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潮時~漫画『レベレーション』~

母さんは正しかった
あの時 ドンレミに帰っていたら

年末年始に読み通した漫画『レベレーション』の主人公、ジャンヌ・ダルクのセリフ。

スターダムにのし上がった時こそ気を付けなければならないという忠告のようにも聞こえる。

神の啓示を受けたジャンヌに課せられた役目、ランスの聖別。

無事にその役目を終えたのを見届けたジャンヌの母親は、娘のジャンヌに生まれ故郷に戻って来るように言う。

この時、母親の言葉に従っていたら、ジャンヌの運命は変わっていたかも知れない。普通の幸せな一生があったかも知れないのに…。

結局残ることを選んだジャンヌを待ち受けていたものは、あまりにも残酷な運命だった。

潮時を見極めるのは難しい。

特に無茶が利く10代は、体力・気力が十分にあるだけに、物事には引き際があるなんて考えもしない、他人の言うことなど耳に入らない年頃。

ジャンヌの一番の理解者だった母親のセリフからは、娘が歴史に名前を残し有名になることよりも、幸せになることを何より願っていたことが伺える。

漫画『レベレーション』より

大学生の時に観た映画『Joan of Arc』(1999年  フランス/アメリカ)にも、神の御言葉が聞こえなくなったというジャンヌに、忠告する人がいた。

「それは、あなたの役目は終わったということではないかしら。」と。

映画の中にもあったジャンヌへの忠告のシーン。(劇中では、忠告者は母親ではなかったと記憶している。)

この潮時を告げる忠告を境目に、栄光から転落へ。

運命の分かれ道となる何気ない忠告のシーンが、妙に印象に残った作品。

母親の言葉こそ、ジャンヌを守る最大の『啓示』だったに違いない。


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