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【息ぬき音楽エッセイvol.24】Sufjan Stevensとアメリカ by 村松社長

みなさまこんにちは。カロワークスの村松社長です。
はっと我に返るともう12月…そろそろ今年が終わるんですってよ!
毎回言っている気がしますが、月日が経つの早すぎません??

さて、今回は季節感関係なく「アメリカ」を話題にいたします。
前回がイギリスで今回がアメリカ…社長は世界制覇でも目指しているのかとお思いかもしれませんが、全くの偶然でございます。アメリカをテーマにする理由は、ここしばらくハマりまくっていたドラマをついに観終わったからです!

そのドラマ、タイトルは『THIS IS US』といいまして、2016年から始まって2022年に最終回を迎えたアメリカのドラマです。
日本ではシーズン1に『36歳、これから』というサブタイトルがついてNHKなどでも放送されましたが、本国での国民的な人気に比べていまいちな盛り上がりでした。

古くは『ツイン・ピークス』に始まり、『ストレンジャー・シングス』『スーツ』『セックス・アンド・ザ・シティ』『シャーロック』『ゲーム・オブ・スローンズ』『クイーンズ・ギャンビット』『マインドハンター』などなど、人生の時々で海外ドラマにハマってきた社長ですが、今回のハマり方は過去イチかもしれません。キャストの集合写真を見ると自分の家族写真を見ているような気持ちになるくらいだし…。

内容の説明をしたいのですが、あらゆる言葉がネタバレになってしまうので、まずは何の前情報もなく1話目を観ることをおすすめします。シーズン6までありますが、完結しているので今なら一気観もできますよー!
※余談ですが、昔は「映画は1時間30分まで」「小説は短編につきる」と思っていた社長、今では映画も小説も”終わってほしくない”と思うようになり、長いの万歳になりました。昨今のファスト映画などへの反発なのか、単に年を取ったのか…。

ネタバレ回避でふんわりした解説をしますと、このドラマは現在・過去・未来を行き来しながらお話が進んでいきます。”現在”の主人公たちの年齢が、シーズン1で36歳。家族を持ったり、失ったり、仕事や健康においても人生の過渡期と言える年齢。社長も自分の状況と重なる部分が多く、そこにドハマリしたわけですが、観ていくうちに気づいたことがありました。

家族や仕事や健康といった全世界共通のテーマに貫かれているものの、その中身はピッツバーグ・ニューヨーク・フィラデルフィアなどの場所が持つ固有性、人種や移民の問題、さまざまな依存症、戦争によるPTSD、貧困…といったアメリカならではの話題が盛り込まれています。本国での人気ぶりに対する他国での振るわなさは、これが原因なのかもしれません。

そしてこのドラマのタイトル『THIS IS US(ディス・イズ・アス)』、普通に”これが私たち”(=主人公たち家族)と思ってましたが、US=アメリカという意味もあるのかも?!と気づいた時には全身鳥肌モノでした。(自分ではヤバいことに気づいてしまった感があるのですが、実は常識なのでしょうか…)

このドラマ、脚本もさることながら音楽も最高で、このタイミングでこの曲持ってくるか〜!という絶妙なセレクトがされています。
シーズン1の1話目、最初に流れるのが今回お話するSufjan Stevensのこちらの曲。

Sufjan Stevens 「Death With Dignity」2015

彼のことは前々から好きだったので、この曲が流れた時点で完全にこのドラマを信用してしまいました。笑
スフィアン・スティーヴンスさんは1975年生まれのアメリカのアーティスト。1995年から音楽活動を始め、2005年のアルバム『Illinois』で一気に注目を浴びます。音楽的にはフォークやエレクトロニカ、交響曲などさまざまなスタイルを持つ人で、2017年には映画『君の名前で僕を呼んで』のサウンドトラックでアカデミー賞とグラミー賞にノミネートされました。

自身がミシガン州出身のアメリカ人であり、これまでアメリカ50州それぞれのアルバムを作るという計画を発表したり、2020年にはその名も”America”という曲を発表するなど、スフィアンとアメリカは切っても切れない関係にあります。

先ほどの”Death With Dignity”(尊厳死)は、幼い頃に精神疾患を患って家族の前からいなくなってしまった母Carrieのことを歌った曲です。

I forgive you, mother, I can hear you
And I long to be near you
But every road leads to an end
Yes, every road leads to an end
あなたを許します、母さん
あなたの声が聞こえる
あなたのそばにいたい
でも、どんな道もいつか終わる
そう、どんな道もいつか終わる

ドラマ『THIS IS US』を観ていくうちに、冒頭でこの曲が流れた意味がわかった気がしました。
スフィアンも『THIS IS US』と同様に、自分の複雑な家族のことやリトアニア・ギリシャ系の血を引いた出自、自分の中にある宗教観など、ごく個人的なことを描きながら、その背景にある大きな「アメリカ」というものを浮かび上がらせようとしているのではないでしょうか。

ではでは、うまくまとまった感じがするので今回はこの辺で…。
社長の当番はまた来年になります。皆さま良いお年をお迎えくださいね!

※せめてもの季節感として、スフィアンのクリスマス・ソングをご紹介しておきます。「No travel plans, no shopping malls No candy canes, no Santa Claus…」2008年の曲なのに、ここ数年のクリスマスを歌っているみたいです!

Sufjan Stevens「Christmas In The Room」2008

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