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創作の糧(皆様の気になった記事を紹介)

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ライティングや創作のヒントになるような記事。特に再読したい記事をスクラップしています。素晴らしい記事を集めています。ご参考になれば幸いです。
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2021年7月の記事一覧

鶴の瞳に映るもの

 私の文章を読みに来てくださる方のほとんどは、すでに、つる・るるるさんをご存じだと思うので紹介するまでもないのだが、言葉にすることが重要だと思って書いておく。  意外に思うかもしれないが、私と彼女には共通点が多い。そしておそらく、様々な原体験がかなり似ている。私と彼女の一番の違いはその圧倒的な文章力。彼女のエッセイを読むことで、私は自分の中で蓄積されたものが、爽快に発散されていくのを感じることができる。読んでいる間、頷きしかない。(時に心の中で本気でつっこむこともあるけど。)

瞳について語ろう

私の絵には時々仕掛けがある。 有難いことに、それを楽しみにしてくれる方が少なからず居て、毎回絵を拡大して仕掛け探しをしてくれるらしい。 それでも、特にスマホの拡大には限界がある。 今回はその中の、いつも応援してくださる、私が尊敬してやまない方のご要望により、この記事を書いている。 基本の瞳 私は、どんな小さな鳥を描く時にも、黒一色だけでなく虹彩を描くことにしている。 きっと、遠目から見たらこれはただの黒目がちな目にしか見えない。そうだとしても。 だからこれは、何も仕込んで

俳句の4つの型と切字 「20週俳句入門」藤田湘子著より

藤田湘子は、大正15年(1926)神奈川県小田原生まれ。俳句は16歳より水原秋櫻子に師事。23歳で「馬酔木」同人。その後石田波郷の後を受けて「馬酔木」編集長もされた方です。 以前私が、日本語上級学習者に3回シリーズで俳句講義をした際に、プレバトの夏井いつき先生の「世界一わかりやすい俳句の授業」という本にあった「俳句の型」を参考にさせてもらいましたが、この本の中で夏井先生は「私は俳句を始めたころにこの『20週俳句入門』を何度も読んで勉強した」と書かれています。 今回「20週

絵描きからの問題です

突然ですが、これは何を描いたのだと思われますか? 絵は観る人の自由。 受け取り方や、その時の感情で、その姿は変化する。 それで正解!なのです。 この作品は、破壊好きの絵描き自身が大切にしている、もう一つの作品なのです。 一応、思い浮かべて描いた、一つのモチーフが存在します。 この子、どの場所でお披露目しても、観る人の頭上に???が飛び交うようで、必ず必ず必ず、「何?」と訊かれます。 大きな絵の混沌は、分からないという事自体が理解されても、F0サイズの小さな絵は、何とか理解

焚き火の俳句ーー松本たかし

とつぷりと後ろ暮れゐし焚火かな/松本たかし 山で焚き火をしていると、この俳句を思い出します。 「とっぷりとうしろくれいしたきびかな」。目の前が明るければ明るいほど背後の闇は濃くなります。山の夜の深さは、電気の光りに染められた都会では、体験できないものです。重量と密度があります。 少しでも山の夜を遠ざけたくて、コールマンのランタンを木の枝に吊るしてみます。しかし、そんな強い光源は、ここにはありません。焚き火のあかりだけが、頼りです。 キャンプで、夕食の支度をします。よう

「歳時記」活用の落とし穴

俳句入門の際にまず準備するものは「歳時記」であり、多くの方がこれで季語を調べて句を作る。「歳時記」に収録されている四季の季語を主題に句作するのは伝統的な方法である。 だが、「歳時記」を有効に活用し、俳歴を重ねるほど以下のようなマイナス効果も助長する。 1:季語を説明しただけの句を作ってしまう 2:例句の影響を受けた類句、類想句を作ってしまうおそれがある 3:季題趣味、季感中心主義になり、句から作者の顔が消えてしまう 4:季語以外への詩的感性が衰耗してしまう 季語の

山上憶良は「万葉」のラッパーだった

『私の万葉集 二(全五巻) 』(講談社文芸文庫/2014年)大岡信 現代詩人・大岡信の『私の万葉集』第二巻。巻二の補遺及び、巻五から巻七までを取り上げる。巻五は、『万葉集』全二十巻の中でも特異であり、大伴旅人と山上憶良の二人に尽きるといっても過言ではなく、しかも、濃密かつ心に残る和歌の抒情の魅力が詰まった巻として有名。『万葉集』の面白さを存分に感じる一冊 第2巻(補遺)相聞、第5~7巻。第5巻は、「令和」の語源になった「梅花の宴」とその主催者であった大伴旅人ともう一人