【記念対談】VC×ECF 共同資金調達 。 障害や難病を越え、誰もが自分らしく生きられる世界を目指して。
株式投資型クラウドファンディング(以下、ECF)「CAMPFIRE Angels」は、今年7月にパートナーシップを締結した株式会社talikiの社会課題解決ベンチャー特化型ファンド「talikiファンド」と連携し、デジタルアートとセンサーを活用したリハビリツールを開発する株式会社デジリハの株主募集を11月30日(火)より開始します。ベンチャーキャピタル(以下、VC)とECFがタッグを組んで資金調達を実施するケースは業界初となります。
今回の決断に至った背景とスタートアップの資金調達のあり方、それぞれが目指す社会課題解決のビジョンとは。CAMPFIRE Startups田中が、株式会社taliki代表取締役CEO中村多伽氏と、ECFに挑戦する株式会社デジリハ代表取締役 岡 勇樹氏にお話を伺いました。
障害や難病を越え、誰もが自分らしく生きられる世界を作る。デジタルアートを活用したリハビリツールで、その第一歩を踏み出す。
株式会社デジリハ代表取締役 /NPO法人Ubdobe代表理事
岡 勇樹(おか ゆうき)
1981年東京生まれ。幼少期の8年間をサンフランシスコで過ごし、音楽漬けで帰国。母と祖父の病気や死がきっかけで高齢者介護・障がい児支援の仕事に従事。現在は医療福祉系クラブイベントや謎解きイベント事業・居宅介護や移動支援などの障害者支援事業・デジタルアート型リハビリコンテンツ事業・オンラインのレコードショップなどを展開。
田中:まずはデジリハの事業内容について教えてください。
岡 勇樹さん(以下、岡):私たちはデジタルアートとセンサーを活用したリハビリツール「デジリハ」の開発・提供を行っています。
「デジリハ」は、リハビリをするユーザーの手足や眼球等の動きに合わせて、動物や電車、宝石など色とりどりのオブジェクトが動き、目を引くインタラクションが発生するアプリです。医療・福祉現場で経験を積んだ作業療法士や理学療法士など、リハビリの専門家が監修に入っており、ゲームを楽しむだけで自然にリハビリに必要な動作を行うことができます。現在、個人のご家庭や、病院、医療福祉施設などに月額課金制のサブスクリプションサービスとして提供しています。
田中:事業を通してどんな社会と未来を描いていきたいと考えていますか。
岡:デジリハは「リハビリを楽しく実施し、身体機能向上やコミュニケーションツールの獲得に繋げることで、障害児者とその家族のQOL向上を実現すること」をビジョンに掲げています。
リハビリはとても重要で必要なものですが、モチベーションを高く持ち続けるのは困難、かつ病院や施設によってはリハビリを受けられる回数も人材不足や制度上の理由で制限されてしまうことがあります。その結果、拘縮(こうしゅく)が強まるなどの悪循環に陥ってしまうことがあります。そこで、リハビリにデジタルアートやゲームの要素を加えることで楽しみながらモチベーションを向上させ、身体的・認知的な機能制限によって既存のゲームで遊べない方々の余暇活動と社会参加の促進を目的としています。
将来的には、難病や障害を抱える方やご高齢の方でも、自分らしく生きて人生の選択を自らできる社会にしたい。リハビリツールはその実現のための第一歩です。あと、これはまだ構想段階ですが、社会参加のプラットフォームとしてバーチャルコミュニティやメタバースの領域にも踏み込んでいきたいと考えています。
田中:岡さんが起業したきっかけは何だったのでしょうか。
株式会社CAMPFIRE Startups
取締役 執行役員経営戦略本部長 田中駆(たなか かける)
横浜市立大学起業戦略コース卒。株式会社TOMOSHIBIを創業し事業譲渡した後、株式会社CAMPFIREへジョイン。2020年に株式投資型クラウドファンディング「CAMPFIRE Angels」立ち上げに参画し、同年12月より取締役就任。現在は渋谷区スタートアップ支援事業 アドバイザーや横浜市立大学 外部講師としても活躍中。
岡:自分が福祉の分野に関心を持ったのは、家族の影響と自分の現場体験が大きいです。
20歳の時に母が癌で他界しました。しかし、母は亡くなる直前まで家族にも病気のことを隠していたんです。体が限界の状態になっても、自分の病気が誰かの負担になってはいけない思いが強かったのでしょう。病気に対する社会の負のイメージもありました。家族として責任を感じながらも、病気や難病、障害をもっとオープンに話せる社会をつくりたいと考えるようになりました。
その後、祖父が認知症を患い認知症療養病棟に入院することになりました。私自身、移動支援や訪問介護の経験がありますが、事業所や施設によっては身体拘束や部屋に鍵をかけて閉じ込めるなどの介護が残っていたりします。しかしそれは当事者の尊厳を奪うだけでなく、かえって身体機能の低下や寝たきりを進行させる可能性があります。医療や福祉のクローズドな現場を、もっと社会にオープンにすべきだと感じるようになりました。そこで思いついたのは「健常者と障害者の断絶をなくす楽しいツールをつくろう」です。
デジリハでは、リハビリをしている病児や障害児とデジリハLABに通う子どもたちが一緒になって企画やプロトタイプの制作を行っています。障害の有無に関わらず同じものを作る経験を積み重ねることによって、壁が取り払われて文化の断絶をなくすきっかけになります。難病障害児、高齢者の誰もがリハビリを楽しめて、心のバリアフリーを実現するリハビリツールを目指しています。
田中:中村さんが展開されているtalikiの事業についてお聞かせください。また、設立したファンドを通してどのような未来を描きたいとお考えですか?
株式会社 talikiファンド代表パートナー
代表取締役CEO 中村多伽(なかむら たか)
京都大学卒。大学在学中に国際協力団体の代表としてカンボジアに2校の学校建設を行う。その後、ニューヨークのビジネススクールへ留学。現地報道局に勤務し、アシスタントプロデューサーとして2016年大統領選や国連総会の取材に携わる。様々な経験を通して「社会課題を解決するプレイヤーの支援」の必要性を感じ、帰国後の大学4年時に株式会社talikiを設立。関西を中心に社会起業家のインキュベーションや上場企業の事業開発・オープンイノベーション推進を行いながら、2020年には社会課題解決ファンドを設立し投資活動にも従事。
中村:talikiは「命を落とす人、死ぬより辛い人の絶対数を減らす仕組みを作る」をビジョンに、社会課題の解決を目指す人材を増やしたり応援したりする会社です。具体的には、起業家の卵に向けた事業立ち上げ期のサポートや、大手企業とスタートアップの連携支援、社会課題解決を目的としたシード期の事業に対して、自社ファンド「talikiファンド」やVCとの協業を通して出資をしています。
出資先は業種を限定せず、社会課題の観点から出資をしています。過去には、気候変動と動物倫理の観点からヴィーガンフードを開発・販売するスタートアップや、食品ロスの解決を目指す企業、通常廃棄されてしまうりんごをアップサイクルしたヴィーガンレザーを活用するアパレルブランドなどに出資しました。最近では、地方都市の個人店に特化したCRMのSaaS企業のように、コロナ禍で打撃を受けた業界を支援するビジネスも支援しています。
人が社会生活を営む限り、社会課題は簡単には無くなりません。ですが、今の世界を少しでもアップデートして誰もが「生まれてよかった」と思える社会を作ることが私たちが目指す未来です。
出資の決め手は
新たな世界を実現する「可能性」と起業家の「人間性」
田中:今回、岡さんがECFを通じて資金調達する目的は何でしょうか。
岡:一番の目的はアプリの開発加速とデータベースの構築です。現在、26本のデジリハアプリを提供していますが、障害の度合いやリハビリの部位などの細やかなニーズに対応できるようアプリの開発を推進していきます。
同時にセンサー活用によってデータを取得できるメリットを活かし、データベースの構築をしていきたいと考えています。病院などへの導入時にもデジリハの身体的・精神的効果に関するエビデンスを求められることがあります。教育・研究機関との共同研究も進めていますが、デジリハのダッシュボードも拡充していきたいと考えています。データベースを整備すると同時に、全国の医療福祉施設導入に向けて営業・広報活動にも注力していく予定です。
田中:中村さんにお聞きします。デジリハへの出資の決め手になった出来事やエピソードがあればぜひ教えてください。
中村:エピソードは盛りだくさんなんですが、どれにしようかな…。
talikiファンドは社会課題解決を目的としているため、出資にあたっても利益の追求以外に当事者の課題意識を重要視しています。岡さんに初めてお会いして今後の展望を伺った時に、投資家に対しても事業やビジョンへの共感を重視されている姿勢が印象的でした。
デジリハが展開している事業は、医療や福祉が抱える根深い社会課題をクリティカルに解決できる手段だと感じましたし、今後エビデンスで裏付けしながらサービスを拡大していくことで課題解決を加速させたいという考えにとても納得できました。「デジリハ」のツールは言葉を使わないため、海外の方でも容易に操作ができます。今後海外マーケットに展開していく際にもメリットになると感じました。
障害の有無関係なく多様な人が繋がって断絶をなくせるツールになれたら、福祉にとどまらない新たな可能性も広がります。ビジネスの側面でも、新たな世界を実現できる可能性に魅力を感じました。それに、なにより岡さんの人間性も魅力でした(笑)
岡:そこまで褒められるとうれしいですね(笑)。中村さんとの出会いは一緒に登壇したオンラインイベントです。そこで初めて社会課題解決型VCの存在を知りましたし、ご自身の考えを聞いて、VCに対するイメージが180度変わったのをよく覚えています。「中村さんとtalikiなら自分の思いに真剣に向き合ってもらえるのでは」と、すぐに京都へ会いにいきました。
実際にお会いして、自分の思いを率直に伝えながら「こういう人に伴走してほしい」と直感的に思いました。後日CFOにも相談したところ「岡にはtalikiさんの存在が合ってるんじゃない?」と同じ結論に至り、正式にオファーしました。
田中:ECFは個人が小額の投資をできる仕組みです。個人の株主を集めようと思ったきっかけは?
岡:理由は2つあって、1つは大河ドラマの影響です(笑)。坂本龍馬のように時代を切り拓く主人公に感情移入しちゃうんですよね。放映中の大河の主人公・渋沢栄一も、「近代日本経済の父」として全国に500社以上の企業を設立した起業家です。彼は海外視察から出資による株式会社設立の仕組みを学び、公益を追求するという使命や目的を達成するのに最も適した人材と資本を集め、事業を推進させる「合本主義」を提唱しました。彼が社会や人々の「公益」を追求したように、自分たちのビジネスも多くの方々に出資していただくことで、社会課題解決という大きなビジョンを成し遂げたいと考えています。
もう一つはCAMPFIRE Angelsチームのみなさんの人柄です。中村さんから紹介いただいてお会いすると、talikiの方々同様、起業家の思いを尊重してくださる組織風土がありました。素直に「この方達に託したい」と思いましたね。
導入現場の視察も。
社会課題解決への一歩を共に歩みたい
田中:資金調達に向けてこれからどんなサポートを提供していきたいとお考えですか?
中村:私たちのミッションは、まずデジリハと親和性の高い投資家を探すことです。特に社会企業家は事業目的がねじまげられると本末転倒ですから、ビジョンに共感して寄り添っていただける投資家や事業者を繋いでいきたいです。
また、福祉の事業は行政との連携が要です。私たちtalikiは関西が拠点ですが行政と協業する機会も多いので、時期を見てお繋ぎしたいですね。それ以外にも、デジリハの事業内容は汎用性が高いので、さまざまな業種の企業が興味を持たれるのではと思っています。新たなビジネスチャンスの創出としてもマッチングを進めていけたらと思います。
田中:CAMPFIREグループはクラウドファンディングの会社です。今後も株式投資型に限らす、その特徴を活かして岡さんの思いと「デジリハ」事業バリューを幅広い方々に知っていただくことも私たちのミッションだと感じました。最後に、出資を検討する投資家に向けてメッセージをお願いします。
中村:ビジネスの可能性はもちろん、起業家としての岡さんの思いもぜひ注目していただきたいと思います。岡さんは正直で嘘がつけないタイプですが、創業者として誰よりも真摯に課題解決に取り組み、より多くの人の幸せを実現しようと奮闘しています。彼のようにあらゆるステークホルダーに対して誠実な人が、大きなビジョンの実現を成し遂げられるのではないでしょうか。ぜひ事業成長の伴走者として、社会課題解決への一歩を共に歩んでいただきたいと思います。
田中:岡さんからもメッセージをお願いします。
岡:自分の中では、世界中にデジリハを届ける未来は既に確定しています。確実に実現できると断言できます。気持ちの強さは誰にも負けません。
今回のチャレンジを通して出資をいただくだけでも大変ありがたく思いますが、もし可能なら、デジリハ導入現場を視察いただき実際にツールを体験いただくなど、その先のアクションも一緒にできたらと考えています。
自分も現場によく足を運ぶのですが、行く度に泣きそうになるんですよね。ある施設では、難病と障害を抱える3歳くらいのお子さんが、デジリハが起動した瞬間に興味を示して、ソファーに座りながら画面に現れるクジラやお魚に楽しそうに手を伸ばしていました。
その子は、施設に来た当初は自分の意思で手を伸ばすことがなかったそうなんです。でも今は、ゆっくりながらも小さな手を一生懸命動かせるようになりました。夢中になって遊んでいる様子を見ながら「自分が実現したいことはこれしかない」と確信しました。いままでできなかったことが「デジリハ」を通して意欲的に行動できた。この何にも変え難い瞬間を、これからできるだけたくさん生み出したいと考えています。
さまざまな知見のある投資家さんと福祉の現場が繋がれたら、投資の先に新しいビジネスが生まれるかもしれません。その一歩として、まずは子供たちが目を輝かせながらデジリハを遊ぶ姿を見ていただきたいと思います。
▼当プロジェクトに関する詳細はこちら
https://angels.camp-fire.jp/projects/18
株式会社CAMPFIRE Startupsについて
名称:株式会社CAMPFIRE Startups
第一種少額電子募集取扱業者 関東財務局長(金商)第3000号
加入協会:日本証券業協会
契約紛争解決機関:証券・金融商品あっせん相談センター
投資者保護基金:未加入
代表取締役:出縄 良人
所在地:東京都渋谷区渋谷2丁目22-3 渋谷東口ビル 5F
資本金:1億円
事業内容:第一種少額電子募集取扱業、適格機関投資家等特例業務、コンサルティング事業、教育研修事業
URL:https://campfire-startups.co.jp/
※当プレスリリースは、株式投資型クラウドファンディング「CAMPFIRE Angels」の募集案件に関連する情報を一般に公表するための文書であり、投資勧誘を目的として作成されたものではありません。なお、実際の投資に際しては投資に係るリスクをよくご確認の上のご判断をお願い致します。
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