2023/9/9・12 日本代表vs ドイツ・トルコ

2023年9月の日本代表のドイツ、トルコとの2連戦に関しての観戦メモ。

ドイツに4-1で勝利、トルコに4-2で勝利。どちらの試合も4得点を奪っての勝利だったが、内容を見ると結構大きな差があったのではないかと思う。

点を決める、ゴール前で守り切る、1対1で勝つ、など要所で個人能力の高さが見られ、ヨーロッパの国々との個人能力の差は縮まっていることが分かった。

また、戦い方を試合の中で変更させながら、その時に有効だと考えられる戦い方にシフトするということへ挑戦しているのは明らかだった。

以下、戦術的な視点を中心に記載していく。
(試合後1週間ほど経ってしまい、記憶が曖昧な部分あり)


vs ドイツ

4-4-2と5-4-1守備の変化

ドイツ戦は守備の方法が前半と後半で大きく変わった。

前半は4-4-2での守備。トップ下の鎌田がトップの位置まで上がって構える形。
ドイツは右SBにキミッヒが先発。恐らく三笘対策とビルドアップ時の偽SBのため。
ドイツは守備時は4-2-3-1。基本的には形を崩さずに守備していた印象。ただ三笘がボールを持った際にはキミッヒが縦をケアして、ジャンが中をケア。常に2枚で対応。攻撃時は3-2-5のような形。ズーレ、リュディガー、シュローダーベックの3枚に、キミッヒが右SB→ボランチの位置に移動し、ジャンとダブルボランチの形。全然には5枚が横並び、タイミングで中盤に落ちながらビルドアップに参加。後ろ3枚は前半の前半はそのままの位置(右SBを空けたまま)だったが、日本ペースになりビルドアップが上手くいかなくなり始めると、右にスライドし、しっかりしたポジションで3バックを形成。

対して日本は攻撃時は4-2-3-1。サイドバックはサイドに張るが、サイドハーフもサイドに張る。2センターバックのビルドアップに2ボランチがサポート。相手のトップ下1枚に2枚のサポートをつけることで、パスコースが確保された状態。ファジーな位置での鎌田や上田が絡みながら起点はサイドハーフ。三笘は2枚で対応されるため、左からの崩しは少なかったが、右はシュローダーベック1枚で対応して、カバーも無かったため、菅原と伊東での崩しが効果的に出た。
守備時は4-4-2。鎌田がリュディガーを見ながら、アンカーのジャンのパスコースを切るように意識的にポジショニングしていた印象。4-4-2守備での欠点となりやすいアンカーへのパスをできるだけ少なくしていた鎌田は守備でも大いに貢献。またディフェンスラインが下がらなかったため、ダブルボランチもチャレンジしやすい体制に。前からプレスをかけられることが多かったため、ドイツの前線へ効果的な縦パスが入ることが少なかった。

日本の1点目。
(確か)遠藤から三笘へサイドチェンジのボールが入る。三笘のドリブルに対して、戦術通りキミッヒとジャンで対応。アンカーのジャンが左に寄っているので、ドイツの全体がサイドに寄っていることになる。三笘のドリブルからの攻撃は止められるが、こぼれ球を富安がダイレクトで右サイドへサイドチェンジ。守備が手薄になっているところをクロス。中で伊東が合わせゴール。(だった気がする)
直接的なゴール関与では無いものの三笘による守備バランスの偏りを突いた1点。

ドイツの得点。
前線5枚の中のギュンドアン(左から2枚目)にボールが入る。板倉が対応。ギュンドアンから横パス2回でヴィルツに渡る。日本は伊藤がヴィルツに対応。大外のサネがフリーになり、三笘は追いつけず失点。ドイツの前線5枚に対して4枚で守った日本がセオリー通りの数的不利から失点。

後半日本は5-4-1に変更。4バックは試し切ったとか色々な憶測があったが、個人的にはドイツの得点シーンを見て変更したのでは無いかと思う。
ドイツの前線5枚に数的同数となるように5枚で対応する、というもの。また突破力のあるサネ、ニャブリに抜かれたとしても4枚残ってるという安心感。こういう意図で変更したのだと思う。ただ後半の方がボールを持たれていた。ドイツのCFが本職ではなく、ポストプレーもそんなにしないハヴァーツだったため、ドイツの攻撃も組み立てる軸が無くうまく行っていなかったものの、押し込まれるという時間帯はできるだけ無い方が良い。押し込まれた原因としては、前線の守備配置が変わったから。3バックに対してCF1枚で見ていたため、自由にボールを供給されていた。自由に配給できる状態にあるため、日本のダブルボランチも積極的にキミッヒとジャンに行けなくなる。これが狙いだったのかはわからないが、3バックの両端がフリーでもっとドリブルで侵入したり、ロングボールを使ってきたら、失点の可能性は高くなる。

ドイツが攻めあぐね、最終的にカウンターで仕留めたから結果としては申し分無いものではあったが、後半の戦い方は少し疑問が残った。

vs トルコ

可変システムに対する守備

日本は攻撃時4-2-3-1で守備時4-4-2で、ドイツ戦と同じ入り方をした。

一方トルコは、攻撃時に両サイドバックが高くとり、最終ラインは2CBに6番の中盤の選手が降りてきて3バックを形成。(たまに5番が降りてきていた)アンカーに1枚置いて、状況を見てもう1枚降りてくる。全然はドイツほど綺麗な横並びでは無いが5人がウロウロしている印象。最終ラインの選手がボールを持っている時には積極的に裏でボールを受けようとする。守備時は4-1-4-1。基本的にはマンツーマンで守備。特に中盤はかなりベッタリマークしていた。

前半の前半、日本の守備はなかなか上手くハマらない。というのもトルコの後ろ3枚に対して日本が2枚でプレスするため、フリーで持たれる。またトルコのサイドバックに日本のサイドハーフがついていってしまうため、日本の前線は2枚が孤立しながらプレスに行き、フリーの選手に回される。そこからロングボールで背後を狙い、ピンチになり押し込まれる時間が続いた。
この状況に対して、どこからの指示でかはわからないが、日本の守備の配置が大きく変更される。(確か前半20分頃から)
2トップのうちの1枚だった久保がトルコのアンカーにつく。トルコの3枚の真ん中に古橋がプレス。トルコ3枚の両端にパスが回るが、そこにサイドハーフだった堂安と中村がプレスをかける。こうすることで相手は良い状態でボールを供給することができなくなり、次第に日本ペースになった。この守備配置の変更は非常に効果的で、守備時の形勢だけでは無く、試合全体のペースをひっくり返すことができた。

後半、堂安と中村に変えて、伊東と前田がサイドに入る。なぜか前半の前半と同じ守備の方法に戻ってしまい、日本のサイドハーフが後ろに吸収され、前線2枚が孤立する形に。全体が後ろ重心な配置となるため、ボールを奪っても効果的に攻撃に繋がらない。ということを考えると、前半の守備配置の変更は堂安とかによるものだったのか、、。

マンツーマンディフェンスに対する攻撃

この試合では前半の前半は攻撃も上手くいかなかった。トルコが中盤3枚に対して厳しいマンマークで対応したため。日本はロングボールを多用するチームでは無く、前線につなげるには少なからず中盤の関わりが必要になってくるが、そこに良い形でボールが入らない。
マンマークに対しては、ポジションチェンジなどでスペースを空けて、そこを起点にボールをつなぐことが有効だと思う。1点目はそれが現れたと思う。伊藤がボランチの位置から右サイドまでフリーランニングで流れる。最前線までフリーランしたため、マンマーク相手も流石に伊藤のマークを捨てる。右サイドの堂安は伊藤が流れてきたので被らないように中央にスライドする。堂安の動きに相手左SBも中央へ。すると右サイドで伊藤がフリーになり、そこへパスが入る。フリーで受けた伊藤にトルコがボールウォッチャーになり、ワンツーからミドルで先制。
個人の技術が素晴らしいことは前提として、それを発揮するための環境を上手く作ることができた。

そのほか細かいプレーなどはあまり覚えていないため割愛。

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