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ミライのキャリア#26士業の実際(1)

【えりな】
 今回は士業の実際編ということで、公認心理師の資格を持つかおる先生に資格を持って働く人の実際のあれこれを聞いていこうと思います 。
 この士業というのは、弁護士さんとか薬剤師さんみたいに資格とか職業に「~士」や「~師」がつくプロフェッショナルな仕事のことです。

公認心理師の仕事


【えりな】
 じゃあまず、Caol先生の持つ資格、公認心理師って、どういうお仕事ですか?【Caol】
 公認心理師とは心理臨床という業務を行うものというものです。国家資格で公認心理師法という法律では、

(1)心理に関する支援を要する者の心理状態を観察し、その結果を分析すること。
(2)心理に関する支援を要する者に対し、その心理に関する相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと。
(3)心理に関する支援を要する者の関係者に対し、その相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと。
(4)心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供を行うこと。

 の4つの臨床心理業務を行うものとされています。この臨床心理という仕事、具体的には何?っていうと、いわゆるカウンセリングですね。これはお話をして心のケアをするという仕事。法律の文言だと(2)~(4)がそう。あと、性格検査や知能検査などの心理検査を行うこと。これはその人のメンタルケアをするためにアセスメント調査をしましょうという仕事、これは(1)がそうです。
【えりな】
 もうなんかわかった気がしますね。
【ホリデー】
 人の心を扱うって言う仕事にも国家資格があるんですね。
【Caol】
 そうなんですよ。
【えりな】
 心のプロフェッショナルみたいなイメージがありますね 。
【ホリデー】
 そういうとむちゃむちゃかっこいい。
【Caol】
 心のケアのプロフェッショナルっていうふうにまとめることができますね。
【えりな】
 そこまで噛み砕いてくれると私も分かりました 。
 じゃあこの心のプロフェッショナルの公認心理師になるにはつまり資格を取得するにはどんな試験とか勉強するんですか?

資格試験は?


【Caol】
 これも弁護士さんやお医者さんに近い形態かなということになります。学部と大学院修士課程以上を修了する必要があるんですよ。高等教育6年間です。なので、医学部6年の医師、法学部と法科大学院の計6年間の弁護士、薬学部6年の薬剤師、の3つ士業のイメージ近いかなと思います。プラス大学院を修了しただけじゃダメで、国家試験があります。これも医師弁護士薬剤師と一緒。
【ホリデー】
 ハードルは高いですね。
【えりな】
 ステップ1大学院修了ですもんね。
【Caol】
 勉強としては学部や大学院にいる間から、コツコツ試験対策していくってことになります。もちろん学部や大学院の勉強は、公認心理師試験に合格するのに必要な心理学医学の知識を体系的に学ぶという勉強ですが、その上で弁護士さんやお医者さんと同様に、国家試験に合格するための試験勉強が必要になります。
 お医者さんだと100%ではなくて医師免許落ちる人が確かいるはずです。公認心理師も同様で、大学院修士課程終わりました、受験資格があります、といっても3割以上落ちます。2022年度の最新の数字では48.3%の合格率、結構狭い門です。【えりな】
 そうなんですね。学生時代が結構勝負ですね。

経過措置


【Caol】
 私は比較すると年寄りなので、今はないんですけども、経過措置と言って、すでに心理臨床業務を行っているって言う人が、一定の研修を受けると所定の6年間の課程を経なくても、受験資格がある、というもので試験を受けました。公認心理師試験自体は、まったく同じ試験を受けるんですけれども、なるまでのプロセスがちょっと違うもので資格取得しました。 強調するけど、公認心理師試験自体は大学院卒の新人と全く同じものを受けています。また、学部プラス修士課程の6年間心理学専攻しています。
【えりな】
 すでになっている人の試験って言うと何が違うんですか?
【Caol】
 公認心理師というのは2018年にスタートしてようやく6年目を迎えたという資格で、その前に公的な資格として臨床心理士というのがあったんですよ。こっちのほうが名前として知名度があるかもしれないですね。
【えりな】
 聞いたことがあります。なにか違うのかなと思っていました。
【Caol】
 ややこしい話ですけども、臨床心理士は文部科学省というところが認めた公的な資格。ただ国家資格ではない。ただし歴史は古くて30年以上前からあって、臨床心理士という資格を持って、病院や学校などで心理臨床業務というものを行っていたっていう実績があるわけですよ。
 その後、公認心理師という国家資格ができたので、病院や学校ですでに活動している人であれば、公認心理師を取れるようにって事で、もうすでに稼働している人というのは、もう1回6年間学び直しなさいってことではなしに、研修を受けて公認心理師の受験資格ができるよっていう措置が取られました。この措置のことを経過措置といいます。
【えりな】
 新しい資格なんですね。
【Caol】
 医療系の資格で言うと、言語聴覚士というのも言語聴覚士さんの活動の方が先で、言語聴覚士という資格ができたのは後なので、すでに病院で言語聴覚士として活動している人を経過措置によって資格を得るって事がありました。弁護士さんやお医者さんのように視覚が古くからある訳ではなく、後からできたってものには、こんなこともあります。
 最近だと、動物病院で働く看護師には国家資格がなかったのですが、「愛玩動物看護師」という国家資格ができて、やはり経過措置で動物病院で、現役で稼働している人は研修(これが1週間、40時間以上必要だから大変)を受けて試験を受ける、ということがありました。

公認心理師の業務形態


【えりな】
 次の質問です。
 公認心理師の資格を持った人は、どういう業務形態で仕事をしているんですか、とか、どんなケースが多いのかなっての教えてほしいです。例えば、その資格を持って会社員になるのかフリーランスでやっていくのかとかそういうことですね。【Caol】
 公認心理師の仕事というのは、ほとんどの人は組織に属して仕事をしていることになるかなと思います。具体的な場所は5つあります。
 1つ目は、私がやっているスクールカウンセラー、学校ですね。これは、教育委員会、公立の学校、私立学校などに所属するもの。地方自治体の非常勤の公務員として任命されて仕事をするってことになります。
 2つ目は医療分野ですね。病院勤務。これはちゃんと病院に正社員として雇用されるケースと非常勤職員として雇用されるケースもあります。病院だから心理検査をすることが多いですね。ちなみに病院でアセスメントする公認心理師さんをテスターと呼びます。もちろんカウンセリングなどのセラピーの仕事もあります。非常勤の中にはケース数によってギャラが決まる、という契約もあります。
 3つ目は産業分野と言って、会社の中、企業の中にいてカウンセリングなどメンタルケアを行う仕事です。キャリアについての相談もやっていますよ。
 4つ目は、福祉分野で、児童相談所や福祉施設などで働いています。
 5つ目は司法分野と言って、家庭裁判所、少年院、少年鑑別所刑務所もなんですけども、こういう司法に関わる機関で働くというのもあります。私もかつてここにいました。

独立開業している公認心理師


 ここまでは、すべて組織に属する公認心理師の話でしたが、フリーランスがいないかと言うと、実は個人で開業することも可能な資格なんですよ。なので、心理相談所とかいう名前で、個人でお客さんクライアントから対価を取ってカウンセリングをするという私設相談所っていう形態で活動している人もいます。中には私設相談所を会社組織にして、複数の公認心理師がいて相談業務をやっているよーというところもあります。
【えりな】
 事務所だ。ホリデーさんの会社みたいですね。
【ホリデー】
 でもそんなにフリーランスのみの人は多くない?
【Caol】
 そうですね。個人であれ法人であれ、クライアントをゲットするのが、なかなか大変です。それは他の業種と一緒になるかなあ。なので、数はそんなに多くないですが、確実に47都道府県全てにあるという言い方もできるかな。
【えりな】
 どこかに勤めたのち、独立して仲間たちを集めて会社にするっていうのもなくはないですね。
【Caol】
 大体似た世界かなと私が勝手に思っているのは、税理士さんの世界ですね。会社の中にいる人も多いですし、税理士事務所として独立、個人だったり複数の税理士さんの事務所でやってるって言う形態と似てるところがあるかなと私は思ってます。
【ホリデー】
 なんか税理士事務所とか個人の税理士さんとかは、結構独立したり、その独立した組織だったりっていうのは、まあまあ多そうなイメージっていうのがあるんですけど、それぐらい結構公認心理師さんも独立したり、独立した組織とかでやっている方ってそこまで多いのですか?
【Caol】
 今、公認心理師は約4万人いるんですけれども、完全なフリーランスでやっている方っていう少なく、1%もいないかと思います。
【ホリデー】
 なるほどね。
【Caol】
 これは、本当に業務独占なのと、実態として業務独占という違いかなと思います。
 というのも、税務だと、確定申告をしようとか、法人でちょっと税務の仕事をお任せしなきゃっていう機会は多く、クライアントの方は確実にあります。クライアントが勝手にやると税理士法違反になってしまう。このように税務の仕事が多いと思うので、個人でやっているのかなと思うんですけども、メンタルケアこころのケアの専門家といっても、まずは病院に行く。病院に行くほどじゃないなという場合であっても、学校の中でスクールカウンセラーがいるので、まずそっちに相談するってことになるので、個人でお金を払ってメンタルケアしてもらおうというチャンスは比較すると少ないのかなってところですね。
【えりな】
 今日は士業の実際編ということで、Caol先生に公認心理師のお仕事がどういうものかっていうのを聞いてみました。
 色々もっと質問してみたいので、次回は深掘り編ということで、もうちょっと詳しく聞いていきたいと思います。お楽しみに。

#ミライのキャリア

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