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変わるということ

研究室の本棚の向かい。
これが私の定位置。


研究室に行くと、なぜかいつも教授とは向かい合わずに、本に向かって教授と話す。
学部の頃からだからもう10年近くそうしてることになる。
その間、多少の出入りはあったけど、本たちは変わることなくそこにあった。


この前、久しぶりに研究室にお邪魔した。
休学中なのもあったからずいぶん時間が空いた。
この1,2年でいろんなことが変わった。

あれだけ楽しくやりがいを感じていた(なにより自信があった)研究がつらくなった。
鬱になったのをきっかけに、これまでやってこなかった自分と向き合うようになった。
そして働き始めた。細々と研究を続けながら。

わたしのフェーズも変わったし年月もたった。
当たり前だけれど人は変わるものよね。
だから、その日の教授との会話は、これまでとはずいぶん変わった、ように思えた。
これまで見ていたものは何だったのだろうって思うほど。


不思議な感覚だった。
10年前と変わらない部屋で、変わらない本たちを前に、同じ人と話してるのに、全然違っていた。
変わらないものがあるからこそ、変わるものが見える。
これぞ無常。古典文学でいわれる無常観ってやつが身に染みた瞬間だった。


恥ずかしながら自分の幼さゆえに、変わるのは寂しいなと思ってしまう自分がいる。怖いと感じる自分がいる。

けれど、ここまできたら流れに身を任せてみようと思う。
思い切ってこの大河に飛び込んで、その先で出会ったものを受け入れようと思う。
寂しくピリッとした日だった。

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