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カレー粉の中身も知らなかった僕に、スパイスカレーブームが残したもの〈後〉

スパイスカレーブームを振り返る記事の前編を書いてから気づけば2ヶ月以上経ってしまっていました。
4月から全く……ではないけど別のことに熱中していて、noteを書くこともしなければ見ることもしていませんでした。それについてはまた追々。

結構放置してしまっていて、何を書きたかったのかちょっと忘れ気味ですが、メモした内容を頼りに、けじめとして書いていきたいと思います。

前編では、世間でスパイスカレーがどうなったかを振り返ってみましたが、後編では、僕自身に何が残ったのかを振り返ってみたいと思います。

その前に、軽くスパイスカレー遍歴を書いておくと、僕はカレー粉の中身も知らない状態から、2019年の暮れからスパイスカレーにハマり、インスタでしばらく投稿したあと、2021年にはスパイスのブログ「スパイスフルライフ」を開設。しかし、2023年の中頃に起きた色んな出来事を機にブログの更新をストップ。スパイス料理への関心は以前より薄れてしまっている……というのが現状です。


残ったものその①:大量のスパイス

はい。お察しの通りですが、大量のスパイスが余りました。乾いた笑いが出てきます。
日々カレーやスパイス料理を作る日々の中では「どれだけあっても足りない」と思っていたスパイスが、今や「どれだけ使ってもなくならない」ものとして棚の一角を守護し続けています。

スパイス、特に粉にしてしまったものはどんどん香りが落ちていきます。フレッシュな香りを楽しみたければ、どんどん使って回転率を上げるのが肝要。でも、ひとたびその回転が止まればお察しの通り。
スペースの占有率としては、モノがかさばる趣味と比べればマシかもしれませんが、20種以上スパイスを持っているものですから(パウダーとホールをそれぞれ持っているものもあるので、ビンはもっと多い)、それなりに調味料棚は圧迫しています。
スーパーで買えるスパイスのビンだけでもそれなりにあるのに、通販で買った100gとか50g単位のスパイスを入れるキャニスターもそれなりにあるので、まあまあスペースを取っています。

「スパイス100g」って、左の袋ぐらい入ってるんです

だからといって一挙に処分できるほど、僕はかつての友人たちに対し非情になりきれません。もういっそのことあれもこれも混ぜてしまい、カレー粉に仕立ててしまうことも考えましたが、時間経過と共に、ゼロに近くなっていたスパイス料理への関心も「まぁ、たまには作ってみるか」と思うようになり、最近は週に1度はスパイス料理やカレーを作って、残ったスパイスの消費に努めています。

チキンティッカ(一口大のタンドリーチキン)を漬け込んでご飯の上に載せてみたり……

久しぶりにチキンカレーも作ったり。最初の一口では塩が少し足りなかったぐらいで、あまり腕は落ちていなかったようです。さすがに数えてないぐらい作ってれば、もう身体が覚えてますね。「昔取った杵柄」にカウント……するのは少し寂しい気もしますが。

残ったものその②:大量のレシピ

こうして「たまに作る」ぐらいのスパイス料理の消費者となったときに役に立つのが、自分がこれまで作ってきたレシピたちです。ブログに載せたレシピは全て自分のNotionに保存しているので、いちいちブログを開かなくてもレシピを参照できます。

ざっと200ぐらいはありました

一応、再現性を重視して塩のグラムまで計量していたので、当時のフィーリングに頼らずに作れているのは、「昔の自分、ありがとう!」と言わざるを得ません。

カレー以外のスパイス料理のレシピも大量なので、「カレーの気分じゃないな」というときでもスパイスを使えます。

↓よかったら覗いてみてください↓

こうしてチマチマ使っていれば、大量に抱えたスパイスの在庫もいつかは掃けていってくれるでしょう。

残ったものその③:スパイスに対する感受性

「スパイスに対する感受性」、これが結局一番だと思います。モノではなく身体に刻まれたものですから、度々スパイス、ハーブを食べて思い出しておく必要があるといっても一生ものの知識です。

スパイスに対する感受性を豊かにしておくと、日常的に食べているものの中にスパイスやハーブを見つけたときにいちいち感動できます。

前に友人に誘われてビュッフェに行ったときのことです。年齢も重ねて食べ放題に魅力を感じなくなっていた中、キャロットラペからクミンの風味を感じ取りました。
結構安価なビュッフェだったので正直ナメていたのですが、キャロットラペからふと香るクミンの風味から、「ちゃんと作ってる!美味い!」と感動へ気持ちが一気に振り切れました。

スノビズム気取ってると受け取られようとも、やっぱり知っているかどうかで、日常の感動や楽しみは増えるものですから、スパイスのことは知っておいてよかったと思います。

それに、スパイスの香りを表現する際の語彙が増えたのが嬉しいです。

クミンはシソ、どっしり、土っぽい。
コリアンダーは甘くて、柑橘で、清涼。
クローブは渋くて、甘くて、ウッディで重い……

まぁ、スパイスカレー本やスパイス図鑑の受け売りがほとんどなんですが。

こうしてスパイスの香りの表現の語彙が増えた状態でメディアを眺めると、スパイスの香りの表現はだいたい「スパイシー」「オリエンタル」「エキゾチック」の3語で回っていることに気づきます。
これでは、それぞれのスパイスの香り、魅力がすっかりスポイルされているぞと。

とはいっても、日本人にとってスパイスは長らく(丁子=クローブはまさにそう)として使われており、食べ物として親しみのあるものではないから、うまく対応する語がなかったり、作られなかったりというのはあるかもしれません。

スパイスカレーブームが起きて、以前よりも遥かにそれぞれのスパイスの香りに関心を寄せる人は増えたはずですから、もう少し、多様な表現が出てくればいいなぁと思ったり。
でも、「このキャロットラペに入ったクミンの香りを楽しんでいるのは周囲でオレだけだぞ……」とコソコソと一人悦に入るのも悪くないですね。

おわりに

スパイスカレーブーム経て、僕自身の元には、
①:大量のスパイス
②:大量のレシピ
③:スパイスに対する感受性

これら3つが残りました。

およそ3年間、遮二無二やってきて「これだけか」と思うこともあれば、「まぁまぁ残ったな」と思うこともあります。月並みな言葉ではありますが、やっててよかったですね。次にやりたいことにもきっちり繋がっています。それはまた次のnoteにでも書いてみたいと思います。

ここまでご覧いただきありがとうございます。それではまた。

↓前編はこちら

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