異世界転生夢見るおじさん

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異世界に飛ばされたら弱いまま不老不死にさせられて人生詰んだ件 Short Episode.03 二人の距離

 ソムニア歴1000年 再生の月(冬) オデットさんがウィンミルトンに来てから数日経ったある日の出来事―― エリックとトールの二人に呼び出された俺は、アデラさんの経営する酒場へとやって来ていた。 中へ入ると早朝の営業時間外だからか客はおらず、端の席に座っている二人を発見して歩み寄る。 「おはよう、ロスト」 「おはよう、エリック」 先にエリックと挨拶を交わし…… 「おはよう、ちゃんとロナにはバレずに来たか?」 トールへと続いた。 事前に説明し

    • 異世界に飛ばされたら弱いまま不老不死にさせられて人生詰んだ件 Episode.33 実力の差

       ソムニア歴1000年 再生の月(冬) 騎士団長さんに凄腕の剣士を紹介され、俺達は目的の人物がいると伝えられた酒場にやって来ていた。 「果たして話を聞いてもらえるだろうか」 先頭を立つクリフさんが酒場を前にして、急に弱気な発言をしはじめる。 「とりあえず、話すだけ話してみましょう」 俺達はそんなクリフさんを励まし、店の中へと進む。 すると、店に入った途端―― 「ぐあぁ」 柄の悪い男が殴り合いでもしたのか、吹き飛んで目の前の床に転がる。 「全

      • 異世界に飛ばされたら弱いまま不老不死にさせられて人生詰んだ件 Episode.32 救援要請

         ソムニア歴1000年 再生の月(冬) 猪の瘴魔に敗れた俺達はクリフさんの馬車に急いで乗せてもらい、ウィンミルトンへ帰還する事が出来た。 「二人共、大丈夫かね!?」 馬車からエリック達を支えて降りると、慌てたクリフさんが二人に向かって声をかけてきた。 「だ、大丈夫、です」 「は、はは、これくらい平気、平気」 負傷はしているものの、意識のある二人はクリフさんに心配をかけまいと精一杯の笑顔で受け答えをする。 「トール、あんた大丈夫なの!?」 「げ、

        • 異世界に飛ばされたら弱いまま不老不死にさせられて人生詰んだ件 Episode.31 敗北

           ソムニア歴1000年 再生の月(冬) 町に帰還した俺達はエリックとトールを呼び、クリフさんの家に集まる事になった。 「二人共、急に呼び出してすまない」 「いえ、構いませんよ」 来てもらった二人に挨拶をし、この事態をどうするか話し合いを始める。 「それで一体どうしたんだ?」 「実は……」 呼び出された理由を尋ねるトールにロナが事情を説明した。 …… ………… ……………… …………………… 「盗賊の次は瘴魔かよ」 事情を説明された

        異世界に飛ばされたら弱いまま不老不死にさせられて人生詰んだ件 Short Episode.03 二人の距離

          【小説】異世界に飛ばされたら弱いまま不老不死にさせられて人生詰んだ件 Episode.30 兆し

           ソムニア歴1000年 再生の月(冬) 俺がウィンミルトンに来てから初めての冬の到来、この世界の言葉だと再生の月と言うそうだ。 再生の月になると森に住む動物も冬眠し、獲物が獲れないので猟師の仕事はお休みになる。 加えて最近では森の中を白い霧が立ち込める様になり、ただでさえ収穫が見込めない時期に泣きっ面に蜂といった状況だ。 「えいっ! やっ!」 仕事にならないのでロナから好きに過ごして良いと言われ、俺はエリックに貰った剣で素振りの練習をしていた。 「おは

          【小説】異世界に飛ばされたら弱いまま不老不死にさせられて人生詰んだ件 Episode.30 兆し

          【小説】異世界に飛ばされたら弱いまま不老不死にさせられて人生詰んだ件 Short Episode.02 第一回最強武器決定戦

           ソムニア歴1000年 不変の月(秋) 俺がウィンミルトンに来てから約二週間、ここでの生活にも慣れてきた。 仕事はロナの手伝いが主で偶にエリックやトールの仕事を手伝う感じである。 本日は昨日の狩りの成果が良かったので、休みという事になった。 休みなので何をしようか迷っていると仕事を抜けてきたエリックとトールが話があるという事で酒場で話し合う事にした。 「で、話って何?」 店の席に着くと同時にロナが二人へそう切り出した。 「ふっふっふ、よくぞ聞いてく

          【小説】異世界に飛ばされたら弱いまま不老不死にさせられて人生詰んだ件 Short Episode.02 第一回最強武器決定戦

          【小説】異世界に飛ばされたら弱いまま不老不死にさせられて人生詰んだ件 Episode.29 エリックのお仕事

           ソムニア歴1000年 不変の月(秋) 俺がウィンミルトンに来てから一週間、ロナとの生活はまだ慣れないが夜ちゃんと眠れる様にはなった。 「ロスト、おはよう」 「おう、ロナもおはよう」 朝、お互いに挨拶をしてロナが作ってくれた朝食を食べる。 「そういえば、今日ってエリックに呼ばれてるんだっけ?」 「ああ」 昨晩、エリックが家にやって来て手伝って欲しい事があるから明日は予定を空けておいてくれと言っていたのだ。 「手伝って欲しい事って何だろうね?」 「分からん、エ

          【小説】異世界に飛ばされたら弱いまま不老不死にさせられて人生詰んだ件 Episode.29 エリックのお仕事

          【小説】異世界に飛ばされたら弱いまま不老不死にさせられて人生詰んだ件 Episode.28 トールのお仕事

           ソムニア歴1000年 不変の月(秋) ロナと狩りをし、二人で成功を祝って細やかな宴を開いて就寝した翌日の事である。 「ロナーっ! ロストーっ! いないかー?」 机に突っ伏して眠っている所にトールの騒がしい声が聞こえてくる。 「んー……」 横を見るとロナが幸せそうに眠っていたので起こさない様に注意し、家の戸を叩いているトールの元へ向かった。 俺が扉を開けるとトールが開口一番、こう叫んだ。 お願いだ、助けてくれと―― Episode.28 トールの

          【小説】異世界に飛ばされたら弱いまま不老不死にさせられて人生詰んだ件 Episode.28 トールのお仕事

          【小説】異世界に飛ばされたら弱いまま不老不死にさせられて人生詰んだ件 Episode.27 ロナのお仕事

           「何とか眠れたけど、眠れた気がしない」 早朝、目覚めた俺が最初に発した言葉がそれだった。 「顔洗ってこよう」 俺は眠れた気がしないものの、寝直す気にもなれず外にある井戸で顔洗う事にした。 「あれ、ロスト?」 家から出て井戸に向かうとそこには既に先客がいた。 「ロナか、おはよう」 「おはよう、ロスト」 互いに朝の挨拶をし、順番に井戸の水で顔を洗う。 「それにしても早いな」 「前にも言ったけど、猟師ならこれくらい普通だよ」 顔をタオルで

          【小説】異世界に飛ばされたら弱いまま不老不死にさせられて人生詰んだ件 Episode.27 ロナのお仕事

          【小説】異世界に飛ばされたら弱いまま不老不死にさせられて人生詰んだ件 Episode.26 一つ屋根の下

           「と、とんでもねぇ化け物だな」 俺が三人に森の中で現れた黒騎士の話をすると、トールが身震いしながらそう呟いた。 「二人はここに来る時、大丈夫だったのかい?」 トールが怯えている横で話を聞いていたエリックが、俺達を心配する様に尋ねてくる。 「ああ、何時現れるかヒヤヒヤしたけどな」 二人の前で格好つけても仕方ないので素直にびびっていた事を伝えた。 「ははは、そんな化け物なら仕方ないさ」 エリックも前回の盗賊団退治で俺という人間を理解してくれているので笑って励まして

          【小説】異世界に飛ばされたら弱いまま不老不死にさせられて人生詰んだ件 Episode.26 一つ屋根の下

          【小説】異世界に飛ばされたら弱いまま不老不死にさせられて人生詰んだ件 Episode.25 新たな一歩

           あれから何日が経ったのだろう、俺は胸の痛みのせいで食事を摂って寝るを繰り返していた。 フィオがいなくなってから最初に目覚めた時、食卓には彼女が用意してくれていた食事が置かれていた。 「…………」 俺は一人、誰もいない食卓を眺める。 屋敷内は以前の光景が嘘の様に静まり返っていた。 その静けさを振り払う様に俺は目の前の食事を食べ始める。 「何でかな、あんなにまずいまずい言ってたのに……」 それはフィオが毎日作っていた野草のスープだった。 「……うまい」 苦味が

          【小説】異世界に飛ばされたら弱いまま不老不死にさせられて人生詰んだ件 Episode.25 新たな一歩

          【小説】異世界に飛ばされたら弱いまま不老不死にさせられて人生詰んだ件 Episode.24 別れ

           屋敷に帰るまでの道中、俺はルドルフさんに昨日までの出来事を一から説明した。 「それでベッドごと町まで運ばされそうになって困りましたよ」 「ほっほっ、それは災難じゃったのう」 初めから順を追って説明すると長くなるのだが、ルドルフさんは嫌な顔など一切せずに話を聞いてくれた。 「あのデカいのと戦う事になったのは予想外だったけど、あんたももう少し鍛えた方がいいかもね」 「分かってるよ、鍛えても無駄な気がするけど」 同じ様に話を聞いていたフィオが彼女なりのアドバイスをして

          【小説】異世界に飛ばされたら弱いまま不老不死にさせられて人生詰んだ件 Episode.24 別れ

          【小説】異世界に飛ばされたら弱いまま不老不死にさせられて人生詰んだ件 Episode.23 不安と自信

           目覚めると町長さんの家のベッドで横たわっていた。 「あ、目覚めた?」 声のする方へ視線を向けるとロナが椅子に座り、此方を見つめている。 「あ、ああ」 昨日の一件があるので俺はロナを直視する事が出来ず、視線を逸して曖昧な返事を返す。 「あの後、私達を襲った奴は捕らえて作物を保管する保管庫に閉じ込めたから安心して」 ロナは俺が今知りたいと思っている情報を気を利かせて教えてくれる。 何でも捕らえた盗賊団の連中は後日、王都に連行するそうだ。 「……ああ」 だが、そ

          【小説】異世界に飛ばされたら弱いまま不老不死にさせられて人生詰んだ件 Episode.23 不安と自信

          【小説】異世界に飛ばされたら弱いまま不老不死にさせられて人生詰んだ件 Episode.22 矛盾した考え

           振るった斧の一撃は簡単に回避され、その隙に大男が俺に目掛けて斬り掛かってくる。 「させないっ!」 俺一人では殺されていたが、後ろからロナが弓で援護してくれたおかげで大男は攻撃するのを止め、回避行動をとった。 「ちっ、やりづれぇな」 大男はロナの存在が邪魔の様で悪態をつき、此方の様子を伺っている。 「はぁ……はぁ……」 一方、最初の一撃で殺されかけた俺は平常心を保つのが難しく立っているのがやっとという状態だ。 叶うなら今すぐ逃げだしたい、以前の犬モドキと訳が違っ

          【小説】異世界に飛ばされたら弱いまま不老不死にさせられて人生詰んだ件 Episode.22 矛盾した考え

          【小説】異世界に飛ばされたら弱いまま不老不死にさせられて人生詰んだ件 Episode.21 予期せぬ事態

           「お待たせ、予定通り酒を盗賊の連中に渡してきたぞ」 俺とロナは作戦通り三人と合流し、盗賊団のいる洞穴から少し離れた茂みに身を隠す。 「よくやったわ、後は奴らが酒を飲んで気持ちよく眠っている間に大岩で洞穴を塞げば成功よ」 俺が提案したネタみたいな作戦は皆の賛同により、採用される事になった。 洞穴を塞ぐ大岩は、俺とロナが盗賊の連中に酒を渡している間に三人が見つけて運び出してあるので抜かりはない。 後は奴らが酒盛りをし、寝静まるのを待つだけだ。 隠れている間、各人それ

          【小説】異世界に飛ばされたら弱いまま不老不死にさせられて人生詰んだ件 Episode.21 予期せぬ事態

          【小説】異世界に飛ばされたら弱いまま不老不死にさせられて人生詰んだ件 Episode.20 作戦開始

           あの後、俺とフィオはクリフさんに寝床を提供してもらって一晩を過ごす事が出来た。 そして、翌日の朝―― 「今日は三人と合流次第、盗賊共の住処を暴きに行くわよ?」 クリフさんに礼を言い、家を後にするとフィオが早速今日の作戦について話してくる。 「ああ」 俺も彼女の意見には賛成なので従う。 その後、三人との待ち合わせ場所である町の入口で待機し、彼らが来るのを二人で待った。 「二人共、おはよう」 最初に来たのはロナだった、何でも猟師は朝早く狩りに出かける事もあるの

          【小説】異世界に飛ばされたら弱いまま不老不死にさせられて人生詰んだ件 Episode.20 作戦開始