見出し画像

行動変容を積み重ね、ヘルスインパクトを生み出す。そのために、データを活用した医療の社会インフラを創りたいと思った話

9月30日、NewsPicks主催のウェビナー、Disrupt Healthcare~未来医療のための「破壊と創造」~ に代表の福吉が登壇しました。

Disrupt?となかなか刺激的なイベントタイトルですが(笑)、ヘルスケア業界にはまだまだ伸びしろがあること、キャンサースキャンとしてもやりたいことがある!と1視聴者としても感じています。

私から見た要点をかいつまんでまとめつつ、勝手ながら補足説明を足してお届けします!


テーマ:医療データ活用の提言。私たちはどんな医療を目指すのか?
登壇者:宮田裕章氏(慶應義塾大学教授)、福吉潤氏(キャンサースキャン 代表取締役社長)、久川桃子氏(NewsPicks Brand Designチーフプロデューサー)


日本の医療における課題

まず、宮田先生から3つの課題(少子高齢化・医師偏在・介護費の増大)について現状の説明がありました。なかでも介護費の増大については予防とセットで取り組むべきで、いかに健康な状態であるときからアプローチするかが大事であり、介護になってから対策をするというこれまでの固定概念を破壊しないといけないとのこと。

キャンサースキャンはまさに「予防」のための行動変容促進にチャレンジしています。福吉からも、病気の早期発見・早期治療ができればQOLの向上や医療費削減に繋がるため、キャンサースキャンとして、この大きな社会課題にマーケティングという手法を使って取り組んでいます。

スライド1

このスライドはイベントでも投影しましたが、医療保険の概観です。
行政による医療保険には人口の約37%にあたる4,524万人が加入していますが、医療費に占める割合は、約71%になります。特に後期高齢者という、75歳以上の方の医療費が占める割合が大きくなります。キャンサースキャンは、後期高齢者を含む行政の医療保険領域で、予防医療事業、例えば健診受診率を高めるためのマーケティング事業に取り組んでいます。

病気である状態に加え、健康な状態のデータも豊富に持っている

自治体は、住民(国民健康保険と後期高齢者医療制度の被保険者)のヘルスデータを保健事業に活用することができます。キャンサースキャンで取り組む「健診受診率向上事業」では、機械学習によって、「健診を受診する事を促すコミュニケーションをしなくても今年健診を受診する人は誰か」「健診を受診する事を促すコミュニケーションをすることで誰がどの程度の確率で行動変容して健診を受診する可能性があるか?」というようなことの予測をしています。これにより、同じマーケティング予算内でより受診率を高められるよう、効果的なターゲティングを行なっています。

これまでは、病気になってから対処療法が始まるというのが一般的でした。でも、日本では健診のデータという、健康なときのヘルスデータが蓄積されています。宮田先生もいくつかの地域でプロジェクトを推進されていて、8-9年近いデータの存在に触れていました。「ある人がいかに健康に過ごすためには何をすればいいか」という問いも、データから解を導き出すことができる世の中になっています。少子高齢社会の今、健康なシニアな人がいかに元気に過ごせる期間を長くするかが重要で、そのためにもヘルスデータの活用が求められています。

また、せっかく健診を受けても、その後の治療に繋がっていない人も一定数いるため、健診という入口だけでなく、その後の治療への行動変容を支援していくことも同時に重要です。予防と治療、両方のヘルスデータが豊富にあるにも関わらず、それを活用した行動変容ができていない現状があるため、キャンサースキャンはその課題に真っ向から取り組んでいます。

スライド2

データをもとに、行動の背景を読み解く

キャンサースキャンでは、課題にあわせてコミュニケーション開発を行っています。これには、セグメンテーションの考え方が重要で、例えば、健診に行かない人についても「面倒だから」という理由の人もいれば、「病気が分かったら怖いし薬飲みたくないから」という人もいます。ただ、「健診に行ってください!」といっては動かないのです。患者インタビューを通して、どういう行動しないという人を解きほぐしていくかを探っていっています。


データを共有しながら新しい価値を生み出す


データは所有財という考え方が強かったものの、公共財・共有財であるという考え方が少しずつ広がっています。コロナのワクチン開発も、データの共有だけによる成果ではないですが、それも成功要因の1つです。データを共有すること、異なるデータを繋げることでどんなメリットがあるか、どんな役立つデータの使い方があるかの活用事例も出てくることで、その動きが広まってきています。

自治体との事業においても、原則年度単位での契約で、仕様書で定められた用途以外にデータを活用できないことが通例でした。でも、データを活用すればそれだけラーニングも蓄積されていくため、自治体との事業でも、両者の合意があればデータを活用できる事業もできるようになってきました。

GoogleやLINE等の大企業も、パブリックのためにデータを使う、そのために信頼を得る必要がある、ということを強く認識しているようです。


最後に、マーケティング・データ・技術が分かる人がコラボしてビジネスとしての可能性を見出し、それを多くの人が「いいね!」となるようにすることが大事ですよね、という話で終わりました。


宮田先生と福吉の対談で、改めてキャンサースキャンって今後の社会インフラ創る重要な役割を担っているなと思えました。

仲間を募集していますので、気になった方はぜひご連絡ください!

(執筆:北村早紀)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?