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#08【設計事務所】独立時の社会保険のこと

自分の頭の中を整理する意味で、社会保険のことを記事にしようと思う。実はあまりこういうことを記憶しておくことは得意ではない方だ。税金も社会保険も確定申告のことも、いろいろ勉強して理解したつもりでも一晩寝てしまえばすぐに忘れてしまう。ほんと複雑で困る。まぁそれはさておき、税金や社会保険を支払うということはそれだけ可処分所得に影響があるということで、何にどれだけ支払っているのかということはある程度は把握しておくべきだと思っている。

利益拡大するには売上を伸ばすか、支出を減らすか、その2つしか方法がない。売上を伸ばすことに意識が向きがちだが、日々の支出を減らすことも可処分所得を増やすための大きな要因になる。つまり支出を見直すことは売上を上げることと同じくらい大事ということだ。

というわけで、健康保険と年金について、特に独立前後で押さえておくべきポイントについて紹介する。

健康保険

まず、会社を退職して個人事業主になった場合、会社員時代に入っていた健康保険を任意継続する場合と、国民健康保険に加入するという2つのパターンがある。市役所(区役所)に行って窓口で任意継続と国保のどちらが安いか確認して安い方に加入すれば良いだろう。

会社の時の健康保険は、会社が半分負担してくれていたので、任意継続する場合は今まで払っていた倍の金額を支払うことになる。それでも国保が高いだけに任意継続した方が安くなるケースもあるのでまずは一旦検討してみよう。ちなみに、私の場合は国保よりも任意継続した方が安かった。

国保の保険料は前年の所得に応じて変動するので、一般的に独立後に支払う保険料は軌道に乗る前の経済状況ではそれなりの負担になる。そこで、保険料の負担を軽減するための方法として「国保組合」に加入する方法があることを覚えておこう。

国保組合とは、基本的には国保と同じような機能を持った組合であり、そこに加入することで負担を軽減することが可能だ。ちなみに、組合ごとに加入できる条件が異なっており、どのような業種でどのような仕事をしているかによって加入できる組合が決まってくる。

私のような個人でやっている設計事務所であれば、全建総連(全国建設労働組合総連合)に加入するのが一つの方法だ。HPを確認すると工務店や中小の建設会社などが該当するのかな?と思ったのだが、受け皿は意外と広かった。私と同じような建築士事務所で個人事業を営んでいる人に教えてもらったのがこの全建総連だった(設計事務所は文美国保には入れないから諦めた方がいいとも言われた)。

国保は所得に比例するため、順調にいけば国保の金額もいずれバカにならない金額になる。「え!マジ?!毎月こんなに払ってられないんだけど!高過ぎ!」という段階に入り、そこで慌てて調べて国保から組合に切り替えた。

全建総連
https://www.zenkensoren.org

私の場合、家族が二人で月々の支払いは32,200円。内訳としては、事業主の医療保険料、介護保険料を含んだ金額が25,500円。家族の分が6,700円だ。金額は定額で、家族構成によって加算されるだけ。明瞭会計でありがたい。これは所得により変動する国保よりもはるかに安い金額だった。

2023/01/17 追記
この記事を書いてすぐに保険料引き上げの通知がきた。今までは保険料を維持するために積立金を切り崩す形で保険料引き上げはギリギリのところで踏みとどまっていたようだが、医療費の増加により国から交付される特別調整補助金が減り続け、いよいよ引き上げせざるを得なくなったようだ。

ただし中身を見てみると、保険料が法人、個人で変わり、さらに年齢は5歳ごとに細分化されている(今までは35歳以上、35歳未満などざっくりした区分だった)。若年層や個人事業主であればむしろ今までよりも少し安くなっている。私自身も少しだけではあるが安くなっているようだ。

国として医療費が増加しているのだから、遅かれ早かれ他の保険料も引き上げされることが予想される。こうやって毎月の保険料について考えることも大事だが、そもそも自分の健康管理に気をつけて日々高いパフォーマンスを維持し続けることが最優先であることは言うまでもない。

国民年金

国民年金は20〜60歳の人が支払い、65歳から受給できる制度。国民健康保険とは違い保険料は一律(金額は毎年変わります)。納付した期間(支払った金額)が多ければ受給額が多くなる。また、65歳から受給できる「終身年金」の他、病気や怪我で障害が残った場合に支払われる「障害基礎年金」、加入者が死亡した場合に支払われる「遺族基礎年金」など、老後以外にもメリットがある。

しかし、独立当初の経済的に厳しい状況、または今後厳しくなってきそうな状況の時にはぜひ「免除」という方法があることを知っておくといいだろう。会社を退職したときには「年金免除特例」というのを申請することで支払いを免除することができる。

お金がの心配があるかないかでは自分が思っている以上に心理的ストレスがあるものだ。経済状況ギリギリでやるぐらいなら「免除」という方法を取って経済的なゆとりを優先しよう。未納にするわけではないのだし、後から追納もできる。

基本的に「国民年金は支払った方がいい」という前提で話が進んでしまいがちだが、どういう場合に「免除」ができるかを知っておくことに意味がある。保険年金課の窓口の人は教えてくれない。なぜなら払った方がいいと思っているし、払うのが当然だと思っている。その方がその人のためになるのだから。「お金がなくて支払いが厳しいんです」って言われたわけではないのであれば、わざわざ免除する方法なんて教えてくれない。しかし、窓口の担当者が決して不親切なのではない。そういうものなのだ。社会を生き抜くためにはそういう情報を自分自身で掴み取る必要がある。誰だってネットで調べれば出てくる平等に開かれた情報だし、「年金免除特例のことを教えてほしい」と言えばいいだけなのだ。ただ、それは免除する方法があるということを知っていることが前提となる。ほんと、情報って大事だなとつくづく思う。

払わなきゃいけないものを払えてない(もしくは今後払えるかどうか心配)と思いながら仕事をすることは精神衛生上よろしくない。もし、「今後ちょっと心配だな」と思えば免除の申請をすればいいだけなのだ。やばかった時の次の手があるかどうか。お金のことに限らず、大事なことだ。

まとめ

知ってるか知らないかでは支払う金額が倍以上にもなる可能性がある。売上が上がっているつもりでも不思議と利益が残らない場合はこういう固定費に疑問を持つことが必要だ。「これってもっと安くならないの?」って。

ここに書いた保険や年金のことについては、独立する前に自分自身が知っておきたかった情報だ。別に仕事が順調でお金に困っていない人であれば詳しく知る必要はないし、お国や地域、社会のために税金を払えばいいと思う。しかし、きっと多くの人が税金や社会保険を大きな負担に思っているだろうし、特に独立からの数年間はいくら稼いだら生活できるのかが手探りな中でやっているのだから、支出はできるだけ減らしたいと思うのが自然だろう。

社会保険や税金の仕組みを知ることで、うまくやりくりができるのであれば大いに勉強する意味があると思う。自分自身が得意な分野ではないからこそ、ここ数年を振り返り、頭の中を整理する意味でこの記事を書いてみた。これから脱サラ、独立する人には是非ともお伝えしておきたい情報だ。

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