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行動できなかった元外資系コンサルタントがコーチングを受けて、結局、事業を立ち上げた話

株式会社Rubato代表の松上です。オンラインキャリアコーチングのme:Rise(ミライズ)というサービスを運営しています。「コーチング」という言葉に馴染みがない方は「コーチング?スポーツ?」と思われるかもしれません。Rubatoではビジネススキル講座を提供していますが、私が講座の中でme:Riseやコーチングの紹介をすると、多くの方は「きょとん」とされます。

そんな一般の方には馴染みのない「コーチング」ですが、私は70歳以上でもたぶん働き続けなければいけない時代、1社に勤め上げるのが難しい時代、働き方が変わり続ける時代に、「コーチング」は世の中に絶対に必要なサービスだと考えています。「コーチング」を活用すれば、自身の力をより発揮し、自分に合ったキャリアやライフスタイルを選べる人が増えると思っています。

なぜそんなことが言えるのだ?と思われるかもしれません。ここまで確信をもって「コーチング」が重要と思うのは、私自身が過去に「コーチング」によって自身のキャリアやライフスタイルに変化が起きたことが大きく影響しています。そこで、私自身のコーチングの経験について書いてみたいと思います。

この文章はコーチングの内容の網羅的な紹介というよりも、いちユーザー(※)としてコーチングを通して自分が気付いたことの共有、そして、なんとなく内容がわからず怪しいというイメージを持たれがちなコーチングのイメージをユーザー視点でより具体的に伝えるために書いてみました。あくまでもユーザーの一意見としてとらえていただければと思います。

※ここで、「ユーザー」と「クライアント」は同義で使っています。

コーチングとは?

まずコーチングは何かということについて、ここで簡単に紹介します。「コーチングのすべて」(J・オコナー、A・ラゲス)では、コーチングは「クライアントを支援するための『コンサルテーション(相談)』の一形態」と定義されています。多くの場合、コーチとクライアントが一対一で対話型でセッションは進みます。1セッションは1時間~2時間が多く、対面やオンライン、電話などの手法がとられます。

カウンセリングを思い浮かべると情景は想像しやすいと思います。カウンセリングでは、カウンセラーとクライアントがクライアントの抱える問題について対話を重ねます。ただ、コーチングがカウンセリングと異なるのは、コーチングが何らかの目標達成のサポートを主目的にしていることです。つまり、コーチングは問題があるから行われるものではありません。クライアントが達成したい状態や目標があって、コーチングは行われます。

自分の話を聴いてもらう

私がコーチングを受け始めたのはちょうど2015年9月のことでした。当時の私はMonitor Groupという外資のコンサルティング会社を経て、アライアンス・フォーラム財団というNGOで働き、そのNGOを辞めて結果的に独立した形になっていました。「結果的に」というのは、その後どうすれば良いかということが見えずに次の転職先を探さなかったため「独立」という形になっていたからです。「独立」とは聞こえは良いものの、「ビジョンなき独立」というのはつらいものです。

そんなモヤモヤした状態の時にコーチングを受け始めたのでした。たまたまとあるワークショップで知り合った方が、コーチで、かつ信頼できそうな方だったというのが今思うと大きな幸運でした。

初めてのセッションの場所はスターバックスでした。まずは現状認識から、ということで、現在の仕事、友人関係、家族関係などへの満足度に点数付けをしていきます。そして、理想の点数を紙に書いていきます。つまり、そのギャップを何らかの方法で埋めれば理想の状態に近づけるという考え方です。非常にシンプルなワークなのですが、自分のモヤモヤが何に起因しているかがビジュアル化されるとそれだけで、発見があるというか、モヤモヤが少しクリアになっていくのを感じました。

コンサルタントが問題解決の一手法として使うのが、問題をMECE(モレなくダブリなく)に因数分解するということ(これはコンサルで実際に使いまくります!)なのですが、この手法にコーチングはある意味似ています。コーチングでは、現状のモヤモヤをいくつかの要素に分解して、どこにモヤモヤのポイントがあるのかを洗い出していくということをよく行います。

現状の課題、目標を明らかにして、次の回までの具体的なアクションを洗い出して、第1回目のセッションは1時間半で終わりました。1回目のセッションを終えて感じたこと。それは、「たくさん話したなー」ということ。そして、「こんなに自分のことを話して良いんだ」ということでした。

自分のことを1時間以上にわたって真剣に他人に話すということが日常的にどれくらいあるでしょうか?もちろん軽いトークならあると思います。ただ、自分は何が課題でどうすればよいのかと真剣に考えて話す機会は私にはほとんどありませんでした。話すことによって自分の中の課題がはっきりし、やるべきことが明確になり、頭の整理ができた感覚が得られました。課題が明確になりモヤモヤが少しでもスッキリすると次の行動への活力が生まれるのだなと感じました。今振り返るとコーチングで言うところの「クリアリング」だったのだと思います。

そして、同時に感じたことは、自分のことを話すことについて、今まで相手への遠慮がたくさんあったということでした。相手の話を聴かねばという、「傾聴」の気持ちが強かったのです。傾聴は大事ですが、やはりバランスが大事です。私の場合、コーチングでは料金をお支払いしているので、遠慮なく自分の話をしても良い、という考えを持てたのが大きかったと思います。

未来を描いてみる

その後も、自分の頭の整理のつもりでコーチングのセッションを重ねていきました。あるセッションのテーマは、「将来の自分や会社について」でした。将来の自分の会社のビジョンが見えてこなかったし、そこが不安の源泉だったわけですが、コーチからの問いに対して必死に答えているうちに少しずつその輪郭が見えてきたのです。

例えば、次のような問いが投げかけられました。

どういう組織を目指すのか?例えばスポーツで表すとしたら?
どんなオフィスで働いていたいか?
どんなメンバーが周りにいると良いか?
将来どのような生活をしていきたいか?

こんな「問いかけ」はシンプルではありますが、人生でほとんど投げかけられなかったものなので、最初は戸惑いました。しかし、「問われる」と考え始めるのが人間の面白いところです。これらの「問い」に対して「うーん」と唸りながら考えるうちに、次々と自分なりのキーワードが出てきたのです。

ラグビー型組織(ボールを後ろに投げてつないでいく)
グローバルな環境
他拠点生活(東京と大阪の行き来)
従業員というより仲間
階層構造ではなく、フラットな関係性

この「うーん」というプロセスを通して気付いたのは、当たり前の話ですが、将来を自分で自由に描いても良いのだということでした。当時私は色々な世の中的な「成功」のパターンに自分を投影していました。お金を得る、多くの人にサービスを利用してもらう、大きな組織を作る、などです。ただ、それが本当に自分の求めているものか、コーチングのセッションを通してよく考えると正直そうでもないということが私の場合は多かったのです。

1,000人規模の誰が所属しているのかわからない組織よりも、お互いの顔と名前が一致してコミュニケーションが取れる30-40人の組織の方が楽しいかもしれない。少し考えるとそんな自分の本音が出てくるのです。「世の中的な成功」というイメージで自分が思考停止しているということがこのプロセスを通して自分なりに認知することができました。

行動してみる

また、コーチングで何より効果的だったことは、次回までのアクションを毎回明確にするということでした。1人で行動目標を決めて実行するのが得意な人は問題ないのかもしれません。ただ、私は自分で決めた行動が本当に大事なのか、ついつい考えてしまう癖があったので行動が継続しない傾向がありました。しかし、コーチングの中で決めたことは次回にコーチから「あのアクションはどうなりました?」と聞かれることがわかっているので、「まずはやってみよう」と取り組むことができたのです。

これは行動の継続という意味で良かったのですが、それより大きな成果だったことは、行動を繰り返して試行錯誤することが何より大事だと気付けたことです。つまり、「行動しないとわからない」という当たり前の真理に気付いたのです。

私のように新卒でコンサルタントとして訓練されると、お客様の事業について考え抜くということが、ある意味習慣になります。様々な打ち手のリターンとコスト、リスクを明らかにし、お客様が気付いていないポイントまで含めて検討していき、最もROIが高いものを、できれば新たな打ち手の形で創出する、これがコンサルタントの究極的な価値だと思います。このためには圧倒的な思考の幅と深さが求められます。

これを私は個人に当てはめて考えていました。運動するなら何が効率的か入念にリサーチした上で…、勉強するならその勉強のROIを考えて…、事業するなら市場規模が大きい領域を考えて…、入念で完璧な準備が成功を生む、そんなことを個人レベルでも考えていました。

しかし、コーチングを通して気付いたのは「組織と個人は異なる」という当たり前の事実でした。組織は数百人、数千人がある意思決定に基づいて動くので、組織での行動は大人数に影響する以上、準備や検討は入念に行う必要があります。

一方で、個人の場合は、1人ですので、圧倒的に行動実行までが早くできる。そして失敗してもそのコストは大変小さいのです。(精神的に凹むことはあるかもしれません。でも、それだけのことです。)つまり入念に考えることは重要ですが、究極的にはやってみれば良いということです。転職のような大きな意思決定は準備が必要ですが、日常での行動はとにかくやってみるのが、個人においては一番効率的だったのです。

行動と言っても、無理をする必要はなくて、自分のできる範囲で少しのことでも良いから行動していく。でも、行動すれば何か気付きが生まれる。すると、想像していたこととはどうやら違うぞ、ということがわかってくる、すると物事は現実的に動き始める。そんなことが行動を繰り返す中で見えてきたのです。私はどうやら頭の中の空想の世界で、それまで彷徨っていたようでした。

「問い」に基づいて、「自身について発すること」、「未来を描くこと」、そして「とにかく行動すること」、これらは私にとってコーチングの大きな効果でした。そして、その結果気付いたことは「人生やキャリアに正しい方法はない、自分ができるやり方を模索していく」。こんなシンプルなことでした。

正しい方法はある?

コーチングを受ける前の自分は、とにかく「正しい方法」を見つけることにこだわっていました。世の中のどこかに自分のキャリアや人生がうまくいくための「正しい方法」があって、それを見つければすべてがうまく行く、という考え方です。しかし、気づいたことは、大切なのは、言葉を発し、未来を描き、動き続けること。正しい方法にこだわって行動が止まるくらいだったら、「これかなー」と1%の仮説でも動いていた方が良い。一つのことをやりとげる手段はいくらでもある。

もっと言うと、環境が激変する世の中だからこそ、実は「正しいやり方」なんてもうないのかもしれない。試してみて、自分に合ったやり方の方がうまく行くことが多いし、無理が少ない。こんなことをコーチングを受け続けてきて思っています。

かれこれ4年以上にわたって継続しているコーチングの中で上述のような気付きを私自身が得て、様々な試行錯誤の末、プライベートでは様々な価値観を共有できる妻と出会い、結婚することができ、仕事としても、研修事業への注力や法人研修への拡大など、事業を充実することができています。

現在弊社Rubatoに関わってくれている方は20名近くになり、個人講座は1,500人以上の受講生、そして年間数十回の法人研修と、法人向けのコンサルティング事業を展開しています。コーチングがなければ現在の自分はなかったと思っています。

今の私にとってのコーチングですが、定期的にというより節目節目で活用しています。例えば年末に来期に向けての抱負を考えるとか、事業計画を作るとか、そのような時には集中的にセッションを設定するイメージです。やはり忙しくしていると短期的なことばかり考えていて、心の余裕がなくなり、長期的には重要なことがどんどん後回しになる傾向があるからです。そういう時には時間を強制的にとって長期のことを考える、こんな活かし方です。恐らく自身の状況やステージに合わせてコーチングの使い方を変えるのが効果的だと思います。

終わりに

このように自分のキャリアや生活に大きく変化が現れたように、より多くの方がコーチングを活用し、変化が現れれば、という想いでローンチしたのがme:Riseということになります。me:Riseは従来のコーチングサービスで私が利用する際に課題として感じてきたことにチャレンジしています。「自分にあったコーチが誰なのかわからない」、「コーチの実績がわからない」、「コーチングの効果がコーチの立場からしか語られていない」、「コーチングの内容がわからない」、「内的探求に偏っている」、「費用が高い」、など。自身が感じてきたこれらのコーチングの課題を解決するために開発したのがme:Riseです。(ちなみにただ今、2回のセッションを特別割引で受けられるキャンペーン中です)

ただ、他にも個人向けのコーチングサービスはたくさんありますので、この内容を読んで興味を持たれた方は、何かのコーチングを試してみることをおすすめします。ちなみに有名なコーチングサービスはcotree、mentoなどがあります。コーチングは非常に情報の非対称性が高い(サービスを受けるまでが内容が何かわからない、価値もわからない)サービスですので、体験してみるのが良いと思います。

キャリアの選択肢、生活の選択肢が無限にあるからこそ、自分がどのように選択して、行動していけばよいかがわかりにくい時代です。コーチングを通してより多くの人が自分の言葉で語り、未来を描き、行動を重ねていくことで、自分なりの納得感のある生き方を作ることを願っています。

本文を通してより多くの方がコーチングに対して興味を持っていただいたり、具体的なイメージを持っていただくきっかけになれば幸いです。ここまで読んでいただきありがとうございました。

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