マガジンのカバー画像

Luki's Novel

3
運営しているクリエイター

記事一覧

【お題小説 北 サボテン 観賞用のトイレ】

「これ…どうしよう…」

ルキは、奇妙なトイレ型の鉢から生えるサボテンを眺め、ふとため息をついた。

時を遡る事30分前。
上京してまだ一週間。男の一人暮らしのワンルームには、最低限の家具家電しかなく、シックな色合いを好むルキの部屋はモノトーンでまとめられていた。
しかし、毎日通勤電車の人波に飲まれ、まだ友人も居ない、上司に怒鳴られてただ帰ってくるだけの日々に、早くも疲れ果てたルキは、癒しを求め、

もっとみる

【依頼小説 夕凪の音が鳴る頃に】

わたし、風鳴《かざなり》 凪《なぎさ》は、生まれつき耳が聞こえない。

なぎさとは、風が止み、波が穏やかになること。

わたしが生まれた病院は、高台にあり、病室の窓から、海がよく見えたそうで、わたしが生まれた日、前日の嵐が嘘のように晴れ渡り、あれほど荒れていた波が穏やかになり、キラキラと夕日に輝いていたから、だそうだ。

そこから連想し、わたしの人生が穏やかであってほしいと、この名前になったと聞い

もっとみる

【依頼小説 神も知りえぬ人という物語】

#ルキ #小説 #人 #神 #天啓

【人の人生とは一冊の小説である。もうこの章で綴じてしまうのか?】

俺、ルキ(25)が人生という物語に嫌気がさして、25章の物語を綴じようと、ビルの屋上に立った時、聞こえた天啓がこれだ。

今回俺に聞こえた天啓のように、

【人の一生は、一冊の本である。どんな物語にするかは自分次第だ】

とどこかの偉い本も語っている。

しかし、俺はその説にどうにも納得がいか

もっとみる