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「篠原」という集落のこと

篠原(しのばら)とは

しのばら園芸市の会場があるのは、神奈川県相模原市緑区(旧藤野町)の「篠原(しのばら)」という小さな集落です。しのばら園芸市も、篠原で暮らす人々が中心となって始まりました。著名な観光地というわけではありませんが、さまざまなイベントが開催されることもあり、多くの人が遊びに訪れる知る人ぞ知る山里の集落です。

最寄り駅までは車で20分、そこから新宿駅までは1時間ちょっと。
十分に都心への通勤圏内ですが、そうとは思えないほど周囲は山に囲まれています。
どんなところなのか、想像がつかないかもしれません。
というわけで、日々の集落の光景とともに、ご紹介したいと思います。

四季を感じながら暮らす

上空から見た篠原地区 撮影:袴田和彦

篠原は、県の天然記念物の蝶「ギフチョウ」が生息する石砂山、お隣の旧相模湖町との境界にあたる石老山に挟まれた集落です。上空から見れば、周囲は見事に山、また山。ドローンで撮影した空撮写真を見たときには、暮らしている私たちも「こんなに山の中なのか!」と驚いたほどです。

緑!

春は緑が青々と茂り、ただ景色を眺めているだけでも元気になります。
山の春は忙しい。畑の準備、山菜採り、梅仕事など、この時期特有の楽しみが待っています。

梅をもぎ、梅干し、梅シロップ、梅酒、梅ジャム。数日がかりの大仕事になります

夏は、盆地なので35度越えも当たり前。ただ、夜は山肌を冷気が降りてくるので、冷房なしでも寝苦しいということはありません。
毎年8月に開催される大石神社のお祭りは、集落総出で賑わいます。

コロナ禍でおやすみだった大石神社祭典、昨年は復活。御神輿も出ました

秋は紅葉がまたきれい。そして、30年以上続いている集落をまるごと使ったイベント「ぐるっとお散歩篠原展」も毎年10月に開催されています。集落のあちこちの家が会場となっていて、散歩しながら、篠原の自然と人々との交流を楽しめます。

紅葉も毎年様子が違う
ぐるっとお散歩篠原展。篠原に一番人が集まる日かもしれません

冬はものすごく寒い…。川があちこちに流れる谷あいということもあり、周辺の集落と比べても、数度低いのではないかと言われています。近年はだいぶ少なくなったとはいえ、雪もそこそこ降ります。

道を通る人もなく、シンと静まり返る雪の日は、それはそれで尊いのです

季節や年を追うごとに、いつのまにか変化していく自然の光景は、何年見ていても飽きることがありません。そして、昔とはだいぶ変わったとはいえ、ここにはまだ、季節や気候に合わせた人の営みが残されています。

昔ながらの暮らしを大切にしながらも
「今」の暮らしを創意工夫でつくりあげていく

しのばら園芸市第二会場近くからの風景
家の窓から鹿が見えたりします
祭礼もしっかりと

篠原は移住者が多い集落でもあります。
昔から続いてきた里山の暮らしとこの土地を守ってきた地元の方々、そして若い移住者が一緒になって、歴史を大切にしながらも、自ら、「今」の暮らしを創意工夫でつくりあげているのが、面白いところ。

篠原の里。宿泊もできるのでぜひ気軽にご利用を 撮影:袴田和彦

旧篠原小学校を使った施設「篠原の里」は、住民が主体となって運営されています。さまざまな催しが開催されているほか、薪部、炭焼き部、生物部など、いろいろな部活動があって、篠原の里の会員は好きな部活に入部可能。

しのばら園芸市の会場にある炭焼き窯は、篠原で昔から使われてきたもの。
今は、地域の炭焼きの師匠のもと、炭焼き部がその技術を学んでいる
生物部ではコウモリ調査やバードウォッチング、水生生物の調査などを実施
こちらは厳密には生物部ではないですが、ナラ枯れが広がっているということで、
実際に石砂山を歩き、ナラ枯れを見て回りました。
こんな小さなイベントが山のようにあります
スローフラワーを育てる花農家「four Peas flowers
たまに無人販売の花束スタンドが登場します

篠原の里には、自然保育の「のびるっこ保育園」が入っており、毎日子どもたちの賑やかな声が聞こえてきます。現在はおやすみ中ですが、のびるっこ保護者による週1カフェ「里カフェ」が開かれていたこともありました。

いつぞやののびるっこ保育園の運動会
のびるっこ卒園生にとっては篠原もきっと故郷のひとつ 撮影:袴田和彦

かと思えば、すぐ近くには古民家を改装した小規模多機能型の宅老所「すずかけの家」があり、年をとってからも安心して暮らせる環境が整っています。

超絶自由な宅老所「すずかけの家」。
地域に開かれた宅老所で、イベントもよく開催している。
筆者もコロナ前は、よくふらりと遊びに行き、
こたつに入ってお茶をごちそうになったりしていました

小さなイベントもたくさん開催され、細かい取り組みや遊びを含めれば、それはもうキリがないほど。地域の風習や歴史はきっちり大切にしながらも、やりたい人はやる、参加したい人はする、という、瞬間瞬間を楽しめる自由な雰囲気があります。

あっという間に仲間が集まる「篠原」

そんな土地柄なので、やりたいと思ったことは
どんどんやれちゃうんですね。
「この自然をもっと活かせないのかな」
「もっといろいろな使い道があるのではないかな」
そんな思いに共感する仲間や面白がってくれる仲間が
あっというまに集まり、しのばら園芸市は始まりました。

昔の暮らしでは、里山の資源を余すことなく使っていたように
これからの使い道をみんなで一緒に考え、
山をきれいにしながら、暮らしにも役立てていきたい。


なんてことを考えています。
ぜひ、自然の中でのんびりと過ごしながら、
篠原のゆるくもクリエイティブな雰囲気を楽しんでください。
そして「里山の資源(=あるもの)」を活かす方法を
一緒に考えてもらえたら嬉しいです。

なにより今は、新緑がとっても美しい!
山に遊びにくるには、いちばんいい季節ですので!

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