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【名盤伝説】 ”Wilson Brothers / Another Night” AORの定盤。兄弟デュオの絶品ハーモニーが魅力の名作。

お気に入りのミュージシャンとその作品を紹介しています。AORの定盤『Another Night』(1979)です。

AORブーム真っ只中、当時の最大の情報源は輸入レコード店の推薦盤のコーナーでした。情報通のお兄さんのお薦めなら一度は聞いてみたいなと思いつつも、その全てを購入する余裕などありません。裏ジャケのクレジットをガン見して、その音に思いを馳せます。勇気を出して(笑)購入し、家でターンテーブルに載せる時のドキドキ感は半端ありません。そして出てきた音に納得がいった時の喜び・・・このアルバムも、思わずガッツポーズした中の一枚です。

スティーブケリーウィルソン兄弟デュオの唯一のアルバムです。プロデュースしたカイル・レーニングは主にカントリー畑で仕事をしているようで、イングランド・ダン&ジョン・フォード・コリーなどの制作も手掛けています。そんな彼の人脈で集められたミュージシャンは、ナッシュビルを主戦場として活動している人が多く、LAからはTOTOスティーブ・ルカサーとサックスのアーニー・ワッツくらいでしょうか。この二人も実に良い仕事をしています。

収録曲では、まず思わずガッツボースしたMI「Feeling Like We're Strangers Again」。ブリッジのコーラス・ワークとサビのダブル・ボイスのハーモニーは完璧です。ルークのギター・ソロも、抑え目な曲調との対比で、良い意味で激しくて良い感じです。

続くタイトル曲M2『Another Night』もコーラスバンドらしく二人のハーモニーは完璧。曲途中のオブリガードのギター部分も、さすがジェイ・グレイドンの弟子(と勝手に思っています)だけあって、音の隙間を逃しません。この曲だけソロはジョン・ゴーイング(この人もナッシュビルで活躍する人気ギタリスト)が担っています。

M7「Can We Still Be Friends」は鬼才トッド・ラングレンのカバー。ミディアムテンポのバラードで、オリジナルに負けないナイス・アレンジです。 

そしてこのアルバムで最も人気のあるM9「Take Me To Your Heaven」。AOR名曲ベスト10に入れてもよいのではというほどの、ポップで美しいパワー・バラードです。ルークのダブルトーンによるイントロだけでうっとりしてしまいます。兄弟二人のハーモニーの魅力全開。ストリングス・アレンジも素敵です。余計なソロもなくコンパクトにまとめているあたりも好感がもてます。

そしてアルバムラストはアーニーの泣きのサックスが印象的なくスロー・バラードM10「Like Yesterday」。静かにアルバムも終了です。
いゃあ、買ってよかったと大満足でした。

YouTubeのウィルソン・ブラザースCHには、『Another Night』リリース前(1978年、国内盤未発売)に出されたシングル「Why'd You Have to Be So Beautiful」が、シレっと配信されていました。美しいラブ・バラードです。
これも何かのご縁ですから、チャンネル登録してはいかがでしょうか。

こんな発見があるのも、noteの記事を作成したおかげですね。

2000年にスティーブ兄が亡くなられ、本当に唯一の作品となってしまいました。しかし少なくともこの日本には、愛聴盤としてこのアルバムを大切にしているファンは少なからずいます。
いつまでもこのアルバムを聴くたびに、夢の世界に連れて行ってください。

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