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ブランドの悪魔

自分の生きる価値を求めて、目を血走らせ、際限なきブランド世界をさまよっていた。

人を突き動かすもの。
それは多くの場合、希少価値であった。

・ただ一人のための運命的な恋情。
・優秀になるための限られた情報。
・完璧な肉体美を保つための努力。

ブランドにして人は生きてきた。
価値は希少価値でなければならなかった。
存在は存在意義でなければならなかった。

しかし果たして、何のために?

地球は宇宙のブランドだ。
人間は生命のブランドだ。
では私は、人間のブランドだろうか。
これに弾かれると、思わず自分が宇宙のブランドからも弾かれたように感じてしまう。

だが、
私はわたしのブランドである。
私の観測する世界に、私以上の希少価値は、宇宙の遠まで存在しない。

ブランドは必ず形骸化する。すべてのものに諸行無常の鎌が襲いかかる。
ならば、
つねに内部的な充足感を自身に与え続けることが、我が値打ちの腐蝕を抑える唯一無二の手段ではないか。

人生は加速する。
わたしの命を天上の重みと知るべきなのだ。
そして、愛する命を信じ合うことなのだ。
そう考えたんだ。

負けたとき、負けた顔ができる人にならなくては駄目だ。

それは、ブランドに負けたときではない。
愛に負けたときでもない。

命に負けたときである。

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