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些細なナンギ(1)サブカテゴリとかブランドとかの表記

 たぶん職業柄。だと思うんですが、些細過ぎてそんなもんどーでもええやろ。みたいな部分で、あれこれ悩んでしまうことが結構あったりする。例えば、サブカテゴリとかブランドとか。
「ケーキを買いました」
と言われて
「どんなケーキを?」
と思う人は多いと思う。
 できれば具体的にイメージしてもらいたい。それも、こちらが「イメージしてもらいたい」と思っている「それ」を。ということになると、「ケーキ」だけでは、やはりバクっとし過ぎていたりする訳です。いちごショートなのか、シフォンケーキなのか、サンタクロースやトナカイが乗ってるクリスマス用のやつなのか……。
 ン十年前のある日、嫁が新聞の連載小説を読みながらケラケラ笑っていた。「モンブランのケーキ_追記(1)参照_」「Gショックの時計_追記(2)参照_」という表記が「ダサ過ぎてお腹痛い」と。はあ。でも自分は、そのへんの難しさをわかっているつもりなので無邪気に笑う気にはなれなかった。ま、違和感を覚えたのは確かですが。
「ケーキを買った。モンブランにした」
の方が自然な感じではあるけど、
「こんなとこに2センテンスも費やしてしまうのは得策とは思えない」
なんていうケースもあったりするのであり。そのあたりの事情は
「時計が見えた。Gショックだった」
などの表現にも共通する。
 一文にしたいとき、どうするか。
「ケーキ(モンブラン)を買った」
「時計(Gショック)が見えた」
のように「( )」を使うことも考えられるが、説明くさく鬱陶しく感じる人は多そう。どうする?
 ワインの銘柄の場合どうか。
「ワインを飲んだ」
と言われても、ロマネコンティなのか、サイゼリヤのハウスワインなのか、セブンイレブンのアンデスキーパーなのか……。
 村上春樹さんの短編で「キャンティ・ワイン_追記(3)参照_という表記を発見したときは、これスッキリしてるなあと思った。

 サブカテゴリとかブランドとかをどう表記するか。これ、日本語学習者から質問されたら、どう答えようか。書くのも難儀、言うのも難儀、説明するのは更に難儀。
  _こっそり教えていただけたりすると嬉しいです_

追記(1):(サブカテゴリ)の(上位カテゴリ)

 「サッカーのスポーツ」「K1の格闘技」「インコの鳥」「アンパンの菓子パン」etc. そのいずれにも私は、「モンブランのケーキ」以上の違和感を覚える。
 ところが、「犬のペット」については、さほどでもない。更に、順序を逆にして「ペットの犬」としたところ、まったく違和感がなくなった。ついでにモンブランのアレについても同様の加工を施し「ケーキのモンブラン」にしてみたところ、やっぱり普通だ。だが、カテゴリエラー防止とゆーのかその語順を選ぶ必然性というか「わざわさ断る」言い訳じみたニュアンスがシンドくも感じられたり。
「(サブカテゴリ)の(上位カテゴリ)」の語順を入れ替え「(上位カテゴリ)の(サブカテゴリ)」にすると、ある種のくどさまたは必死さを伴って「上位カテゴリ」が強調される。「ペットの犬」と言えば、「盲導犬じゃなく闘犬じゃなく麻薬犬じゃなく食用でもなく、まぎれもなくペット」なのであり、「ケーキのモンブラン」と言えば、「山ではなく万年筆でもなく、まぎれもなくケーキ」である。
 指すところの意味はハッキリするが、小説に出てきた場合気持ちよく読めるかはまた別。

追記(2):(ブランド名)の(カテゴリ名)

 そのブランド名が「商品ブランド」の場合、まさに「Gショックの時計」のような違和感が生まれやすい。これが社名になると違和感は消える。ただし「カシオ/セイコー/シチズンの時計」のようにメーカーの場合に限られるらしく、該当商品を取り扱う商社や販売店だと、また別の違和感が生まれてしまう。

追記(3):(ブランド名)・(カテゴリ名)

「キャンティ・ワイン」「ティオペペ・シェリー」「ロンサカパ・ラム」どれもなかなかにスマート。酒以外に適用してみた場合も「セイコー・ウォッチ」などサイバーパンク風味含めなかなか乙に感じる。全篇カタカナ語にしないと難しそうではありますが。
 上記は、極めて感覚的、しかも「私の場合」の話なので、広く共有することは難しく。今のところ私には、それらのOK/NGの法則を「ラング」的に明確に示すことはできません。例えば、「ナイキ・シューズ」はOKでも「アディダス・ジャージ」はアカンぽい気がするのですが、それはなぜか説明できる言葉を持ち合わせないのです。


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