無視、賞賛、批判という人材育成
研修とOJTで人材育成を考える時代
リーマンショック以降は人材育成に力を入れる企業はほとんどなくなっていた。
バブル崩壊以降、教育研修費はいの一番に削減対象になっていたからである。
OJTということで入社した途端に、現場で育てることが主流になったのは確か。
研修といっても階層別の研修や部下の指導方法などについては、経験をしながら覚えていくことが多くあり、我流でやり続けている人が多い。
そのためパワハラが横行してしまうという事態を招いてしまった。
昔は灰皿が飛んできたとか、電話をするのにデスクのしたにもぐってやっていたとか、今の時代には通用しないということに気づいていない人が多くいる。
外の研修や講義を受けるにしても、最低限の人数でチームをつくっており、
長時間労働が当たり前のような時代になってしまった。
しかし、ここ数年で流れが変わってきたのは事実である。
ワークライフバランス、残業時間を減らすという企業が増えてきた。
そして自己投資する時間ができるようになったという人も多くなった。
アベノミクスの影響で研修を見直す企業が増えてきているが、ビジネスプロデューサーというような人材は育成することができないだろう。
机上の空論だけではなく、実践で学ぶことが多いからである。
若手の育成は2年目〜5年目までが分かれ道
採用支援をさせて頂いた企業や人事職としての経験や体験談ですが、次のように分けられます。
1年目の社員には着実に階段を登っていることを認識させながら、随所で過程を褒めることで、自信を持たせることが重要になります。
いきなり怒鳴ったり、詰めたりすると、萎縮してしまい、大胆な行動が取れなくなります。
そうすると同時に起きてしまうのが思考の停止ということになります。
物事の本質を見極めることができなくなってしまうことが多くなるのは、
社会人1年目の育て方を間違ってしまったからというケースもよく見かけます。
2〜5年目の社員に対しては、自分で考える力を身につけて、かたちにする時期でもあります。
自分で考えさせて、ストレッチとフィードバックをおこない、リフレクションを重視することで育成をしていきます。
1人前になるまで3年から5年かかると言われている理由にも合致することなんです。
能力や経験値よりちょっと高めのハードルを設定することによって、仕事に対するチャレンジをさせることになります。
そして、その過程や結果についてPDCAを回す事になります。
リフレクションとは内省を意味しており、原因と結果を追求させることがポイントになります。
OJTというと管理職の経験と勘に任せっきりの点が多くあったため、入社して3年以内にやめてしまう新入社員が3割という早期離職についても歯止めがかからなかったのです。
人材育成の方法には色々なやり方がありますが、個人の特徴を踏まえた上で、3人〜5人程度のブラザー、シスターとともに管理職が一緒になって育てていく方法がベストです。
理想を実践するにはいろいろな弊害があり、忙しいからやっていられないというのが事実ですが、そういうやり方を繰り返していたら、あなたの下では部下が育たないでしょう。
というより管理者失格ということになるかもしれないので、忙しいということを言い訳にしてはなりません。
優れたリーダーには共通点がある
これはいろいろなリーダーのタイプがありますが、出世をしていたり、部下がしっかりと成長しているリーダーには同じ共通点がいくつかありましたので、ここでお話をしていきましょう。
まず1つ目はどんなことでもコミュニケーションを絶やさないということ。
部下に対して率先して声がけをしたり、困ったことがないかどうかちょこちょこ聞いていることがあります。
その他にも他の部署の上司にはいえないことを聞いたりして、アドバイスをしていることもあります。
傾聴力を身につけておけば、どんなポジションであっても、コミュニケーション能力が高いといえるでしょう。
その他にも部下をうまく呼んでコミュニケーションを取るリーダーが多くいらっしゃいました。
ランチにいったり、飲みニケーションをとったり、うまく場を使い分けてコミュニケーションを取るリーダーが支持が高かった。
昔から同じ釜の飯を食うではありませんが、食事をする距離感であれば信頼度がグッと増します。
また、部下の育成方法についてもいろいろな年代によって使い分けていることがよくあります。
1年目の社員に対しては将来のビジョンを認識してもらうこと。
そしてそこから逆算をしてステップアップしてほしいという期待を込めて、褒めながらモノゴトをすすめていく。
「決して感情的にならずに、同じ目線で見ていること」が重要な事なんです。
意外にわかっているよね。という認識のズレが後々、大きなすれ違いをうむことになるからです。
できなくて当たり前、わからなくて当たり前という心構えや考え方を持っていないと、
「何でこんなこともわからんのか!?」「いいからやっておけ!」とかという言葉になり、そしてパワハラといわれてもしかたありません。
2年目以降の社員については、「自分の考えや意見を持たせることが重要。そして結果に結びつけること」がポイント。
これが1年目との大きな違いですが、放任主義ということではありません。
手を抜かずにしっかりと指導をすることで信頼関係を得ることができるのと、自分の考えや意見をいうことは思考をフル回転させなければなりませんし、責任感も違います。
よく顧客との信頼関係を築くことが最重要視されがちですが、部下の育成においても信頼関係を築くには、ある程度の裁量権を持たせることが重要なことになるのです。
信頼関係の有無が大きく結果を左右することになるのは言うまでもありません。
よくいる上司のタイプで逐一報告連絡相談をしろという上司がいますが、過干渉すぎると部下は育ちません。
信頼されていないということを態度で表しているからです。
こういうタイプの上司は部下も育成できませんし、出世もそこで終わってしまいます。
逆に何も言われないというのは不安になるため、ちょっとした不安があるときには、報告連絡相談を部下から持ち込むことがよくあります。
自分で考えてきて、正しいかどうかの判断をしてもらいたいのと、自信をもって仕事を遂行したいと思うようになるからです。
信頼関係をしっかりと構築した上で、ストレッチとフィードバックをしっかり行うことが重要なんです。
持っている能力と、今までの経験値よりすこし高いところに試練を設定して、確実に階段を上がっているイメージを持たせることが重要になってきます。
人材育成のポイントは人間関係
職人さんの世界ではありませんし、親の背中を見ながら子を育てるという時代ではありません。
めまぐるしく変わっていくビジネスのスピードについていかなければなりません。
人材育成を疎かにしていた結果がいまにまわってきているのですから。
若手を育てる上で重要になってくるのが、まずは個性を理解すること。
そしてそれを批判することなく、同じ目標へ向かっていくという認識をすること。
同じ目標へ向かって行く時というのは恐ろしいぐらいの力を発揮します。
そのためには人間関係をしっかりと作ることと、信頼関係の構築をしておかなければなりません。
ブラザー、シスター制度というのは、あなたの代わりをしてくれる大切な存在であり、
誰が人材育成にあたるのかというのは非常に重要なことなんです。
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