラスになる場合もあれば、時間の無駄になるということで見切りをつけて転職を考える人もいらっしゃいます。

今回はとあるメーカー勤務のビジネスパーソンからの相談について考えてみることにしました。

その人は大学在学中に簿記1級とファイナンシャルプランナー2級の資格をとり、経営学を学んで、今の会社に新卒採用で経理部に配属をされました。

経理に関していろいろと学ぶうちに、関係会社の経理も含めて本社との連結決算など、仕事を任されるようになりました。

このまま経理の仕事のスペシャリストになりたいと、評価面談時に伝えていたのですが、今年の3月に上司から人事異動の打診がありました。

上司からいわれたことは、「4月から海外営業部へ異動してもらうことになった。営業を経験してからまた経理に戻ってきてほしい」という人事異動についての一言であった。

彼は「この異動を断ると、どうなりますか!?」というと、上司は「会社の命令だから、場合によっては解雇されるかもしれないね」と間髪を入れずに答えたそうです。

彼は納得しないままに、4月の人事異動で海外営業部に異動したそうです。

「希望してなかったのに営業に配属されて、もう辞めたい」、「売っている商品に自信が持てない」……。

営業としても、ビジネスパーソンとしても、まだまだ自信が持てない若手は多いはず。

そんなときに、上司や同僚にも相談をすることができずに、ネットで検索をしているうちにblogを見つけて、TwitterのDMがキッカケで相談にきました。

会社名で仕事をするの!?自分の名前で仕事をするの!?

相談に来た彼は、経理のスペシャリストを目指したいけど、経理に戻れるかどうかはわからない。

戻ってきてほしいという上司からは、「経営幹部候補ということもあり、いろいろなことを若いうちに経験をしてほしい」といわれて、いつ戻ってこれるかわからなくなり不安になってしまったそうです。

その他に相談に来た出版業界の女性は、「広報宣伝をやりたいと思っているのですが、営業部から異動ができないんです。」

せっかく入社した有名な会社なので急に転職をするというと、親や知人から「今やめるのはもったいないから」といわれて、もやもやしながら仕事をしている状況でした。

ここで問題になるのは、仕事をしているのは誰のためでしょう。

親や友人、知人などの世間体を気にするのであれば、現職に残ることをオススメします。

有名ブランドで仕事をすることはキャリアにとって箔が付くことになります。

しかし、転職のタイミングを間違えてしまうと、市場価値が急落してしまう危険もあるので注意が必要です。

やりたい仕事につくことを目指すのであれば、実績を残し、社内の信用預金を貯めることが近道です。

実力も社内の信用預金もない状態でやりたいことをいいはっても、ただのワガママになってしまいます。

この場合は冷静に考えて、取るべき道は二つに一つ。有名企業というブランドにこだわるか、やりたい仕事にこだわるかです。

ブランドにこだわるなら、この会社で頑張りながら、希望の部署への異動を待つだけですし、仕事にこだわるなら、広報や企画の仕事を探して、地道に転職活動に励むしかありません。

でもあなたの場合、相談とは言いながら、もう答えは出ているのではないでしょうか。

自ら「転職も難しい」「せっかく入った有名企業」などと言っているくらいですから、どうやら会社を辞めるつもりはなさそうです。

そうであれば、まずは頑張って営業成績を上げるしかない。

皆に認められる存在になって、発言力が高まれば、希望の仕事にも近づけるでしょう。

少しクールダウンして、コーヒーでも飲みながらしばらく考えてみれば、答えは明らかです。

しかし、もしトップセールスになって周囲から高く評価されたとしたら、異動したいなどと思わなくなるでしょう。

人間の最大の欲望は、「人から認められること」です。営業で評価されたら広報も企画もどうでもよくなってしまうはず。

今、あなたは「認められる」という欲望が満たされていないから、自分にはもっと見合った仕事があるのではないかと悩んでしまうのでしょう。

そういう方は、自分の「人生のテーマ」を決めてみるといいでしょう。

テーマとは、ただ自分がやりたいことではなく、自分自身が「やるべき」と確信できることです。自分がやるべきことに向かっていくこと、それが人生なのだとお伝えしたいと思います。

あなたの「今が嫌だから」という逃げの理由では、転職にしても、異動にしても、うまくいくはずがありません。

一方で、「今のままでは、どの道を選んでもきっと後悔する」、それでもいいと考えることもできます。

あなたにぜひ覚えておいてほしいのは、性急に結論を出す必要はないということ。

若いうちは、考え方のレンジが小さく、スパンも短いので、多くの大事な条件を見落としてしまいがちです。

それならば、とりあえず結論を保留して流れに乗り、現状をきちんと見極めてから判断する方がよいでしょう。

もっともっと悩んでたくさん後悔すればいい。その中から学べることもあるはずです。

やりたいことではなく、やるべきことをちゃんとする

上記で相談に来た彼が友達を紹介してくれる事になりました。

後日お会いしてみると、彼は業界で有名な会社の営業担当でした。

いろいろとお話をしていくうちに、本音がポロッとでてきました。

「業界で有名な企業にいることは幸せですが、商品に関して自信がもてないんです。毎月毎月、お客様に説明をして購入してもらっているのが現状なんです。お客様を騙しているようで心苦しいから転職を考えています…」とぼそっとトーンを落としていってきました。

ここで私が出会ったことのある人の話をしました。

その人は自動車販社で車の販売をしている20代後半の女性です。

お店の立地からするとファミリー層が多いのですが、最近では外国人の方が多く住む様になり状況が変わってきました。

もともとは車好きが講じて自分自身もいろいろな車種に乗って、改造したりしているからこそ、お客様のニーズを聞いた上で、自分の販売店で売っている車以外のものを進めることもあるそうです。

しかし、お客様は口をそろえて「あなたがちゃんと説明してくれるし、ゴリゴリの営業でないから、あなたから車を買いたい」とおっしゃります。

売れる営業、売れない営業の差は人徳(にん)だと思っています。

誠実なことでお客様は1箇所しかいっていないけど、複数な店舗を回っているのと同じ情報量を貰える。

そして、お客様のニーズに合わせた提案をするから、選択肢はあるけれど、その人から買いたいと思うようになる。

人の情報は1次の情報として扱われることが多く、信頼できる情報筋であれば信用していくことになります。

お客様との間での信頼関係がしっかりとできていることができるのは人徳です。

人間は「やりたい」ことではなく「やるべき」こと、自分自身の「価値」に合ったことを行うときこそ、自分にプライドを持ち、最も力を発揮することができるのです。

あなたの悩みは、まさに価値に関わる問題です。「売るべき」ものが他にあると知っている。

「お客さまを騙しているようで心苦しい」とまで感じている。

とても誠実で、「良い仕事がしたい」と思うタイプの方なのでしょう。

ただし、これも打つ手は2つだけです。一つは、「売るべき」ものを売ることができる会社に転職する。

もう一つは、商品開発の人間を説得する。

つまり、自分がプライドを懸けて売れるものを会社に作ってもらうのです。

丁寧に自分でデータを集めて、繰り返して提案していけば、いつか誰かの目に留まるはずです。

もちろん転職するのも、社内を説得するのも、簡単に成功するとは限りませんが、価値の問題は、その人の生き方に関わるとても大切なものです。すぐに結論が出せなくても、目をそらさず、しっかりと向き合ってほしいと思います。

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