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終わりを意識する~後悔しない人生を送るために~


〇人生の最期を意識する

自分がいつか死ぬことを、普段から意識している人はどれくらいいるでしょうか。多くの人が自分の人生に満足して亡くなる一方で、後悔を抱えながら亡くなる人も少なくありません。

オーストラリアで緩和ケアの介護を長年努め、多くの患者を看取ったブロニー・ウェアさんの著書『死ぬ瞬間の5つの後悔』(新潮社)によると、特に多い後悔は次の5つです。

「自分に正直な人生を生きればよかった」
「働きすぎなければよかった」
「思い切って自分の気持ちを伝えればよかった」
「友人と連絡を取り続ければよかった」
「幸せをあきらめなければよかった」

また、日本で長年終末期医療に携わった大津秀一さんの著書『死ぬときに後悔すること25』(新潮文庫)では、終末期の患者さんが後悔していた代表的な悩みとして下記の25個を上げています

・健康を大切にしなかったこと
・たばこを止めなかったこと
・生前の意志を示さなかったこと
・治療の意味を見失ってしまったこと
・自分のやりたいことをやらなかったこと
・夢をかなえられなかったこと
・悪事に手を染めたこと
・感情に振り回された一生を過ごしたこと
・他人に優しくしなかったこと
・自分を一番と信じて疑わなかったこと
・遺産をどうするかを決めなかったこと
・自分の葬儀を考えなかったこと
・故郷に帰らなかったこと
・美味しいものを食べておかなかったこと
・仕事ばかりで趣味に時間を割かなかったこと
・行きたい場所に旅行しなかったこと
・会いたい人に会っておかなかったこと
・記憶に残る恋愛をしなかったこと
・結婚をしなかったこと
・子供を育てなかったこと
・子供を結婚させなかったこと
・自分の生きた証を残さなかったこと
・生と死の問題を乗り越えられなかったこと
・神仏の教えを知らなかったこと
・愛する人に「ありがとう」と伝えなかったこと

これらの後悔を見て、自分にも当てはまりそうだと思ったものがあるのではないでしょうか。多くの後悔は、気力や体力が十分な時期ならば回避できたものです。

多くの人が後悔を残したまま死にたくないと思っています。「幸せだった」と言って最期を迎えたいという願いは、多くの人に共通するものではないでしょうか。

そこで今回は「死ぬまでにやりたい10のリスト」をご紹介します。
 

〇「死ぬまでにやりたい10のリスト」とは

以前、「ドリームリスト100」をご紹介しました。これは、充実した人生を送るために、生きているうちにやりたいことを100個リストアップするものです。実現の可能性や立場・役割の制限は考えず、自分がワクワクすることを書き出しました。

「ドリームリスト100」が人生を楽しく充実させるためのリストなら、「死ぬまでやりたい10のリスト」は後悔しない人生を送るためのリストです。人生の最期は、明日かもしれませんし、何十年も後かもしれません。いつかくる“そのとき”に備え、「後悔はない。ありがとう」と言うために、残りの人生でやりたいことを10個リストアップするものです。

最期のときを想像する方法は人それぞれ。自分なりに想像していただければと思いますが、ヒントになるかもしれないと考え、下にストーリーを1つ用意しました。自分に置き換えて想像してみてください。

病院での診察室のシーン
無機質な蛍光灯が灯る病院の診察室。これまで、健康診断で多少の異常が見つかることはあっても、命に関わる問題だとは思っていなかった。しかし、今、目の前には冷静で無表情な医師が座っている。

医師の声が響いた。「〇〇さん、検査の結果が出ました。非常に残念ですが、あなたの病気は末期です。余命はあと半年です」

とっさに耳を疑い、そして一瞬心臓が止まるかと思うほどのショックと、信じたくないという感情が交差する。医師は続ける。「今後の治療について話し合いましょう。痛みを取り除くためのケアや、できるだけ快適に過ごすためのサポートを提供します」

それ以降、意識も思考も止まり、医師の言葉は耳に入ってこなくなった。病室に戻ってしばらくすると、ぼんやりと意識が戻ってきた。そして、もうすぐ自分が死ぬという現実を改めて振り返り、実感し始めた。

窓の外には青い空が広がり、鳥のさえずりが聞こえてくる。残された時間を嘆くのではなく、一日一日を大切に生きることの大切さを実感した。紙を取り出し、ゆっくりとペンを走らせた。「死ぬまでにやりたい10のリスト」――残りの人生でやりたいことを全部やってみようと思った。小さなことから、大きなことまで。できること。人生に後悔を残さないために。笑顔で、これまでの人生を振り返り、これからの半年でやりたいことを思い描いた。
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半年後、あなたは病室のベッドに横たわりながら、窓の外の青い空を見上げた。手元には、「死ぬまでにやりたい10のリスト」があり、全ての項目にチェックがついていた。満足そうに微笑み、「ありがとう」とつぶやいた。そして静かに、穏やかに目を閉じた。

〇死ぬまでにやりたい10のリストのつくり方

余命宣告を受けたら、何を思いますか。最後にどんなことをしようと思いますか。1人で、静かな場所で、ゆっくりと考えてみてください。

STEP 1 人生が終わるときに、もし後悔することがあるとしたら、それはなぜでしょうか。

STEP 2 ペンと紙を用意して、次の3つの質問を参考にして、「死ぬまでにやりたい10のリスト」を書き出してみてください。

Q:死ぬまでにしたいことは何ですか。
Q:死ぬまでに欲しいこと・欲しいものは何ですか。
Q:死ぬまでになりたいこと・なりたいものは何ですか。

冒頭にあげた後悔のリストを参考にしても良いでしょう。
「ドリームリスト100」から選べるものがあるなら、それを入れても大丈夫です。全く別のことが思い浮かぶなら、その想いを大切にしてリストに加えてください。

〇後悔しない人生を送るために

スティーブ・ジョブズの名言に、スタンフォード大学でのスピーチがあります。その中の一つが、死についてのメッセージでした。以下に、その一部を紹介します。

私は17歳のときに「毎日をそれが人生最後の一日だと思って生きれば、その通りになる」という言葉に出会いました。それは印象に残る言葉で、その日を境に33年間、私は毎朝、鏡に映る自分に問いかけています。「もし今日が最後の日だとしても、今からやろうとしていたことをするだろうか」と。「違う」という答えが何日も続くなら、ちょっと生き方を見直せということです。

引用:「ハングリーであれ。愚か者であれ」 ジョブズ氏スピーチ全訳 米スタンフォード大卒業式(2005年6月)にて , 日本経済新聞社 , 2011-10-9

YouTubeにも多くの動画が上がっています。8分30秒くらいから死に話していますが、スピーチ全体が心に響きます。

出典:[英語スピーチ] スティーブジョブズ 2005スタンフォード大学卒業式演説| スティーブジョブズスピーチ | steve jobs | 日本語字幕 | 英語字幕 | Full speech , Gariben TV

もしかしたら、人生の最期を意識したときが一番、自分の本当の気持ちに向き合うときなのかもしれません。でも、それでは間に合いません。

残りの時間がどのくらいあるのかは、誰にもわかりません。もう少し余裕があると思えている今のうちに、最期のときに後悔しないために、自分の本当の気持ちに向き合い、自分の気持ちを言葉にしてみてください。そして、そのリストを大切にして、後悔のない充実した時間を過ごしてください。

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