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ストップ!がん治療のドラッグラグ/ドラッグロス

~『海外がん医療情報リファレンス』ブログ(2023年6月5日)から転載~

初めまして。ブログ初投稿です。
ドラッグラグと呼ばれた日本の治療薬承認の遅れは、2006年「がん対策基本法」制定以降、どんどん縮まっていったはず・・ しかし今、承認の遅延のみならず、欧米で承認された医薬品が日本で開発さえされないというドラッグロスにまで発展しているといいます。

ドラッグラグ海外で使える薬が日本で使えない

国立がん研究センターが、毎年、欧米で承認され、日本未承認のがん治療薬の集計をリリースしています。
https://www.ncc.go.jp/jp/senshiniryo/iyakuhin/index.html

2015年以降、日本での未承認薬/適応は急増し、2022年には100剤を超えています。がん種別には、血液腫瘍の治療薬で特に多くなっています。

当サイト監修者の中村能章医師(国立がん研究センター東病院/消化管がん)から、ドラッグラグ問題の拡大について、下記の情報を頂きました。

「海外で使える薬が日本で使えない。GISTでは特に問題になっていますが、最近はさらにいろんながん種にまたがって、ドラッグラグの問題が拡大してきております。医療経済を取り巻く環境の影響が大きいと考察されていますが、我々研究者も今回のGIST患者の方からのお言葉を胸に少しでも多くの薬剤が日本で使えるように頑張ってまいります。」

「以下の記事のようにドラッグラグの要因について様々調査が行われています。最近はドラッグラグどころか、ドラッグロス(日本では開発されない薬)とも言われ始めています。」

「ドラッグラグ/ロスについてわかりやすい記事がございましたので共有します。
海外バイオテックの新薬開発を日本に呼び込むには—臨床開発の視点から | AnswersNews (ten-navi.com)
治験コストというのはなかなか馴染みのない視点かもしれませんが、外国の治験が日本に来ない大きな理由の一つです。」

ドラッグラグ/ドラッグロスに関するまとめ

「この問題には、開発に身を置いている我々も非常に危機感を持っております。患者様方のお声がとても重要だと思います。この状況を広く知って欲しいです。引き続きよろしくお願いします。」と、中村能章医師は述べます。

日本のドラッグラグ/ドラッグロスになんとしても歯止めをかけたいー 世界の医薬品開発に取り残されないために、日本の制度改革を求めて、がん患者団体、がん医療にかかわる人たち、そして賛同するすべての人が声を上げることがとても大切とのことです。周知いただけましたら幸いです。STOP!ドラッグラグ/ドラッグロス!

ドラッグラグ/ドラッグロスに関する参考URL

・ドラッグ・ラグ:事業投資優先度の影響 −日本事業投資優先度の製薬企業サーベイ結果https://www.jpma.or.jp/opir/news/067/pdf/67_1.pdf
・ドラッグ・ラグ:日本と欧州の未承認薬状況の比較 −2010〜2021年の米国承認薬をもとに https://www.jpma.or.jp/opir/news/067/pdf/67_2.pdf
・新薬の国際普及の計量分析:米国承認新薬の日欧承認に注目してPDF
https://www.jpma.or.jp/opir/news/067/pdf/67_3.pdf
・デジタルヘルスを取り巻く知的財産の特徴 −グローバル動向と日米DTx 企業の分析を踏まえて
https://www.jpma.or.jp/opir/news/067/pdf/67_9.pdf
・世界売上高上位医薬品の創出企業の国籍 −2021年の動向
https://www.jpma.or.jp/opir/news/067/pdf/67_11.pdf
・日米欧の新薬承認状況と審査期間の比較 −バイオ医薬品の承認状況も踏まえて
https://www.jpma.or.jp/opir/news/067/pdf/67_12.pdf

(ブログ元記事:https://www.cancerit.jp/blog/blog-15336.html

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