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自分らしくいること|カナダ高校留学日記 Vol.12

カナダに留学に来てからの重要な成果は、自分らしくいることがずっと簡単になったことである。

日本よりも自分らしくいられるだろうと期待してカナダに渡ったが、本当にその通りだった。

ただ、やはりときどき言語の壁が邪魔をして、自分らしさ以前にそもそも最も重要な自己表現手段である「言語」が母語同様に使えない。

当初その理由が分かっていなかった私は、「やっぱりどこへ行っても自分らしくいることの難易度は同じなのかもしれない」と幻滅しかけていた。


しかし、こちらの人々と共に時間を過ごして観察していると、他人に全く干渉しないことに気づいた。

どんな服を着ても、どんなアクセサリーを身につけても、どんなアクセントで話しても、どんな文字を書いても、どんな趣味があっても、どんなものを食べても、誰も何も口出ししない。

時には人として良くない面すらも受け入れてしまうほど、基本的に柔軟で寛容な人が多い。

例えばホストファミリーも、私が海岸は寒いことを知らずに薄着でビーチへお出かけに行こうとした際、「寒くなるからもっと着込んだ方が良いよ」などではなく、「寒くなるけどそれで大丈夫?」と聞かた。

「多分大丈夫」「じゃあ行こう」と会話をしてビーチに行くと、あまりの風の強さと寒さに冗談抜きで凍え死にそうになった。

完全に自己責任なのだが、みんなコートやマフラーで日本の真冬のような格好をしていた中、私はヒートテックとウインドブレーカーのみだった。

もし自分が、気候の勝手がまだ分かっていない学生のホストファミリーだったら、絶対にもっと着込むように言っただろうなと思う。

何を着ようか着まいが個人の自由で、それで損をしても自己責任という風潮が伺え、なんとなく少し嬉しかった。


他にも料理の手伝いをしたとき、まともに料理をしたことがないと伝えたので、サマーキャンプでコックをしている娘さんに手取り足取り教えられるかと思った。

しかし、「これ切って」「これ適当に入れて」「これ混ぜて」といった指示のみで、包丁を使う際の猫の手レベルから教え込まれると思って緊張していた私は、どんな方法で料理しても何も言われないのかと、良い意味でものすごくショックを受けた。

そもそもこちらは料理に関して細かいことを気にしない人が多いらしく、ホストファミリーも野菜を切る際、手のひらの上ででサバイバルナイフのような小さいナイフを使って適当にスパスパ切るだけだったりする。


そもそもこちらは料理に関して細かいことを気にしない人が多いらしく、ホストファミリーも野菜を切る際、手のひらの上ででサバイバルナイフのような小さいナイフを使って適当にスパスパ切るだけだったりする。

「他人に干渉すること」を良しとしない雰囲気があることで、基本的に誰でも他人と自分との境界線をはっきり引いており、他人にあまり踏み込んだ質問をしない人も多い。

そのため、距離を縮めたいなら自分から自分のことをちゃんと話すことの重要性をここでも感じた。同時に話したくないときには話す必要が一切ないので、そういった面では楽だなと感じた。

とにかく他人が何をしようが誰も気にしない(少なくとも何も言われない)環境のおかげで、人目を気にすることが少なくなり、好きな服を着て、好きな場所で過ごして、好きな時に一人の時間を確保してというように、自分らしく楽に生きるハードルがとても低くなったように思う。

何事においても決断を下すのが苦手だったが、自分が本当に望むものを理解することで、それもだんだん克服できるんじゃないかと思う。

著者:ぴーなっつ
新しい世界が見たい。新しい自分が知りたい。そんな思いから留学を決意し、長年の憧れだったカナダ・プリンスエドワード島にて10ヶ月間の高校留学を経験。留学先での新たな出会いや気付き、挫折や失敗、そして苦難を乗り越えて手にした成長など、人生を変えた10ヶ月間の日々を綴ります。