210 忍者もだけどそれだけじゃない伊賀上野散歩
街の玄関口は「忍者市」駅?!
昨年暮れの雨の日。
わたしは所用で「忍者市」に来ました。
忍者市、という市はもちろんなく、これは伊賀忍者発祥の地、伊賀市の中心駅である上野市駅の愛称。愛称なのにホントの駅名である「上野市」より格段に大きい字になっています。
市の名前は「伊賀市」になったのに、駅名は未だに「上野市」のままというのも妙なんですけどね。
上野市駅の前には「メーテルと鉄郎」のブロンズ像があります。当時は近鉄だった伊賀線の忍者列車を松本零士氏がデザインしたことが縁で市内のゆめが丘団地に設置されたもので、平成25年にここに移設されました。
忍者列車は近鉄から分離された伊賀鉄道を今も元気に走っています。
江戸時代にはほぼ存在しなかった白鳳城
さて、上野市駅の北には伊賀市きっての観光名所が集まる「上野公園」があり、徒歩10分ほどで到着します。
駅からもその姿を眺めることができるのが上野城。その雄姿から「白鳳城」とも呼ばれています。
上野城は1585年に筒井定次が築城した城です。その後国替えがあり宇和島城主であった藤堂高虎が上野に入りました。1612年の暴風で天守が倒壊したあと、修繕中に大坂の陣で豊臣氏が敗れて平穏な時代が訪れたため天守の再建は認められず江戸時代を過ぎていきました。藤堂氏は主に津城におり、上野は支城の扱いであったようです。現在の天守は昭和になってからの築城。昭和10年の竣工なので、江戸時代にあった天守よりも今の天守の方がずっとながく存在していることになります。
上野城のみどころは日本一の高石垣。高さ30メートルの石垣は日本一の高さです。忍者はここを登って行ったのでしょうか? 上から覗くとかなりスリルありますよ!
こちらは天守閣の最上階の天井に描かれた書画たち。著名な政治家や書家らから天守竣工を祝って寄贈された作品が天井に並べられています。
天守からは伊賀市上野地区の街並みを望むことができます。伊賀市は三重県にありますが、三重県の各都市からはかなり離れており、奈良など関西との結びつきの方が強い町です。
伊賀といえばやっぱり忍者!
伊賀といえばやはり忍者。忍者抜きでは語れません。
伊賀忍者博物館では忍者屋敷や忍者にまつわる資料の展示が行われています。
床板をすばやくめくって、床に隠した刀を取り出す実演。どこに武器が隠れているか全くわかりません。
どこかミステリアスで国の内外を問わず人気の高い「忍者」。起源は地域によって様々ですが、伊賀忍者は鎌倉時代に荘園領主に反抗する「悪党」に起源をもち、室町時代から江戸寺内にかけて諜報活動や破壊、暗殺活動を仕事としていたと言われています。伊賀はさまざまな勢力が入り乱れる地であったことから、伊賀忍者はさまざまな大名や領主に雇われる雇用関係を結ぶケースが多かったといいます。
普段は農業を行うものが多く、農具や笠の中に武器を隠していざというときすぐに戦えるように戦闘態勢を整えておく工夫がなされていました。
手裏剣もいろんな種類がありました。折り紙の手裏剣しか見たことなかったんですが、本物はかなり重たいですね。こんなものを投げつけられたらそれだけで大きなダメージを受けるでしょう。
忍者の装束は濃紺。灯りのなかった漆黒の夜にもっとも溶け込むことができる色だったようです。黒だとかえって闇夜に目立ったしまうんだそうです。忍者のことは詳しくなかったんですがかなり勉強になります。
忍者は体臭で気づかれないようにするために普段からかなり体を清潔にしていた、とか口臭を出さないよう韮やニンニクなどにおいの出るものは食べなかったとか。知られざる苦労を教えられました。忍たま学園でもきちんと教えてくれているのかな?
忍者博物館では忍者軍団阿修羅の忍者実演ショーを見ることができます。撮影は禁止なのでぜひ実際に足を運んでショーを見ていただきたいと思います。手裏剣をはじめとする武具の仕様の実演はかなり見ごたえがあり、これを見て忍者へのあこがれをより強くする人もいるようです。やはり外国人に方が多くいましたよ。
旅の締めは伊賀名物、伊賀牛を。
上野公園をひとしきり散歩して「忍者市」駅前に戻りました。昼食は弐鶴さんで。この写真の中だけでどんだけ忍者いるのって感じ。忍者全面推しです。
さまざまな伊賀牛のメニューが楽しめ、メニューは忍者黒カレー丼や忍者丼、忍者うどんなどこれまた忍者ごり推し。店内では先ほどご紹介した阿修羅の忍術を紹介した映像がテレビで流れています。そんな中、わたしは忍者シリーズではないねぎのうまみの効いた伊賀牛の牛丼をいただきました。だし汁とねぎの風味が効いてて美味でした。
伊賀といえば忍者!なので忍者はやはり街中にあふれかえっています。ただ上野城や伊賀牛などそれいがいの観光資源も豊富にあります。ぜひ一度伊賀に足を運んでいただき忍者やそれ以外の伊賀の文化に触れていただきたいなと思いました。