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思わず絶句してしまう”予測不能なクライエント“との向き合い方

 皆さんこんにちは。皆さんは、キャリアコンサルティング(カウンセリング)をする中で、思わず絶句してしまったようなクライエントに出くわしたことはありますか?今回はそんなお話をしていきます。ちなみに私は、“経験あります!!”

 それは、「部下を脅すクライエント」でした。あの時は本当に……怖かったです……。今振り返っても「怖いな」と思う、そのクライエントとは、転職支援をしている会社で出会いました。
 その方は、突然会社に現れて、書類も何も用意されずに、「早く求人を出せ!!」の一点張りでした。挙句の果て、私の部下に、「てめえ〇〇〇ぞ!!」と怒鳴り散らし続けたのです。社内が騒然とするなか、部下が泣きながら私のもとにやってきました。
 上司だった私は、「刺されるかも」と一抹の不安を抱えながら面談ルームに向かいました。紹介のためには書類が必要なことやご希望についてお話を伺おうと傾聴続けても、なかなか収まりません。結局丁寧に頭を下げ続け、ようやく帰っていただくことができました。

と、度が過ぎる例を挙げてしまいましたが、「話が通じないな」「伝わっているのかな?」と思うような経験は、どなたもお持ちではないでしょうか。1級、2級や国キャリの試験対策をしていると、よく相談されます。

たとえば、どのようなケースがあるでしょうか。少しやりとりをみてみましょう。

02_目指せ_M-3_バッドケース


質問が通じない💦 

 会社を辞めようとして悩んでいるクライエントであれば、“なんとなく”キャリアコンサルタントに相談に来るでしょうか?
 「なかなか相談できずにWebサイトで検索して見つけた」「友人に相談してその友人の紹介」などなど、それなりに理由があると思います。でも、上記のケースでは、まったく嚙み合わず、CC側もCL側も面喰ってしまっているように見受けられます。

🤔考えてみてください!

 クライエントは、なぜ、“キャリコンにとって”トンチンカンな回答をしてしまったのでしょうか。
 そのような答えをしてしまうには理由があります

03_目指せ_M-3_CLの回答理由

 質問を理解していなければ、当然、クライエントはキャリアコンサルタントの問いかけに答えることはできませんよね。“キャリコンにとって”と書きましたが、キャリアコンサルタントにとってトンチンカンな回答であって、クライエントは、質問の意図がわからず「何を答えて良いかわからない」というなかで答えており、キャリアコンサルタントよりもクライエントの方が不安を感じている可能性は高いのです。つまり、この時点で、お互いにストレスを感じる状況にあると考えられます。

 また、質問を理解しているにもかかわらず、要領を得ない回答になっているのは、ざっくり3つの理由が挙げられます。考えられる具体的な背景をみてみましょう。

A:回答が思いつかない
→たとえば、深く内省することで、自分の中にある答えを引き出せるのに、その過程を経ずに「その場しのぎの回答」をしてしまっている場合が考えられます。

B:嘘をついている
→たとえば、自分の弱みを見せたくない、自分をよく見せたいという自己防衛が働き、真実を隠している場合が考えられます。

C:言いたくない
→たとえば、キャリアコンサルタントに心を開いておらず、「あなたには話したくない」という気持ちになっている場合が考えられます。

 もし、このような状況のまま、面談を続けるとどうなるでしょうか。
皆さんは、すでにお気づきのことと思いますが、「信頼関係の構築(=ラポール形成)」は難しく、この面談がクライエントにとって満足のいくものになる可能性は低いということになります。

🤔では、我々キャリアコンサルタントは、どのように接していけばよいのでしょうか。大切なのは、基本の基本とではありますが、「クライエントに寄り添うこと」です。
 ただ、「“わかっちゃいるけど”、いざ、実践(クライエントとの面談やロープレ練習)となると」、この基本を忘れがちな方は、少なくありません。さらに、両者の間に流れる気まずい雰囲気に耐えかねて、ついつい問いを重ねてしまい、状況を悪化させてしまう、ということも起こりやすいです。
しかし、あなたの問いかけに対するクライエントの答えに、
あなたが 「(。´・ω・)?」や「(+_+)」という表情になっている場合ではないのです。

 クライエントの表情をよく見てみましょう。あなたのその問いかけに対する答え方に伴って、非言語(ノンバーバル)であなたに訴えかけていることはありませんか?
 たしかに、沈黙は怖いし、クライエントに嫌な顔をされるのは、辛いですよね。しかし、わからないまま進めることの方がもっと問題です。クライエントが、首を傾げたり、不信そうにしたり、怒ったり、「それさっきも言いましたけど」などと指摘してくる場合は、クライエントを理解する絶好のチャンスと前向きに捉えてください。
 何が違ったのか?悪かったのか?不安にさせたのか?これらを一つひとつ確認していくことで、クライアントを理解することができるようになります。

04_目指せ_M-3_クライエントのサインを見逃さない

 キャリアコンサルタントが適切に問いかけることで、クライアント自身が自問自答し、内省が深まります。この内省を促すためにも、信頼関係の構築(ラポール形成)は本当に大切です。あわてずに、クライアントに寄り添い、お互いに同じ状況が伝わるまで、辛抱強く対応することを心掛けましょう。
前回では、ロジャーズの三原則についてお伝えしました。

05_目指せ_M-3_ロジャーズ

 大事なことなので、ここでもお伝えします。クライエントと噛み合っていないと感じたら、まず、その状況を受け止めましょう(自己一致)。そして、クライエントの表情、言い回し、「……」に込められた思いを感じ取りましょう(無条件の肯定的関心)。自分の問いかけがクライエントに届いているのか、いないのかを確認し、届いていないのであれば、言い方を変えて問いかけ直しましょう(自己一致)。これらを繰り返していくこととで、共感的理解が生まれます。
 そうなれば、自然とクライエントとキャリアコンサルタントの間に信頼関係が構築され、クライエントも「この人になら何を言っても大丈夫」と安心して本心を打ち明けることができるでしょう。このような状態で面談が進行すれば、クライエントの内省を促し、クライエントが納得のいく答えを見つけるお手伝いをすることができるのではないでしょうか。

ではまた次回!「1回の面談を大切に!ベストを尽くそう!!」

バックナンバー
#1 キャリコンの上位資格取得は、誰のため?
#2 プロ意識が成果を生む! キャリコンの自信のなさはクライエントに失礼!


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