見出し画像

どうする団塊ジュニア世代(#15)<264年目の悲願>

introduction


敗戦後の第一次ベビーブームにより誕生した世代は「団塊世代」と呼ばれ、戦後日本の復興に大きな影響を与えました。

「団塊世代」は文化的、思想的な部分で共通しているという特徴を有しており、この特徴こそが戦後日本復興の大きな要因であると考えます。

私は戦後日本を早急に復興せさるため、何者かが恣意的に第一次ベビーブーマーを団塊化させたのではと推察します。

あくまで個人的な見解ですので、ホラ話と思って読んで下さい。

*前回はこちら

年賀の挨拶

「今年はいかがか」
「まだ早い」

これは「ある藩」の新年挨拶である。
それは「ある時」まで続けられていたという。

「ある藩」は関ヶ原の戦いの際、本領安堵を約束されたのにも関わらず、徳川家康に反故にされ、120万石あった領地を30万石に減らされた。
それに伴い家臣も萩という不便な土地に追いやられ、俸禄を5分の1に減らされるという苦境に追い込まれた。
それ以降、「ある藩」の正月儀式では、「倒幕を起こすか、否か」の確認が行われていたという説がある。

その「ある藩」というのは長州藩で、「ある時」とは明治維新である。

長州藩とは、そのような藩である。

その部分を押さえておかなければ、明治維新の本質を理解するのは難しい。

明治維新には「尊皇」「攘夷」「開国」と争点は色々とあるが、長州藩の場合は「倒幕」の一択である。
言い換えれば目的は「倒幕」であり、それ以外は討幕するための手段だったのだ。

明治維新とフランス革命

時は遡り1946年 大日本生命館にて
(完全にフィクションであり、実在の人物や団体などとは関係ありません)

新憲法草案作成の期限まで「あと7日」

新憲法の草案を10日で作成するという無理難題を押し付けられた加藤法制局部長は、通訳のシロータに明治維新について説明している。

「明治維新は革命なの?」
MSK25最年少のシロータは昨日、米森から習ったフランス革命と明治維新を重ねた。

古今東西の法律や歴史に精通している加藤の回答は淀みない。
「フランス革命は王政に対する貴族の反乱が、フランスの全社会層を巻き込み本格的な革命になり、最終的にはルイ16世が断頭台に送られた。」

「一方、明治維新は徳川将軍家を頂点とする幕藩体制を打倒し、天皇を中心とする中央集権国家へと変革させた・・・」

と言いかけたところで、突如、流暢な説明が止まった。

「部長さん。どうしたの?」
異変に気付いたシロータは不審がるが、加藤には聞こえない。

「いや、待てよ。確かに違う」
加藤が独りごちる。
「フランス革命も明治維新も封建制度崩壊の契機となった。」
「しかしどうだ」
「王政廃止」「共和制」「封建的特権の廃止」
加藤は念仏のようにフランス革命のキーワードを唱えている。
そして何かに取り憑かれたように明治維新のそれも唱え出す。
「王政復古」「君主制」「華族制度」

「確かに違う」
今度はシロータをしっかりと見定め大きな声で言い切った。

シロータは豹変した加藤に驚きを隠せない。
「なにが起きたんですか?」

「まさか、明治維新は革命では無く、その逆なのか?」
加藤はシロータに意味不明の質問をした。

シロータはなだめるように加藤に言葉を返す。
「逆なのかは分かりませんが、説明を聞く限りでは、明治維新は革命では無いと感じます。」

加藤も冷静さを取り戻して彼女を諭すように語りかける。
「明治維新には君が望んでいる人権宣言は無い」

チャンス到来

時は更に遡り1853年
捕鯨船の中継地として日本の港を利用したいという目的でアメリカから黒船が来航。
その知らせを聞いた幕府はもちろん、日本全国が大騒ぎ。

江戸幕府は開府から260年経過して後期高齢者のヨレヨレではあったものの、大義が無ければどの藩も打倒出来ないのが世の習わし。
そんなところに黒船が来航した。
かつての外様大名は、チャンス到来と言わんばかりに、異国はけしからんと国中を煽りに煽り「攘夷」運動が盛んになる。

そこに時の天子様である孝明帝が大の異国嫌いということで、「攘夷」は「尊皇」と繋がって、尊皇攘夷運動は一大ムーブメントとなり、「開国」を余儀なくされた政権担当の幕府もけしからんと倒幕運動へと発展。

鎖国は幕府の祖法であったバズなのに、外様大名から祖法を破るとはけしからんと嗾けられる支離滅裂の状態となる。

関ヶ原以来、打倒徳川に執念を燃やす長州藩。
その年の正月に
「今年はいかがか?」
「時は満ちた」
と確認し倒幕を誓ったとか、誓わないとか。

兎にも角にも長州藩は260年越しの悲願成就のチャンス到来となる。
まずは日本中を掻き回し何でもありのカオス状態にする。
それが長州藩の第一手となる。

新たなおふざけ

明治維新は講談調になってしまいました。
この自由度がnoteの良いところであると何卒ご容赦ください。
次回は明治維新の続編をお届けします。

<続く>

次回はこちら





この記事が参加している募集

熟成下書き

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?