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"角松敏生 / SEA IS A LADY 2017" 俺のギターを聴け。こだわりのサマー・フュージョン再来。

1987年にリリースされた角松敏生の全曲インストゥルメンタル・アルバム『SEA IS A LADY』。当時、商業的には既にマニア化していたインスト物ファンのみならず、角松サウンドを支持していた普通のJ-POPファンにも受け入れられ、一定のセールスをあげることができました・・・何て書き方をすると業界人っぽいですけど、私は違いますw。

SEA IS A LADY (1987)

商業的な成功が無ければ、どんなに優れたミュージシャンでもアルバムは作れません。角松は幸い一定のセールスが見込まれると業界では認知されました。本当に幸せなことだと思います。

彼は大学生時代、フュージョン物をレパートリーとするバンドも組んでいました。そこではニール・ラーセンの「サドゥン・サンバ」やトム・スコットの「ロック・アイランド・ロケット」等をカバーして演奏してしました。当時はいわゆるフュージョン物も、私たちバンド仲間の間でも嬉々として聞いていましたね。


そんな彼が「思い出づくり」で制作したオリジナルの『SEA IS…』ですが、当時の彼自身のミュージシャンとしての技量について、振り返ると自身納得のいかない部分が多かったようです。業界に30年もいれば、当然、当初の作品に納得できるはずもありません。

そんな彼の『Sea Breeze 2016』に続く、旧作リベンジシリーズ第二弾がこの『SEA IS A LADY 2017』です。

SEA IS A LADY 2017

収録曲
1 WAY TO THE SHORE
2 SEA LINE
3 NIGHT SIGHT OF PORT ISLAND
4 SUNSET OF MICRO BEACH
5 Ryoko!!
6 Summer Babe
7 52ND STREET
8 MIDSUMMER DRIVIN'
9 LOVIN' YOU
10 Evening Skyline
11 OSHI-TAO-SHITAI
※Disc-2として3曲入りのBlu-rayがあります。

全曲新録で基本のアレンジはそのままに、本人曰く「僅かな足し算、引き算」と言いますが、先の『SEA BREEZE 2016』でも述べましたが、その僅かの違いがリスナーの作品についての印象としては大きいので、あくまでセルフカバー・アルバムだなという感想です。

角松本人の歌唱力・表現力はともかくも、前作で参加されていた佐藤博さんや青木智仁さん亡くなられたので仕方ないのですが、ミュージシャンが違うのでは当然別物扱いになりますね。

本人のリベンジはともかくも、新たなミュージシャンでセルフ・カバーして、「あの頃のように夏のイメージを思いっきり広げてくだい」ということで聞くと、それなりに楽しめるアルバムに仕上がっています。聞きどころも多く、彼の音楽性のクオリティの高さは存分に発揮されている良いアルバムです。リベンジは果たせたと思います。

角松ファンの中には、もちろん純粋な方もいらっしゃいますし、彼自身の性格にも似て、多少斜めに様子を伺っているファンも大勢います(笑)。ただ同時代を生きてきた往年のファンだけでなく、当時のサウンドをリスベクとする若い層のファンもいます。中には親の代からのDNAを引き継ぐ遺伝的なファンもいることでしょう。

オリジナル盤の良さを認めているファンには異論もあるかもしれませんが、新たなアプローチで聴く『She is a・・・』もまた一興かと。


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