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【本紹介】「命」について考える

おはようございます。
カナリアコミュニケーションズです。

本日は横浜総合病院院長 平元周さんの著書、『命についての本当の話』をご紹介します。

1.感想

本書を読んで、「死」の定義について再考させられました。

日本では、以下の特徴をもとに、「死」を判断しているのだそうです。

日本では「呼吸の不可逆的停止」「心臓の不可逆的停止」「瞳孔散大」の3つの徴候を基礎にして「死」を総合的に判断します。ですから、臓器移植においてよく議論される「脳死」は、日本の法律でははっきり「死」とは定義されておらず「臓器提供する場合には」という条件付きで、人の死となるわけです。

これに対して筆者は、私たちの生きている世界は情報で成り立っており、それを認識する脳が機能を停止してしまったら、その人の世界の元となるはずの情報を認識できなくなり、人生は消える。

すなわち、脳死とはその人にとっての「死」と言っても良いのではないかという意見を展開してくれていました。

私も個人的な考えとして、「脳死」=「死」と言う価値観を持っています。

もっと言えば、その人がその人らしく生きていけなくなったら、ある意味「死」であるとも思っています。

本書では、第3章で「脳死」について語られた後、第5章では「健康寿命」について議論されています。

これについても同じような考えて、人生100年時代と言われていますが、単なる「寿命」よりも、「健康寿命」を伸ばすことの方が何倍も大事なことだと思うのです。

筆者は、認知症対策についても今後超高齢化社会を成り立たせるためにとても重要な課題だと述べています。

その本人がその人らしく、生きたいように生きれる期間をできるだけ伸ばすことが重要であると考えている筆者に私はとても同感しました。

医師は単に人間の寿命を伸ばすために働いているのではない。

これが本書を読んでの一番の気づきです。

2.おすすめポイント

本書のおすすめポイントは、第8章の医師をめざす人への筆者からのメッセージです。

何十年という医師生活でさまざまな経験をしてきて、自分の確固たる考えを持たれている筆者からのメッセージはとても貴重だと思います。

全ての言葉が、とても「重い」です!笑

筆者の経験が全て乗っかっているメッセージになっています。

医師を志したことはない私ですが、最も響いた1節をご紹介します。

医師になりたい人の理由はざまざまかもしれませんが、医学部を志望している人は、ぜひもう一度自分と向き合ってみてください。
自分のことは後回しにして患者さんのために働くという気持ちが本当にあるのか。クリスマスを恋人と過ごせないとか、長期の旅行が難しいとか、自分にとって損になることも引き受ける覚悟があるのかどうか。自分に医師の資質があるのかどうか、そこは自分の将来のためにもとても重要なポイントです。

この文章を読んだ時、医師という職業は、私たちサラリーマンの一般的な職業とは少し違う職業であるのだと、認識しました。

これ以外にも、心に響く言葉だらけの章になっているのが、この第8章でした。

3.概要

目次
第1章 利尻島時代
第2章 医師をめざして
第3章 聖路加国際病院〜北品川病院〜横浜総合病院
第4章 人間の命
第5章 人生のフィナーレと医師
第6章 これからの医療
第7章 横浜総合病院が目指すもの
第8章 医師を目指す人へ

本書では、第1章〜第3章で医師として働く筆者の人生が紹介されます。

その後、第4章〜第6章で医療に関する幾つかのトピックについて、筆者の経験を交えながら、筆者の意見が紹介されます。

第7章では、筆者が院長を務める横浜総合病院で、筆者が今後目指しているものの紹介がされます。

最後に第8章で、おすすめポイントにも記載した、筆者から医師をめざす人へのメッセージが書かれています。

「命」に関する価値観って、本当に人それぞれだと思うのですが、価値観の違いによる批判を恐れずに、自分の意見を主張し続ける筆者に対して、医師としての使命感を強く感じられる一冊となっております。

人間として生きている皆様にとって、1度「命」について深く考えてみることは今後の人生を考える上でとても重要なことだと思うのです。

ぜひ、ご一読ください。

それでは。



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