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ダメ医者根絶大作戦 バカな患者にならないためにシリーズ


ダメ医者ってたくさんいます。
最新の医療知識を身につけず、ひと昔もふた昔も前の治療を行う医者。売上を上げるため、ノルマを達成するため、業績を上げるために診療を行う医者。やってみたい、使ってみたいという好奇心を満たすために診療を行う医者。思っているよりもすごく多いと思います。

なぜダメ医者は世に溢れているのでしょうか?
ダメ医者なのになんで一端の医者として生き残っているのでしょうか?


それは、バカな患者がいるからです。

テキトーな治療をしてもバレない。文句も言われない。結果、「ダメ医者、世にはばかる。」です。

ぼくの叔父の話しです。都内の病院で脳腫瘍の手術を受け、その後定期的に頭部MRI検査を受けていました。しばらく経ったあるときの頭部MRIで脳に影が見つかりました。「MRIの所見からは悪性腫瘍と考えられます。手術での取り残しの可能性もあります。」と放射線科医から言われましたが、脳外科の主治医はそうは考えていませんでした。それから月日が経ち、なにがきっかけだったのか脳外科の主治医に「影が悪性腫瘍かどうか、ためしに取ってみましょう」と言われ、手術リスクに関してはほとんど説明のないまま叔父は手術を受けました。脳腫瘍は結果的に悪性だったのですが、叔父は手術後から言葉をうまく発することができなくなり、右手も動かせなくなりました。事前の説明では、退院したらすぐに仕事に復帰できると聞いていたのですが、麻痺のせいで仕事ができなくなりました。主治医から麻痺の原因や今後の治療方針に関する話はなく、「そのうちスプーンを持てるようになるといいですね。」と言われただけだったようです。叔父が治療を受けている病院は都内の有名な病院で、一流の医大を卒業した医者が叔父を担当しています。その結果がこれです。たしかに合併症はつきものです。しっかり準備を行なって、全身全霊をかけて治療にあたってもうまくいかないことはあります。でも諸々聞いているところから想像すると、真摯な態度で診療していなかったのではないかという疑念が湧いてきます。治療が成功したならまだしも、失敗してなおろくな説明もしないのはダメ医者でしょう。にも関わらず、叔父と叔父の家族は何が分からないのかすら分からず、何を聞けばいいかも分からず、ただただ呆然としているだけのようでした。第三者であるぼくは何も言えません。ただ、なんとも表し難いやるせない気持ちでいっぱいです。

ダメ医者が行った手術の合併症は目に見える形で患者さんに害を及ぼします。しかし、ダメ医者の診療の多くは誰にも気づかれることがないのです。本当はやる必要のない手術でも、テキトーな理由をつけて説明し、実施することは簡単です。患者さんは病気が治った気になるかもしれません。でも本当は体が傷ついただけです。本当は内服する必要のない薬を訳のわからぬまま飲んでいる方はたくさんいます。手間ひまかけてもらった薬、飲み忘れのないよう処方箋通りに内服する。でも体は何も良くならない。だって、本当は必要のない薬だから。そんなに悲しいことはありません。麻痺が出たり、目が見えなくなったりすることはないかもしれませんが、その不必要な薬が長時間かけて体を蝕むかもしれません。

ぼくは都会、田舎いろんな病院に勤めてきました。経歴立派、オーラも話し方も立派、いい具合に歳をとっていて見た感じ威厳もある。でも蓋を開けたらダメ医者っていうのをたくさんみました。情のかけらもないようなくそダメ医者です。
見た目や話し方、経歴や役職でダメ医者かどうかを見抜くことはできません。ダメ医者こそトラブルになりそうになった時の対応が上手いのです。

どうすればダメ医者をダメ医者だと見抜くことができるのか考えました。

周りのスタッフに聞く。それは一つの手です。が、周りのスタッフもダメ医者の協力者である可能性があります。周りのスタッフが医者を正しく評価できている保証もありません。

2ndオピニオンを聞く。これも一つです。が、2ndオピニオンを聞かれる医者にもそれぞれの立場があります。思うことを素直に言ってくれる医者もいるでしょう。しかし、同じ業界で働く他の医者を真っ向から否定はしたくないと思う2ndオピニオン、業績や経験のために自分こそが治療をしたいと思う2ndオピニオン。思惑はさまざまです。そんなわけで2ndオピニオンを聞きに来た初対面の患者さんに思うこと全てを言うかはわからないのです。そもそも2人目の医者がダメ医者の可能性もあります。

ダメ医者の完璧な見抜き方があればどれほどの人が救われるでしょうか。でもなかなか良い案は思い浮かびません。

現時点でぼくが考える最善の策は、バカな患者ではなくなることです。「まな板の上の鯉になっておけばお医者様が良いようにしてくれる。」なんて思ったら大間違いです。医者は聖人ではありません。分からないことだってある。使ってみたい薬だってある。お金だってたくさん儲けたいのです。無闇に信用してはいけません。分からないことを分からないと認識して質問する。そして医者を見極める!自身の病気のことをしっかり理解して、信頼に足るその医者とともに治療する。そうしないと、ダメ医者のカモになってしまいます。すごくすごく嫌な言い方をすると、「ばかな患者はダメ医者の養分」なのです。


ダメ医者根絶大作戦 バカな患者にならないためにシリーズは、「ダメ医者をダメ医者と認識するための基礎知識を身につける」を念頭に置きつつ、実際にその疾患を患っている人に一から説明するイメージで作りました。わからないことだらけだと、医者に質問するのもなんだか気が引けてしまいますよね?医者に遠慮せず真っ向から質問するための知識を身につけていただけたら嬉しいです。
主治医には健康面での自分の人生を託すのですから、診てもらう医者をしっかりと見極めてくださいね。

*)研修医や循環器に関わる医療者に対しては別シリーズを作りますので、そちらを読んでいただけたら嬉しいです。


ダメ医者根絶大作戦 バカな患者にならないためにシリーズ


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