【30歳、サーキットデビューする】②走行当日・プラクティス編
「何もかもが初めて」
長年実現できなかった”マイカーでサーキットを走ってみたい”という願望。
30歳という節目の年に、その願いを実現するチャンスを偶然手に入れ、2週間でなんとか準備も整えた。
そして、緊張と期待が入り交じりながら、ついに迎えた当日。
何から何までが初体験。しかしそこには”車が好き”という共通点を持った、心強い仲間達が待っていた。
全3回に渡ってお届けするサーキット体験レポート。
本記事では、走行当日の会場入り~練習走行までの内容をお届けする。
協力店:GR Garage 宇都宮 つくるま工房
https://www.corolla-tochigi.co.jp/naradeha/tsukurumakobo
走行コース:つくるまサーキット那須
https://sunrise-circuit.jp/index.htm
サーキット体験①準備編
https://note.com/car_barn/n/n8d08acb07c40
サーキット体験③走行当日・タイムアタック編
https://note.com/car_barn/n/n0822805ebe30#01VRc
■サーキットの朝は早い
サーキット走行日の朝は早い。今回参加したジムカーナ大会は、朝7時~7時50分までにサーキットに着き、参加受付を完了しなければいけない。
筆者も5時半に宇都宮市の自宅を出発し、那須塩原市のサーキットに到着したのは7時10分。
今回の会場は、舗装路とダートコースが隣接されている「つくるまサーキット那須」
案内された駐車スペースに車を置き、今回のキッカケを作ってくれたGRガレージ宇都宮(以下:GR宇都宮)の西野さんや、同じくGR宇都宮さんが設けてくれた”つくるまクラス”(以下:同クラス)の参加者さん達に挨拶をし、無事に参加受付&ゼッケンを受け取る事が出来た。
しかし、まだ一息つくことはできない。
受付が終了したら、今度は検査員による車検の対応をしないといけない。
サーキットで行われる車検とは、走行時に問題となる箇所がないか・事故の原因になりそうな破損などはないか・保護具(主にヘルメット)は大丈夫かなどを、検査員にチェックしてもらう事。せっかく受付をしても、車がダメなら走行が出来ない。
ただ、筆者と同様な一般参加者が行うのは、車内の荷物を空にするのがメインだと思われる。
ここで筆者なりのアドバイスを書くと、以下の3つだ。
① 降ろした荷物を置くブルーシートを持っていく
② 前日までに、不要な荷物は降ろしておく事。
③ 車の異常は、前日までにしっかりチェックしておくこと。
特に筆者と同様に、日常的に使用している車でサーキット走行をしようと考えている方は、②・③は気を付けたいところ。
不要な荷物を降ろし、車にゼッケンも貼り。通りがかった車検員さんを呼び止め、いざ車検へ。
人生初のカーゼッケンナンバーは「46」
筆者の乗るレガシィは、改造も特にしておらず。サーキットまでの自走時も問題なく(もちろん走行後も)。特に指摘は無いだろうと思っていながらも、内心は「何か言われたら、どうしよう」とドキドキ。
そして一人の車検員さんから「あっ!」という声が上がる。
「なんだ?どうしたっ!?」と声の方向へ向かうと。
「すみませんが、フロアマットは外してください。それ以外はヘルメット含め、OKです。」と言われた。
詳しい理由は聞かなかったが(めくれ上がりでのペダル操作ミスの防止?)、フロアマットは外さないといけないらしい。参考までに、覚えておこう。
無事に車検も通り、安堵の一息をつく。
サーキットに到着し、受付~車検終了までは中々の慌ただしさがあった。
おまけに何から何までが初体験だと、要領をつかめていないから多少の焦りや不安も想定していた。
しかし幸運な事に、この日の筆者にはそれを薄めてくれる頼もしい存在が居た。
それは、同クラスにエントリーした参加者達だった。筆者を含め、計7人。
当日はGR宇都宮さんがテントを用意してくれた
話を聞くと、趣味でサーキットの走行会やジムカーナを走っている面々が揃ったらしい。中には、過去にGR宇都宮が主催した走行会がキッカケで仲良くなり、今回のジムカーナも一緒にエントリーした人達も居た。
参加者の車もトヨタ・86、日産・シルビア、マツダ・ロードスターと、みんなスポーツカー。
サーキット初体験&ワゴン車は自分だけ。ある意味「体験枠」が一番似合う立ち位置(笑)
そんな自分にも気さくに話をしてくれて、過去にあった笑い話(主にハプニング系)や走行コースについての情報を共有したり。
ただ一人で走るだけじゃなく、一緒に参加する仲間が居るのがどれだけ頼もしいのかを改めて実感出来た、いい機会にもなった。
■最初のライバルは”コース”
今回参加したの「コースジムカーナ」というカテゴリーだ。
実際のサーキットを順走するのではなく。コース上にパイロンを置き、ショートカットやスラローム、180°・360°ターンなどを取り入れた特設コースを設けて、1周のタイムを競う。
2本の本番走行があり、その内の速いタイムがリザルトとしてカウントされる方式だ。
このジムカーナという競技は、普通のサーキット走行と違う点が多々ある。
その一つが上述した特設コースだろう。
じつは走行コースは、当日の朝に発表される。
つまり参加者は、受付時にもらうコースマップを見て初めて、自分が走るコースを知る事になるのだ。なんともサプライズ性の高い事を考えたものだ。
ただ、流石に紙のコースマップを見ただけで「走行イメージを作れ」と言われてもムリがある。
その為、本番走行前に慣熟歩行・慣熟走行という時間が用意されている。
慣熟歩行とは、実際にサーキット上を歩きながらコースを覚える時間だ。歩きながら路面状態をチェックしたり、走行イメージを固める貴重な時間でもある。
筆者も同クラスの参加者達とコース上を歩きながら、走行ラインのイメージを固めていた。
走行ラインなどをマップ上に書きながら歩いた
歩行しながら、マップに走行ラインを書き込んでみた。これがイメージトレーニングに多いに役立った。
なにせこのジムカーナ、大会内では慣熟走行・本番走行(2本)の計3本しかコース上を走る機会がない。
つまり、じっくりとコース覚えるには、この慣熟歩行がとても重要な時間となる。
そして歩行を終え、すぐさま慣熟走行に移る。
慣熟走行とは、たった1本限りの練習走行の事だ。慣熟歩行で覚えたコース上を実際に走り、走行イメージと実際のドライブフィールを擦り合わせていく。
その後に、残すは本番のみとなるので。この慣熟走行もかなり重要な時間だ。
しかし、その重要性の本当の意味を、筆者は後々知る事になるのだった。
■ついにっ!サーキットを走る
慣熟走行が始まり、次々と参加者たちがコースインして行く。
筆者の属するクラスは最後の出走枠の為、他クラスのドライバー達の走りをギャラリーしながら出走を待つことにした。
車種も走らせ方も様々で、流石の熟練者揃い。
慣熟走行ながら、ものすごく速いっ!
その走りに感化されながら、自分の出走が近づくにつれて高まる緊張感。
同クラスの参加達も同じ事を言っていた。「毎回、最初の走行前が1番緊張する」そうだ。
そう語ってくれている方々に動きを合わせ、ギャラリースペースから自分の車に向かい、出走準備を進める。ヘルメット・グローブを装着し、エンジンをかける。
慣熟走行前の筆者。内心はドキドキ
しかしこの時、普段装着しないヘルメットを被って分かった事がある。
「ヘッドレスト、邪魔じゃね??」
筆者のレガシィはノーマルシートの為、ヘルメットの後頭部がヘッドレストにぶつかり、前傾姿勢となってしまう。
安全性を考え、走行前に外した。ノーマルシート装着車でサーキット走行を検討している人は、気を付けたいポイントだ。
そして、出走タイミングが訪れた。同クラスの車が次々にスタート地点に向かって並んでいく。
緊張感がMAXに高まっていく。
スタートを待ちながら、慣熟歩行で頭に叩き込んだコースとライン取りを、ひたすらイメージする。
この時の心情としては「慣熟走行だし、ペースは”7割”で。とりあえず、コースとブレーキングポイントと、走行ラインを意識しよう」だった。
ジムカーナは出走スタートも、一般的なレースとは違う。スタート地点にフラッグを持った係員が立っていて、前走車がコース終盤に差し掛かったタイミングでフラッグを上げる。しかしそれは出走スタートの合図ではなく”走行可能”を伝える意味なのだ。
なので、スタートのタイミングはドライバー側に委ねられる。
ついにスタートラインに車を止めた。前を走る、同クラス参加者の車がコース終盤に差し掛かり、係員が親指を立てながらこっち見ている。これは「READY?」の意味だ。
そして、黄色のフラッグが大きく振り上げられた!
一呼吸置いて、アクセルを踏み込む。パドルシフトでギアを変えながら、車を加速させてコーナーに差し掛かる。
「ペースよりも、コースとライン!」と、頭の中でイメージしたラインをなぞる様にコーナーをクリアしていく。
とはいえ、一般道や普段走っている昼間の峠道よりも明らかに早いスピードレンジだ。
コース中盤の道幅が狭いショートカット区間も、余裕を持たせたライン取りでクリアしていく。
ジムカーナでは、脱輪やパイロンタッチもペナルティの対象となる。ゆえに車両感覚も含めて、繊細なマシンコントロールがドライバーに要求される競技なのだ。
今回のコースレイアウトで最大の泣き所は、終盤にある180°ターンだ。2WD且つコンパクトな車体なら、サイドブレーキターンでスムーズに回れるのだが。
筆者のレガシィは4WD且つ長い車体でなので、小回りの利かない車だ。
よって”Rのキツイヘアピン”をクリアするイメージで大外からターンに入り、出口で一気にアクセルを踏んでいく。
実際に、そのイメージ通りの走りが出来た。
あとはゴールに向かって加速していくだけ。
そして、無事にゴールラインを通過した。
ピットに戻りながら、大きく息を吐く。
無事に走れた安堵感と共に、「もう終わっちゃったの!?」という呆気なさを強く感じていた。それはそうだ、タイム上だと2分以内の出来事なのだから。
だからこそ”瞬間的な集中力”も、前述のマシンコントロールに加えて求められる競技なのだ。
なにはともあれ、無事に慣熟走行を走りきった事により、安心感と共に緊張感は少し薄まった。
コースも間違えず、ライン取りもおおよそイメージ通りで走れたと思う。
“7割のペース”での話だが。
このペース配分が、本番走行での悲劇に繋がるとは知らずに。
<③走行当日・タイムアタック編へ続く>
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