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これからの日本における外国人雇用とは

最近、外国人労働者は増加の一途を辿り、2020年1月に発表された厚生労働省が発表したデータによると、昨年10月時点で166万人以上が日本で就労している。

私自身、ブルーカラー・ホワイトカラー両方の外国人雇用に携わってきたが、そもそも日本人を含めた、労働者の労働環境を改善しない限り、いくら賃金が安い発展途上国から人を集めてきたとしても、日本という国はどのみちますます労働力不足に陥る気がしてならない。

その理由について述べたい。

①劣悪な労働環境

既にニュースなどでも報道されているように、残業代の未払いや人権を無視したような外国人労働者に対する酷い扱いが横行している。
特に技能実習生などに対する扱いは酷いものである。

実際、以下の厚生労働省の発表にもある通り、実習実施者のうち労働基準関係法令違反が認められたのは平成30年で70.4%というデータもある。

厚生労働省発表データ
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_06106.html

最近は厚生労働省やJITCOが取り締まりを強化しているが、まだまだ改善の余地があることは否めない。

何せ日本は外国人労働者に対してだけではなく、日本人労働者に対しても残業代未払いを平気で行う国である。
そもそも経営者が法令違反を行っているという意識が低いのだろう。

他国では雇用の流動性が高く、転職回数が日本よりハードルになることが少ないため、契約や法令違反があった際、労働者はすぐに退職する。すると経営者は人材不足に陥ってしまい、経営が立ち行かなくなる。はたまたストライキが発生することも多々ある。

そういった意味で、日本はまだ労働者より経営者のほうが強いのかもしれない。

②先進国の中でも低い賃金上昇率

経済協力開発機構(OECD)の統計によると、時間あたりでみた日本人の賃金が過去二十一年間で8%強減り、先進国中で唯一マイナスとなっている。
二〇一八年時点での日本人の一時間あたりの賃金は一九九七年に比べ8.2%減少。
これに対し、英国(92%増)、米国(81%増)などは軒並み増加している。
物価上昇分を差し引いた実際の購買力である実質賃金でみても日本は10%下がったが、英国(41%増)、米国(25%増)などは上がっている。

東京新聞 2019年8月29日 朝刊より
http:// https://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201908/CK2019082902000151.htm

その上、毎年最低賃金が上がっているとはいえ先進国の中でも日本は最低賃金が低い。
特に技能実習生は勤務地の最低賃金に近い金額で働いていることがほとんどだ。
お金を稼ぎに行くのに、同じ時間を働いてわざわざ賃金の低い国に行く必要はない。ベトナム人などはFacebookでの情報交換が盛んなため、あっという間に悪い噂は広まっていく…

③あいまいな職務内容や評価制度

海外は自分のポジションに対する職務内容がはっきり決められており、且つ評価制度もきっちり決められている。
それに対し日本企業は働く内容や評価に関する多くのことが「曖昧」である。
いち早く結果を出したとしても、それがすぐに給与に反映される環境は正直稀であると言わざるを得ない。
そのような環境は、特に専門性が高い外国人の高度人材にとっては、受け入れがたいだろう。
このようなことに対して、外国人労働者に対し日本人が「日本ではそうだから」といって価値観を押し付けるようでは、優秀な人材は定着せず、どんどん流出していく。
「多様性」という言葉が近年よく叫ばれているが、実際のところ、外国人労働者を雇用して日本の価値観を押し付けて働かせている企業が多い。

多様性とは一方の価値観を押し付けるものだっただろうか…
日本の会社は多様な「フリ」をしているだけのような気がしてならない。

HSBCホールディングスが発表した2019年の「各国の駐在員が働きたい国ランキング」でも表れている通り、国際社会で日本は「働きたくない国」として認識されている。

世界の労働者に見捨てられる前に日本の経営者たちは自社の環境を早急に変えていく必要がある。

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