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第18話 カピちゃん、ロボ君と友達になるように依頼される。

「いい友達になるには、たいてい少し時間がかかるものさ。時間はたっぷりあるから大丈夫だよ。まずは、毎日ロボ君の家を訪ねてみて欲しい。柳さんはカピちゃんを家に入れてくれると思うから、もしロボ君と話せなければ柳さんと話をしてみて欲しい。柳さんも人間の社会について詳しいから、色々と勉強になると思うよ。」
と、銀色の鳥はニコっと笑って言いました。

「柳さんと話ですか・・・それならできそうですけど・・・でも、ロボ君が学校に行くまでは私も学校に行けないんですよね?それってだいぶ時間がかかりそうですよね・・・。」
と、カピちゃんは溜め息をつきながら言いました。

「時間はかかるかもしれない・・・ただ、学校へ行くことはこの森では大事なことなんだ。まず学校に1日行く度に、銀色の木の実が1つもらえるからね。そういえばまだ銀色の木の実を見せていなかったね!銀色の木の実はこれだよ。」
と銀色の鳥は言うと、片方の羽を羽ばたかせました。すると、カピちゃんの目の前で、眩しいくらいキラキラと輝く銀色の木の実が空中に浮かび上がりました。

「わあ!綺麗!!」
と、言ってカピちゃんは銀色の木の実を見つめました。

「綺麗だろう?そして、金色の木の実がこれだよ。」
と銀色の鳥は言うと、もう片方の羽を羽ばたかせました。すると、さらに光輝く金色の木の実が、銀色の木の実の隣に浮かび上がりました。

「わあ!凄い!!キラキラ輝いてる!!」
カピちゃんは輝く二種類の木の実の美しさに、うっとりしてしまいました。

「金色の木の実は、銀色の木の実の10個分の価値があるんだ。銀色の木の実がたくさん溜まったら、金色の木の実と交換することができるよ。それだけじゃなく、これらの木の実を使えば、美味しいものが食べられたり、楽しい音楽が聴けたり、この輪廻の森で色々なことができるようになるんだ。」

「人間の社会では学校へ行ってもお金はもらえないらしいがね。ただ、ワシは学校で学ぶことは非常に大事だと思っているから、学校へ1日行く度に、お金の代わりとなる銀色の木の実を配ることにしているんだ。そして、学校では『トクトク』という妖精も配られるんだよ。」
と、銀色の鳥は言いました。

「『トクトク』ですか?なんですかそれは?』
と、カピちゃんは銀色の鳥に聞きました。

「『トクトク』はね、輪廻の森に来た者達の行動をチェックするための妖精なんだ。私以外にはその姿も声も聞こえないようになっているんだがね。ほら、輪廻の森の3つ目のルールに『罰金』のルールがあっただろう。誰かを傷つけるような言葉を言ったら、銀色の木の実1個、誰かを傷付けるような行動をしたら、銀色の木の実3個を罰金として取り上げるというルールだ。このルールを実行してくれるのは『トクトク』なんだよ。彼らは、誰かを傷つけるような言葉を言ったら、それを言った者の銀色の木の実を1個食べてしまう。そして、誰かを傷付けるような行動をしたら、その行動をした者の銀色の木の実3個を食べてしまうんだ。」
と、銀色の鳥は言いました。

「えええ!!そんな妖精がいるんですね!!その妖精は学校でしから配られないんですか?まさか私の周りにももうその妖精がいます?」
と、カピちゃんは驚いて大きな声で言いました。

「その妖精はここにはまだいないよ。学校で配られる決まりになっているからね。それに、カピちゃんが銀色の木の実を持っていなければ、その妖精は何もしてこないよ。こういった大事なことがあるから、ロボ君には何とかして学校に行ってもらいたいんだが、あの通り全く学校に行く気がなくてね。こんなことは初めてだから私も手を焼いているんだよ。」
と、銀色の鳥は少し疲れた様子で言いました。

「そんなルールがありましたね。たしかに、そのルールがあると学校へ行くのは大事そうですね。ロボ君が学校に行く気になるかどうかはわからないんですが、とりあえず毎日ロボ君の家は訪ねてみますね。」
と、カピちゃんは少し困った様子で言いました。

「ありがとう。学校へ行くのも大事なことだけれど、友達を作ることも大事なことだとワシは思うよ。ロボ君は今は友達がいなくて寂しいだろうから、カピちゃんが友達になってくれれば、ロボ君ももっと元気が出ると思う。学校のことはあまり急がなくてもいいから、まずはロボ君の友達になってあげて欲しい。」
と、銀色の鳥は言いました。

~第19話につづく~

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