見出し画像

キャリコンの上位資格取得は、誰のため?

こんにちは、1級キャリアコンサルティング技能士のタラちゃん先生です!

 このマガジンでは、1級、2級キャリアコンサルティング技能士を目指している方や、キャリアコンサルタントとしてステップアップを目指す方に役立つ有益な情報やアドバイスをしていきたいと考えています。

 初回なので、簡単に自己紹介しますね。私がキャリアカウンセラー(CDA)になったのは2004年、2010年に2級キャリアコンサルティング技能士試験に合格し、2015年に1級キャリアコンサルティング技能士試験に合格しました。これまで転職希望者を中心に、年齢を問わずキャリアに悩んでいる方々の相談を受けてきました。
 現在は大学で教員をする傍ら、キャリア相談を受けたり、資格取得希望者向けの講師を務めたりとキャリアに関する支援を17年間続けています。

 さて、皆さんがこの記事をご覧になっているということは、キャリアコンサルタントの上位資格を取得する目的が何かしらあるのだと思います。その目的は人それぞれだと思いますが、クライエントが皆さんをどのように捉えているか、考えたことはありますか? 釈迦に説法にはなりますが、今一度、クライエント目線でキャリアコンサルタントがどのように見えているのかを考えてみたいと思います。

キャリアコンサルティングの場面を想像しながら少し考えてみましょう。
 例えば、大学3年生が「就職活動について相談したい」と思って、キャリアカウンセリングに初めて相談に来た場面を想像してみてください。
 あなたの前に座ったクライエント(すなわち大学3年生)の気持ちになってみましょう。相談に来た大学生にとって、キャリアコンサルタントが有資格者かどうか、1級、2級といったキャリアコンサルタント資格のレベルに関係があるでしょうか? そもそもキャリアコンサルタントという資格の存在を知っているのでしょうか?

 そうなんです! クライエントにとって、キャリアコンサルタントの資格そのものや資格のレベルは関係ないと思いませんか? 資格に種類があることもその違いも判らないことが多いのではないでしょうか。

 当然のことながら、面談が終わったクライエントは「1級の資格を持っている方なので話ができて良かったです」などとは言いません。対応したキャリアコンサルタントの接し方や寄り添い方が、クライエントの満足感に影響します。

 つまり、「“上位資格”が“クライエントのためになる”」という考えは当てはまらないのです。結果的に上位の資格を取ることが、クライエントのためになるかもしれませんが、「上位資格を取得すること=クライエントのためになる」にはならないことがおわかりいただけたのではないでしょうか。
さて、あらためて皆さんの上位資格取得の目的を問いかけたいと思います。「自分自身の肩書のために」ということになっていませんでしょうか。

何のために上位資格を取得するのか?
 ではでは、何のために上位資格を取得するのか、そして、キャリアコンサルタントである私たちは、キャリアコンサルティングをどのように捉えるべきなのでしょうか。

 まず、キャリアコンサルティングについて考えてみましょう。キャリアコンサルティングの場面は一発勝負です。全く同じクライエント、シチュエーションは起こりません。1回限りです。その1回をいかに大切にするのか。その1回のためにどれだけ努力、準備するのかが大切なのです。そのために広い視野で様々な知識・経験を経ながらクライエントに接していく必要があります。

 皆さんの中には、「経験豊富なキャリアコンサルタントが対応すれば、良い面談になるのでは?」と考える方も少なくないと思います。もちろんその方が良い結果を得られるかもしれません。しかし、国家資格キャリアコンサルタントに合格した皆さんには、最低限必要な知識は身についていると考えるべきです。つまり、経験の深浅に関わらず、誰がキャリアカウンセリングをしても最低限は同じレベルになるということを考えながら面談をするべきなのです。

 「私は経験が浅いから、クライエントに迷惑がかかる」などと弱気になる必要はありませんし、弱気になってはいけません。それではいつまでたっても一人前にはなれません。資格を取得した時から一人前なのですから自信を持ってキャリアコンサルティングに臨んでください。大切なのはクライエントとの「ラポール形成(信頼関係の構築)」ですから! ラポール形成ができれば最低限のゴールは達成です。「話を聞いてもらえて良かった」「また相談にのってほしい」と言われるように、経験豊富な方より時間はかかるかもしれませんが、丁寧なカウンセリングを心がけましょう。


上位資格が求められる役割について
 次に「何のために上位資格を取得するのか」を考えるにあたり、「キャリアコンサルタントの能力要件の見直し等に関する報告書」(厚生労働省 平成30年3月26日公表)をあらためて確認しましょう。
 指導レベル、熟練レベル、とありますが、少しわかりにくいですよね。私は、1級の「指導レベル」を「キャリアコンサルタントのお手本となる人」、2級の「熟練レベル」を「若葉マークが外れた、いわゆるシニアレベル」と定義しています。
 各級ごとの受検資格については、キャリアコンサルティング協議会の国家検定「キャリアコンサルティング技能検定」の受検概要(Link)をご確認くださいね。

国家資格キャリアコンサルタントー階級ータラちゃん定義付き

キャリアコンサルタントのお手本とは!
 やわらかく言えば、「どんなクライエント(苦手な人)にも上手に対応できる」スキルを持った人です。そして、自身のスキルを仲間と学び合い、後輩たちにスーパーバイズできる存在であることです。
 人生100年時代、キャリアコンサルタントに求められる役割は、個人レベルでも、専門家集団としても、拡大・深化することが期待されています。より質の高い専門家集団を形成するための一助を担うことができる人たち、とでもいえるのではないでしょうか。
 とはいえ、時折、1級、2級の資格保有者の中には、自身のロープレを見せたがらない人もいますよね……。手の内を見せたくないのか、自信がないのか、学び合う姿勢がないのか……。最近もモヤモヤする出来事がありましたので、機会があればお話ししますね。

シニアレベルとは!
 「若葉マークが外れた人」と定義させていただきましたが、もちろん、1級、2級と上位資格を目指さず、長年活躍されている優秀なキャリアコンサルタントの方もいらっしゃいます。上位資格を取らない選択肢もありますので、誤解のなきようお願いいたします。
 私が気になっているのは、資格欲しさに勉強されている方たちです。ご自身のスキルアップが目的であれば、何ら問題ないのですが、2級取得の勉強会等で試験のための勉強をされている方をお見かけすることも少なくありません。
 ご自身のキャリアコンサルタントとしてのレベルを高めていき、結果として資格がついてくる、というのが望ましいと私は考えています。

ちなみに……有資格者の現状(登録者数)
 2020年(令和2年)7月31日時点のキャリアコンサルティング技能士数は、特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会の発表によると1級が432名、2級が9,768名の合計10,200名が登録されています。
 国家資格のキャリアコンサルタントの登録状況は、国家資格キャリアコンサルタントWebサイト登録センターによると2021年1月末現在でキャリアコンサルタントの登録数が56,623名となっています。

国家資格キャリアコンサルタント登録者数(202101)

 登録しているキャリアコンサルタントのうち1級は1%未満(0.76%)2級は17%という状況です。少ないと感じるのか多いと感じるのかは人それぞれですが、個人的には1級キャリアコンサルティング技能士のミッションを考えると、もう少し人数がいても良いと感じています!

 今後は上位資格取得のために身に着けておくべき視点やポイント、キャリアコンサルティングをするうえで大切にすべきことなど、私が考えていることをお伝えしていきます。
 ではまた次回!「1回の面談を大切に!ベストを尽くそう!!」

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?