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土とソテツの話 (奄美大島取材日記1)

CAMPonPARADE編集部です。今日からいよいよ3月ですね。CAMPonPARADEのグランドツアーは来週7日から約1か月間、奄美大島の宇検(うけん)浜に停泊予定です。

奄美を歩いていると時々目にする赤い大地。これは赤黄色土という奄美以南でよくみられる降水量が多い亜熱帯の独特の土壌です。色々な成分が含まれる岩石が時間をかけて風化して細かい土になっていく中で、たくさん雨が降ると鉄やアルミ以外の成分は溶けて流れていく。土に残った鉄分が空気に触れて錆びて赤くなっているのがこの赤い大地の正体でした。

この土は鉄分は豊富なのだけど、実は土の死骸と言われるほど栄養分はほぼない。いわゆる〝やせている土地" なのです。だから奄美では昔から農業などはあまり発展しなかったのですね。

鉄を養分として育つソテツ

南の島に行くとよく見るソテツ。と書いて「蘇鉄(ソテツ)」。奄美にも岩壁にビシーッ!と埋め尽くすように生えてます。この植物、鉄を養分に育つので奄美のような痩せた土地でも鉄分と水分が多ければ元気に育つのです。「ソテツが弱ったら鉄くぎを打つと蘇る」ことから蘇鉄と名付けられた由来があります。

奄美は薩摩藩に統治されていた歴史があって、お米が育たなかった奄美はサトウキビを作って藩に年貢として納めていました。ところがこれが薩摩藩にとっては全国で専売できる特産品として大活躍したのですが、島民はとにかくサトウキビばかりを作らされたものだから自分たちの食べ物がない。飢饉に陥ってしまうのです。そこで島民はソテツをせっせと植えたのだ。

もちろん植えたからには食べる、わけです。どこを食べるかというと、この赤い実(ナリと呼ばれる)の部分。しかしこの実、猛毒なのです。これを干して砕いて発酵させる。それを水にさらしてデンプンのみを乾燥させ、また水でさらして乾燥…を繰り返す。水に何度もさらすことで毒が水に溶け、毒が除かれたデンプンのみが残るというから、なんとも手間がかかる作業です。そこまでしなければ食べ物が手に入らなかったのだろうから、本当に苦しかったのですね。

こうして毒抜きしたソテツは味噌や、おかゆとして食べられていました。今でも奄美で味噌といったら、「なり味噌」が主流。本州の味噌とは違う、少し白っぽいツブツブしたお味噌です。豚肉に黒糖をなり味噌をからめて作る「豚味噌」など、奄美に行ったら一度は口にする郷土料理になっています。

今日は奄美の「土とソテツ」についてのお話しでした、次回は「島の黒糖と薩摩藩の事情」についてお話しします!





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