見出し画像

「脳卒中患者の熱はなぜ長引くの!?」

こんにちは!てつです!

このノートでは専門学校時代の同級生3人と日々感じたことや勉強したことを発信していくアカウントです。

四年目の経験からお話しすることもあるので何かご意見ありましたらコメント残していただけると嬉しいです。

いきなりですが、、、

臨床でよくこんな場面はありませんか?

先輩:「~さん、血圧落ち着いてきて覚醒も良くなってきたね!そろそろ離床進められそう?」

後輩:「まだ38.0で発熱があって起こせなそうです。…カルテでDrが誤嚥性肺炎や尿路感染は否定的って記載してて血液データでも炎症反応は落ち着いているんですけど、熱源が不明で…」

先輩:「損傷部位にもよるけど、もしかしたら中枢性熱かもね!」

後輩:「中枢性熱!?」

というわけで、
私は急性期のリハビリテーションを経験している中でこんな会話を聞いたことがあります。

中枢性熱とは何なのか、一緒に見ていきましょう!

中枢性熱ってなに?

体の中心部や核心である脳や内臓の温度が通常よりも高い状態です。

視床下部・脳幹部・頸髄などの病変で出現すると言われていて、亀山らは脳出血に高体温例が多いと述べています。

機序として
「脳室内に入った血液中の血小板などが分解してセロトニンが遊離し、それが視床下部を刺激することや、障害部における好中球細胞の浸潤による
無菌性髄膜炎などが関与する可能性を挙げています。」
※セロトニン:神経伝達物質の一種、視床下部・延髄などの部位に多く存在。

脳卒中ガイドラインでは、
脳卒中急性期の中枢性高熱は転帰不良の因子とされています。

ここで
「発熱と機能予後の関連性を研究した報告」を
一緒に見ていきましょう。

対象:急性期脳卒中176名(入院時mRS≧3)を除く116名

発熱定義:37.0°以上

発熱状況:24時間以内(24H体温)と1週間(1w体温)の最高体温(腋窩測定)

機能予後:退院時mRS≦2を予後良好、mRS≧3を予後不良

↓↓↓ 結果
24H体温:発熱62名(47%)→予後良好29名(47%) 予後不良33名(53%)

1w体温:発熱90名(76%)→予後良好39名(43%) 予後不良51名(56%)


結果として、急性期脳卒中では、24時間以内の発熱は50%未満であったが、7日間以内の発熱は70%以上と高頻度で認めた。
これらから、24時間以内の最高体温では機能予後に有意な差はみられず、1週間以内の最高体温が急性期病院退院時の機能予後を予測する因子とあることが示され、発熱状況を把握することが重要であると考えられる。

臨床では

体温度数にも異なりますが、「熱があるから離床しない」という考えは違うと思っています。

ならどうゆう時に離床を進めていくのか?

まずリハビリ中止基準(38°以上で離床中止)、患者自身の訴えや全体像、カルテからの情報(解熱剤の使用有無、朝・夜間帯の様子、飲水・食事摂取量など)を把握した中で離床を進めていくことが多いです。

その日のみの離床だけでなく、数日試みて経過観察していくことも運動負荷量の設定という観点からも重要です。

本稿は以上です!明日からの臨床で活かしていきましょう!
介入後は必ずクーリングとNsに状態報告を忘れずに!

急性期脳卒中の発熱と機能予後の関連性について:益田 善光

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?