見出し画像

【30歳、サーキットデビューする】③走行当日・タイムアタック編

「未体験ゾーンを知る、楽しさ」


マイカーでサーキットを走る。やっとその経験が出来た筆者。
しかし、まだ余力を残した練習走行を行っただけ。

そして始まったジムカーナ大会の本戦(タイムアタック)にて、ついに自身初の全開走行にトライする。


どんな走りになるのか?車は耐えられるのか?無事に走り切る事が出来るのか??

全3回に渡ってお届けしてきたサーキット体験レポート。
最終となる本記事では、ジムカーナ大会・本戦の模様と、サーキット走行を経験した感想をお届けする。

協力店:GR Garage 宇都宮 つくるま工房
https://www.corolla-tochigi.co.jp/naradeha/tsukurumakobo

走行コース:つくるまサーキット那須
https://sunrise-circuit.jp/index.htm

サーキット体験①準備編

https://note.com/car_barn/n/n8d08acb07c40

サーキット体験②走行当日・プラクティス編

https://note.com/car_barn/n/nd193766aba7a


■”納得いく走り”をしたいんだっ!


全参加者の慣熟走行が終わり、いざ本戦。2本のタイムアタックが始まった。


ちなみに本戦での走行を、ジムカーナでは第1ヒート・第2ヒートと呼ぶ。
また、この大会では第1ヒート・第2ヒートの間に、2回目の慣熟歩行(+昼食休憩)が含まれているのも先に述べておこう。

慣熟走行を走り切った事により、コースレイアウトは覚えた自信があった。
よって、あとは”コースをどう攻めるか?”をひたすら考えていた。

その時、西野さん(GRガレージ宇都宮所属・当日のアドバイザー担当)が各自の慣熟走行を撮影した映像があるという話を聞き、自分の映像も見せてもらった。

走行映像を見ながら、ライン取りなどの細かいアドバイスをいただけたのが良かった。

しかしまぁ、7割のペースで走ったとはいえ「外から見ると、遅いなぁー」と思ってしまった。

実際に運転している体感と、外からの見え方に相違が発生するのは当たり前の話だが。周囲の熱い走りを見ている分、より一層に劣等感を覚えてしまう。

サーキット初体験の身とは言え、やはり”納得する走り”をしたいと思ってしまうのは、運転好きの性なのだろうか。

「もっとアクセルを開けよう。本番は予定通り、今できる全力で走ってみよう」

と、さらに強く思うのであった。

■初心者には手厳しいっ!?サーキットの洗礼を浴びてしまう


第1ヒートの出走が近づいていた。慣熟走行時の様に、緊張に体が強張る事もなくなっていた。

「全開でどんな走りが出来るのだろう?」

「今の自分では、どれくらいのタイムが出せるのか?」

など、未体験ゾーンへの期待と楽しみすら感じていた。

そして参加クラスの出走がアナウンスされ、自分のスタートを待つ。 

画像1


出走を待ちながら、慣熟走行時の走りとアドバイスを貰ったライン取りを刷り込ませて、イメージトレーニングをギリギリまで行っていた。

スタートラインに車を止め、大きな深呼吸を繰り返す。

自分でいうのも何だが、かなり落ち着いていた。

そしてスタートラインに車を止め、係員のフラッグが上がった。


一呼吸置き、アクセルを一気にベタ踏みしてスタート!

恥ずかしながら筆者のレガシィ、購入3年目して初めてのベタ踏みだった(笑)
大きく唸るエンジン、鋭い加速をしながらコーナーに入っていく。

慣熟走行時よりも格段に速く体感するペースに負けないように、コーナーでは狙ったラインをクリアしていく。

高速の右コーナーでは、これまた自分の車では経験した事の無いロール(車体の傾き)と、体が弾き出されそうになる程の強烈な横Gを受けたが(ホールド性の無いノーマルシートの為)、アクセルは全開で踏み抜いた。

画像2


コーナーをクリア出来た時は「曲がれたよー!」と心の中で叫んだもんだ(笑)

その後も、自分なりの全開走行でコースをクリアしていく。
正直、かなり調子良いと思ってしまった。


その先の思わぬ落とし穴に遭遇するまでは...

画像3

コースも終盤、中速の左コーナーをクリアし180°ターンに差し掛かった時に事件は起きた。

コーナー出口までアクセルを踏み切っていた事により、180°ターン入口のパイロンを見失ってしまった!
正確には、ターン入口のパイロンとターン中心のパイロンの区別が分からなくなってしまったのだ。

画像4

画像左上の180°ターンでミス

原因は、慣熟走行と第1ヒートでのスピードレンジ違いに、目が慣れていなかった事。

慣熟走行(7割)のペースでは、左コーナーをクリア→ターン入り口のパイロンが見えたらブレーキングという認識は取れていたのだが。

第1ヒート(全開走行)では左コーナーの脱出速度が速く、ターン入口のパイロンを認識しようとした時には、既に通過しそうになっていた。

その為、パイロンの認識に混乱が生じ、ブレーキングした際にはターン中心のパイロンすら通過していて、結果的にミスコース(コース間違え・タイム記録無し)となってしまった。

ピットに戻ると、実況を聞いていた同クラス参加者の方々に「何があったの!?」と聞かれ、一通りの事情を説明。

話を聞いてくれた参加者の中にも、過去にミスコースを経験した方もいるので、こちらの気持ちに共感してくれた。そして、こんな一言も。

「慣熟走行は練習走行だからペース落として走るイメージがあるけど。本番を想定して、慣熟走行からほぼ全開で走行して、スピード感覚に体を慣らしておいた方が良いって、私も以前に教えてもらって。それから慣熟走行も結構攻め気味に走るようにしてるよ。」

それを聞いて合点が付いた。

自分の走行前に見ていた他クラス参加者の慣熟走行が、かなりのハイペースで走っているのが。

その話を聞いて、納得しかなかった。

サーキット初体験の筆者にとっては、手痛い洗礼であり、いい教訓にもなった。


そして、話を大会内容に戻そう。

この時点で筆者は追い込まれていた。


第1ヒートをミスコースしてしまった事により、第2ヒートでもミスを起こしてしまうと、大会記録を残せない=完走したと言えないのである。

つまり、第2ヒートの目標はとにかく完走することになってしまう。

その為には、無理をしない守りの走りに切り替えるのがセオリーではあるのだが。

やはりそこはサーキット走行。普段体験できない全開走行を、もっと体験したい欲が出てしまう。しかも第1ヒートでは、途中までしか全開で走れていない。

画像5


どうしてもスタートからゴールまで、全開で走り切りたいという思いが強くなってしまう。

ミスを減らす為に守りの走りで行くか、ラストチャンスにかけて全開走行で行くか。

重要な決断を、思わぬ形で下さなければいけなくなってしまった。

■苦悩と葛藤を抱え、運命の第2ヒートへ


第1ヒートを終え、昼食休憩&2回目の慣熟歩行の時間を迎えた。
同クラス参加者の方々と談笑しながら昼食を取りながらも、筆者の頭の中では「第2ヒートをどう走るか?」の迷いを振り払えずにいた。

そして、2回目の慣熟歩行に向かった。各自、第1ヒートを走った感想を話しながら、コースを見て回る。

筆者がパイロンを見失った区間に差し掛かり「コーナー出口ではここに居た方が、180°ターン入口が分かりやすいですよねー」と、アドバイザーの西野さんにライン取りを教えていただいた。


ピットに戻り、第1ヒートの走行動画も見せてもらった。やはり、コース中盤までは慣熟走行よりも早いペースで走れていた模様。なおさら、ミスコースした悔しさがこみ上げてくる。

後が無い。泣いても笑っても、次がラスト。

そして、運命の第2ヒートが始まった。


慣熟走行の時とは別の緊張感を携えながら、スタートラインに着く。
緊張というより、自分へのプレッシャーだろう。

画像6


「迷いながら走ると絶対うまくいかない」

そう自分に言い聞かせながら、決めたプランを実行する事だけに集中しようとしていた。

そして係員のフラッグが上がり、一呼吸置いた後にアクセルを床まで踏み込み、第2ヒートがスタート!

画像7

コース序盤~中盤は、難なく走り切っていく。第1ヒートで目が慣れているせいか、流れる景色はゆっくり気味に見えてしまうが、タイムは上がっていると信じていた。(第1ヒートがミスコースの為、あくまで体感だが。)

そしてついに、問題の180°ターン手前に差し掛かかる。

その瞬間に、踏み込んでいたアクセルを緩めた。

完走を優先し、確実にターン入口のパイロンを捉える手段だった。1/100秒を争う競技としては、相当のタイムロスになるのは仕方がない。

そのおかげで、無事にコースを間違える事無く180°ターンを回る事が出来た。

画像8


あとはゴールに向かって、アクセルを踏み抜くだけ。
そして、ミスコース・ペナルティ無くゴールラインを通過し、完走する事が出来たのだった。

ゴール後、無事に記録を残せた安心感と、第1ヒートから続いた葛藤からの解放もあり、大きめのため息が自然と出た。

初参加とはいえ、スタートからゴールまで全開走行した結果を残せなかったのが相当悔しい。サーキットの醍醐味を100%堪能できなかったのが心残りとなる。

だけど、普段の運転では味わえないエキサイティングな体験と、スポーツドライビングの楽しさに触れる事が出来る、かけがえのない時間だった。

■マイカーの新たな一面に驚く

表彰式を終え、参加した大会自体はお昼過ぎに閉会となった。
その後は、運営側が設けてくれたフリー走行の時間が始まった。フリー走行の為、走行するのも、走行本数も自由である。

ここで筆者は当日アドバイザーをしてくれた、全日本ジムカーナチャンピオンでもある西野さんに、同乗走行をお願いした。
それも、自分のレガシィを運転する助手席に乗せてほしいという内容で。

理由としては、レーシングドライバーが自分の車をどのように操るのか。そして、自分では引き出せなかったスピード領域で、レガシィはどんな挙動をするのか。その2点が知りたかったからだ。

「いいですよっ!」と、西野さんは快く引き受けてくれた。

画像9

とても貴重な機会を得られた事と”さらなる未体験ゾーン”への興奮で、胸が高鳴る。

そして、同乗走行が始まった。
係員のフラッグが振られ、車が勢いよくスタートする!

画像10


自分も同じ様にベタ踏みをしていたつもりだが、まだまだ甘かったのがこの時分かった。


西野さんの踏み込みは躊躇が無く、思い切りの良さが感じられる。同じ車なのに、加速感が明らかに違う!

そして、最初の左コーナー。ブレーキングポイントの深さに驚く!


筆者のブレーキング感覚だと、まずブレーキを踏んで前荷重となっている状況でハンドルを切るのがセオリーだと思っていたが、西野さんのは真逆。

ハンドルを切って車体をコーナー方向に向けながらブレーキングを開始するのだ。そして、素早くコーナーを脱出して次の連続コーナー区間へ。

画像12

連続コーナー区間でのスピードレンジも全然違う。自分のドライブでは中々鳴らなかったタイヤが、早々とスキール音を上げる。

何より驚きなのが、初めて乗る車でここまで攻めたドライブが出来る事だ。もちろん西野さんからしたら、全開とは違う走りなのは承知の上だが。

そして自分の車がそのドライブに応えて、自分では引き出せなかったペースでも普通に走れているのも、また驚きだった!

「俺のレガシィって、こんな走れるんだー!!」

これこそ普段使いでは絶対分からない車の新たな一面を知れた瞬間だった。

画像11


そして、走行後に西野さんにお礼を伝え、筆者のサーキット初体験は全日程を終了したのだった。

■サーキット初体験の感想


人とのご縁で、ついに体験する事が出来たサーキット走行。
ジムカーナという事もあり、途中はレース体験という形にもなりましたが。
結果、すごく楽しかったです!!

そして思ったのは

「スポーツドライビングは、確実に普段の運転にも良い影響を与える」

という事です。

サーキットを体験した後から、筆者は運転感覚が少し変わったのを感じています。

サーキット体験前より、ブレーキのタッチやハンドルさばきなどで"無駄な操作を無くそう"と考えて走る様になりました。

サーキット走行、おまけに今回参加したジムカーナという競技はタイムアタック。無駄な操作や操作ミスが即タイムロスに繋がる為、運転にも繊細さやスムーズさが求められます。


筆者も普段の運転・趣味の峠巡りの中で、速さよりもスムーズさを重視して運転していましたが。

サーキット走行を経験して、さらに磨きをかけるキッカケを得る事が出来ました。

そして、「スポーツドライビングをもっと経験したい!」と強く思いました!

やっぱりサーキット走行もモーター”スポーツ”なんだなと実感しました。
走り終わった後に”たられば”が尽きません(笑)

もっと速く走るために、もっと楽しく走るために、ドライビングをもっと追求したくなる気持ちになりましたね。
サーキット走行を趣味としている方々も、そんな事を思いながら走っているのかなと思います。

今乗っているマイカーの新たな一面を知りたい人や、運転にもっと磨きをかけたいとお考えの方は、是非サーキットを走ってみる事を筆者はオススメします♪

最後に。

今回とても貴重な機会を提案してくれたGRガレージ宇都宮・つくるま工房さんに、この場をお借りして改めて感謝を申し上げます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?