見出し画像

しっかりと事前準備をしよう!②

 前回は、相手の国のことをいろいろ知っていこうという話をしました。今回は組織的な準備の話をしたいと思います。

業務担当の設置

 業務担当というのは、日ごろの業務で困っていることがないかなど外国人介護職の業務管理をします。
 私の施設ですと教育担当がこれを担います。教育担当は一緒について指導する体制をとっているので、外国人介護職との接する時間が長くなります。相性が悪ければ交代させますが、長く接しているということはそれだけ信頼関係の構築がしやすいと思います。
 業務担当は監視をするわけではなく、外国人介護職の相談役のようなものだと思っています。

事務担当の配置

 在留資格の更新や生活上での必要手続きなどで必要な書類作成の手伝いをします。特定技能などの在留資格によっては登録支援機関がやってくれる場合もあるので、すべてを施設側がやる必要はないですが、必要書類は用意することには変わりないので必ず配置をしておきましょう。

 こんな感じです。そんなに特別なことはないですが、外国人ということで書類関係は多いです。また、業務担当も言葉の壁があるので、本当に信頼関係がないとかなり難しいです。
 次に教育関係の準備について書いていきます。

教育関連の事前準備

 教育の準備は意外と大変だと思います。入国までの間にしっかりと行っておいた方が良いかと思います。ただし、これはあくまで私の経験です。

教育資料の見直し

 皆さんの施設ではどうか分かりませんが、私の施設では新人職員に対して事前研修というものをやっております。これは、法人理念や就業規則、個人情報管理、感染症対策、介護保険などの話をPowerPointでなどを使い説明しています。
 まず、PowerPointの資料にルビをつけます。これが結構面倒くさい作業です。Wordなどと違い、ルビをつけることができません。文字を小さくして一行足してつけています。何かいろいろとやり方があるようですが、もっとも簡単な方法でやっています。
 それと、資料の内容ですが就業規則や個人情報管理なんて日本人が聞いても難しい言葉のオンパレードです。平易な言葉に修正するとともに、イラストや写真を多めに入れるとイメージしやすくなります。
 言葉で説明する際にもできるだけ砕けた言葉を使うようにして必要最低限の情報が伝わるように心がけています。

マニュアルの翻訳

 これは悩みました。日本語を覚えてもらわないといけないので何でもかんでも翻訳するのは良くないと思います。日本語に翻訳しなくても英語で翻訳するところもあるようですが、日本語を覚えらない(覚えるのに時間がかかる)のは変わりません。
 私の施設の介護マニュアルには排泄や食事介助など各介助のマニュアルごとに基本的な考え方を載せています。ようは施設の介護観のようなものです。手順も大事ですが、手順はOJTでだいぶ理解することができます。基本的な考え方はしっかりと理解して欲しいと思ったので、この部分だけ翻訳をしています。
 「翻訳なんて大変!」と思うかもしれませんが、翻訳機なるものがあるそうです。また、翻訳機の購入代金や翻訳にかかる費用に助成金があります。上限が30万円だったと思います。
 私の施設では来日する外国人とおなじ国の人にお願いしています。それには理由がありまして、英語とかならまだいいですけど、ベトナム語、ミャンマー語などに翻訳機で翻訳してもらっても正しい内容か確認が出来ないからです。日本語が話せる母国人であれば細かいニュアンスも伝えることができるので翻訳ミスがなくなります。
 その方曰く、公共のパンフレット、リーフレット等でも普通に間違った翻訳がされていて、全く違う意味になっているものがたくさんあるそうです。

指導の仕方の工夫

 教える際にも言葉の壁があります。難しい言葉はなるべく避け、平易な言葉を使うことをベースにします。しかし、日本語に慣れるという意味ではずっとそれでは困ります。専門用語や略語なども使い、その都度丁寧に言葉を教えるようにします。
 これ以外に大変です。「○○さんを横にしてください」と指示を出したときおそらく日本人はベッドに寝かせます。でも、横にする=ベッドに寝かせると理解できない外国人は、指示を出した職員に対して利用者を横向きにしたり、その場で寝かせる人もいるかもしれません。何気ない言葉が結構理解するのに難しいということがたくさんあります。こういった所を事前に職員たちに理解させることがスムーズに教育を進めるコツになります。

 細かなことは他にもありますが大きなところではこんな感じです。

 あと、最後に入職する外国人が特定技能なのか技能実習なのかなどどのタイプで、それらはどんな特徴があるのか、どういう対応をしないといけないのかなど全職員に通達なり研修をした方がいいと思います。全員が心の準備をして、全員で迎え入れるようにしてほしいと思います。

 次回は、実際に入職したあとの話をしていきたいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?