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319 絢爛豪華な日光東照宮で彫刻美に酔う


9月の最後の日曜日。まだ暑さの残る中、日光市にやってきました。
日光の玄関口、東武日光駅は多くの観光客でごった返しています。
26年ぶりに来た日光。前のときのことはほとんど覚えてないのでかえって新鮮です。

バスに乗って数分、神橋(しんきょう)で降ります。

拝観料300円を払えば橋を渡ることもできますが、外から眺めた方が朱塗りの橋の美しさがよくわかります。

「日光の社寺」は1999年、ユネスコの世界文化遺産に登録されました。日光東照宮、日光二荒山神社、日光山輪王寺の2社1寺、103の建物とそれらを取り巻く遺跡が構成遺産となっています。もともとこの2社1寺は1つの社寺でしたが、明治初期の神仏分離によって3つに分けられています。もともと1つのものですので、これらの寺社はすべて隣接しています。

石段を登り、表参道を抜けるといよいよ日光東照宮に到着します。祀られているのは言わずと知れた「徳川家康」。一旦は静岡の久能山に葬られた家康ですが、その後彼の遺言に基づき日光に改葬されています。

石鳥居の上には「東照大権現」の文字。東照とは東方から日本を明るく照らす神、薬師如来のことを指しており、権現とは神や仏が人間の姿として現れる仮の姿をいいます。ここでの権現は徳川家康のことであり、「家康は薬師代来が人間の姿となって現れた神である」ということを意味しています。

鳥居を潜ると入口に表れるのが五重塔。こちらは幕末に建て替えられたものですが、もとの五重塔は1650年、徳川家光の代に小浜藩主が奉納したものです。

日光東照宮といえば外せないのが「三猿」の彫刻。門を入ったすぐの神厩舎にあります。もっと奥まったところにあるかと思っていたんですが意外です。

上の写真の彫刻「見ざる聞かざる言わざる」が特に有名で悪いことから身を遠ざけよ、というのが本来の教訓ですが、今では「悪いことを見てみぬふりをする」という悪い意味にとらえられてしまっていますね。ちなみにこの彫刻は猿の一生が描かれていて8枚あります。

青年期、空を見上げて未来を夢見ている猿を描いているそうです。

失敗した猿とそれを慰める猿。人生楽ありゃ苦もあるさ。あ、これは日光じゃなくて水戸か。

歩を進めると真っ白な柱の煌びやかな門が出迎えてくれます。これが国宝・陽明門。江戸初期の建築、彫刻技術が結集された傑作とされており500体を超える彫刻は1日見ても飽きないとのことから「日暮らし門」とも呼ばれています。

胡粉で塗られた唐獅子が舞います。その上には中国の故事を描いた彫刻像。
家康の思う政治の在るべき姿を描いたともいわれています。

こちらにも「東照大権現」の文字。そしてその下には霊獣「龍と息(そく)」がいます。息は龍と異なり鼻の孔があり髭がありません。一角で牙があるのも特徴とされています。重いものを背負うのが好きな龍の子「贔屓(ひき)」がこの息なのではないかと言われています。

しかし彫刻が多すぎて本当にどれだけ見ていても飽きないですね。

こちらは本殿の前に建つ国宝・唐門(からもん)。貝殻で作られた塗料「胡粉」で塗られた門の白さが目立ちます。中では将軍が鎮座して数々の宮中行事が行われていました。今では誰でも入れる本殿ですが、かつては一定の三分の物以上でなければ武士でもこの中に入ることは罷りなりませんでした。

こういった壁面も色鮮やかで豪華さが際立ちます。これだけ金を使った建物はほかに金閣寺と中尊寺くらいしかないと言われています。雉などの彫刻も歩いている私たちの目を楽しませてくれます。

家康が眠る奥宮に通じる東回廊の入り口で出迎えるのが「眠り猫」。平和の象徴と言われており、伝説の彫刻家・左甚五郎の作ではないかといわれています。

200段ほどの階段を登っていくとたどり着くのが奥宮。青銅の上に宝塔を乗せた御墓所に「神」となった家康は眠っています。家康が遺言で告げたとされる埋葬場所は絢爛豪華な本宮の世界からは一線を画した静かな高台にあります。

奥宮は黒の重厚感が目出ち、本宮とはやや異なった趣です。
家康は神となって日本が未来永劫平和であり泰平であることを願い護り続けています。

日光東照宮ではこのほか、本地堂で龍の口の真下で拍子木を叩くと龍の声が響くという重要文化財・鳴竜を見学することもできます。他の場所で拍子木を叩くと何も聞こえないのに、口の真下で叩いたときだけ鳴き声が聞こえます。この不思議さと江戸の匠の技に感動を覚えます(撮影不可)。

江戸の建築士、彫刻家の技が結集された絢爛豪華な日光東照宮。
一日いても飽きることのない、日暮らしの門ならぬ、日暮らしの宮といっても過言ではないでしょう。今年は大河ドラマもあり家康ブームに沸く日光。ぜひこの機会に訪れて家康の功績を辿りつつ、江戸の匠の技を肌で感じてみてください。










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