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創作の糧(皆様の気になった記事を紹介)

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ライティングや創作のヒントになるような記事。特に再読したい記事をスクラップしています。素晴らしい記事を集めています。ご参考になれば幸いです。
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#読書

【書評】人工知能が俳句を詠む ―AI一茶くんの挑戦―

本書は、北海道大学の教授陣が、俳句を生成する人工知能である「AI一茶くん」を研究・開発し、現在の人工知能がどこまで達成し、なにができていないのかを紐解いた書である。 本書では、人工知能における俳句の意義について、次の通り述べられている。 人工知能の研究にとって俳句を扱う意義はどこにあるのでしょうか。私たちは、単に俳句を生成する人工知能をつくることを目的としているのではなく、最終的には人に交じって人と対等に句会に参加できる人工知能を開発することがゴールと考えています。人と対

古本は、タイムスリップだ。 

わたしは古本が好きです。 買う本のほとんどが、じつは古本。 安い、というが1番の理由です(^^) でも、もうひとつ理由があって、 古本は、タイムスリップだと思うんです。 深田久弥の「日本百名山」。 2年ほど前に古本屋で買いました。 後ろを見ると、消費税がない。 奥付を見てみましょう。 「昭和53年11月27日発行  昭和62年11月25日18刷」 消費税は平成元年に導入されたから、まだこの頃は表示されていないんですね。 初版は昭和39年ですが、著者の深田久弥は、百名

『最後の文人 石川淳の世界』

☆mediopos-2360  2021.5.3 石川淳を読み直しはじめたのは 数ヶ月前に『狂風記』を 古書店の店頭で安く見つけたからだ 思い出深い三十年来の再会でもある (刊行当初は学生だったが 学費にも事欠くほぼ無一文状態でもあり 高価な大作には手がでなかったが 種村季弘の解説にもあるように そうした境遇のなかでこそ 石川淳は読まれるべきだったともいえる) その後あらためて石川淳を 再読・新読していたところ こうしてその数ヶ月後 『石川淳の世界』が 偶然(であるかの

合理的な豚は 走らない

ゲーム理論の本を読みました。 ゲーム理論って「囚人のジレンマ」や「ナッシュ均衡」で有名なあれです。もともとは数学者のフォン・ノイマンと経済学者のモルゲンシュテルンの2人から始まったそうです。 数学、経済学、コンピューターサイエンスといった理系分野から、心理学や政治学、企業戦略といった文系分野まで、応用範囲が幅広いのが特徴です。すそ野が広いので関連図書もたくさんあります。 合理的な豚 🐷「合理的な豚」はゲーム理論の中に出てくるモデルです。「囚人のジレンマ」の利得構造を変え

『墓場まで何マイル?』寺山修司著

まるで怪人二十面相のように幾つもの顔をもつ 寺山修司。 あるときは少年 あるときは少女 あるときは探偵 そしてひとりの表現者として 言葉を自在に描いた人。 私が好きな寺山修司は 詩人 童話(メルヘン)作家 評論家 この3つの顔である。 晩年に収められた「遊びこそ我が人生」と珠玉のエッセイ集「墓場まで何マイル?― ジャズが聴こえる」。 この本はこれまで残してきた彼の作品とは明らかに違う顔を発見する。 読み返す度に余計なモノが削ぎ落とされたひとりの人間・寺山修司が見えてくる。