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どうする団塊ジュニア世代(その八)<マッカーサー三原則と団塊世代>


サイボーグ009

敗戦後の第一次ベビーブームにより誕生した世代は「団塊世代」と呼ばれ、戦後日本の復興に大きな影響を与えました。

「団塊世代」は文化的、思想的な部分で共通しているという特徴を有しており、この特徴こそが戦後日本復興の大きな要因であると考えます。

私は戦後日本を早急に復興せさるため、何者かが恣意的に第一次ベビーブーマーを団塊化(以下『団塊生産計画』)させたのではと推察します。

あくまで今までとは別の角度から捉えた個人的な見解です。
団塊Jr.世代が好きそうなネタを織り交ぜながら、脱線しまくりで進めていきますので、ホラ話と思って読んで下さい。

前回はGHQによる占領計画の第1弾として憲法改正が進められたという話が始まりました。


物語はまだまだ続きますが、作中に団塊世代を作り出す素地が沢山登場します。
特に『マッカーサー三原則』
総司令官が意味なく、このお題を出したとは思えません。
そこら辺を踏まえ、引き続き物語にお付き合い下さい。

時は遡り1946年。
(前回同様ら完全にフィクションであり、実在の人物や団体などとは関係のありようもありません)

加藤法制局部長は、重大なミッションの為、大日生命館に向かっている。
「しかし驚いたな。あの三原則には完全に意表を突かれた」
加藤が驚いてるのは、いきなり作っていたことでは無く、その内容である。

①天皇制継続
②戦争放棄
③封建制廃止

「戦争放棄は覚悟していた。しかし天皇制継続とは驚いた」
加藤は天皇制廃止を阻止するために、何ヶ月も苦労していたのだ。
「そして封建制廃止だ。日本は明治維新により、封建社会から近代に移行したはずだ」
加藤は真逆の意味なのか?なにかの趣旨返しなのか?疑心暗鬼になっていた。
そんなことを考えながら、スペシャルチーム部屋のドアをノックする。

ドアを開けたのはリーダーのリチャードだ。
「徹夜明けにすいません。ずいぶん静かですね。仮眠中ですか?」
リーダーは両腕を腰に当て微笑みながら答えた。
「寝た」「むしろ熟睡した」
きょとんとしている加藤にリーダーは続ける。
「昨晩、徹夜だとか言って作業を始めようとしたんだけどさー」
「よく考えたら全員、アメリカの憲法さえもよく分からなくて」
「決起集会だみたいな感じになって、乾杯して、盛り上がって」
何とくなく結論が読めている加藤が一応、確認する。
「盛り上がって?」
間髪入れず、被せ気味にリーダー言い放つ。
「寝た」「むしろ熟睡した」
表情から血の気が引いた加藤は葛藤している。
「この人達、ど素人の集まりじゃないか」
「ワンチャン、見た目は若いけど、全員何かの特殊教育を受けていて、サイボーグ009みたいなスペック揃いで、しかもそれが25人だから、憲法なんて10日なんか掛からないとか言ったりして・・・・」
加藤の頭の中にありとあらゆる観測的希望のワードが出てきては消えたが、最終的には観念してリーダーに問うた。
「それで皆さまはどちらに」
リーダーは常に爽やかだ。
「そんなの、決まっているでしょ。」
「調べる時は図書館でしょ」

日比谷図書館戦争

MSK25最年少で女性通訳のシロータは、アメリカ憲法を探しに日比谷図書館に来ている。

「去年まで敵だった国の書物なんてあるのかしら」
憲法の知識は社会の教科書程度しか無かった彼女は途方に暮れていた。
書物を片っ端に読んでも内容の大半は、墨が塗られていた。
「日本の子供達はラクガキとイタズラが大好きなのね」と、図書館を行き詰まり、うろうろする彼女を呼び止める声が聞こえた。

「何かお困りですか?」
怒られると振り向くと60歳前後の紳士がいた。
紳士が、この図書館の主のような面持ちで彼女に尋ねる。
「終戦直後なのに。法律のレポート作成かな。さっきから何人もの若者がアメリカの憲法を探しているが、君もそのクチかい?」
シロータは女性だからと軽く見られないよう、胸を張って答える。
「私、この国の新しい憲法を作っているの」

その刹那、図書館中に響きわたるような大きな笑い声を上げる。
続けて初老の男性は優しい目でシロータに話しだす。
「お嬢ちゃん。面白いことを言い出すね。気にいったよ。」
「私は名前は米森だ。一番奥の部屋に世界中の法律が所蔵されている。誰でも入れる部屋では無いが、私の名前を言えば入れる様にしてあげる。」
「仕事も無く退屈にしているので、大体、この図書館に居る。困ったらここに来たら良い」
シロータは紳士に礼をして奥へ部屋へ走って行った。

コピペの真意

再び場所を大日生命館にあるMSK部屋に移す。
図書館から戻ってきたメンバー達が各々の成果物を発表し合っていた。
そんな中、「出来だぞー」という声が聞こえてきた。
前文担当のコッシー中佐だ。
「憲法前文は憲法全体の道じるべとなる超重要な部分だ。それを初日で作るとは、不謹慎にも程がある」
加藤はそう思いコッシー中佐に問いただすと、芸術肌でオタク気質の彼は、そんなの簡単だという感じで話を始めた。
「今日、図書館で運よくアメリカ合衆国憲法を見つけてね。初めて前文を読んだんだけど気に入ってね。」
「どういう事?」
加藤は尋ねる。
「アメリカ合衆国憲法の前文をマッカーサー三原則に合うように、コピペしながら日本風にアレンジしてね。我ながら明文になったよ。」

「コピペ」とは、他の文章や画像から必要部分の写しをとり、別の場所に貼り付けることを表す俗語である。

「総司令官が言っていたコピペとはそういう意味でだったのか」
今更ながら頭を抱える加藤に対して、居合わせていたGHQ民政局長のヒューストンは説明する。
「断行する時は短い期限で、テンパった方がいいんだ。日本でも火事場のナントカと言うだろ、いくら考えても結局、ファーストインプレッションがベストと言うこと多い。つまりタイムイズマネー、コスパなんだ。」
「しかし素人軍団というのは如何なものか」
加藤も食い下がる。
ヒューストンは加藤を指差しながら持論をとなえる。
「最初は公職追放を逃れた反体制の人間だけで、憲法を変えさせようとした。しかしどうだ。いつまで待っても変えられないじゃ無いか」
「結局、日本人は日本人なんだ。」
「ならば何のバイアスが効いてない素人の方が本質が見えるという事だ」
「特に今回は国民主権の思想に基づいて、国民が政府に法を守らせる民定憲法だ。こんな異質な憲法はまともに考えても出来上がらない」
「内容を根本的にリセットするには、同じ民族では困難だという事だ」
加藤はまだ納得いかない。
「でもさすがにコピペは無いのでは」
MSK25からボスと呼ばれる彼は諭すように返答する。
「コピペが一番効率的で本質を捉えているんだ」
「君たちが大事に守ろうとしている憲法もプロイセンのコピーだろ」
「本質は変わらない。歴史は繰り返すんだ。」
「その点をしっかりと考えてもう一度、マッカーサー三原則について考えるんだな」

この物語のように憲法は法律に精通していない25人のGHQ民政局員が9日で作成した説が有力である。
次回は「マッカーサー三原則」の真意について掘り下げていきます。
<続く>





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