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ピアノとレッスンと先生②

 ピアノの M 先生は、小学生6年生から中学生にかけての頃に習っていました。レッスン内容も少しずつ濃くなっていった時期です。
バッハのインベンションでは、楽譜に”第一主題”など注意以外の書き込みが増えてきて、うむむ、と心の中で唸りつつ楽譜を見つめていました。

モーツァルトやドビュッシーなども弾いていましたが、私は、湯山昭作曲の”お菓子の世界”という曲集が好きでした。シュークリームやバウムクーヘン、甘納豆などなど、タイトル通りお菓子の名前をイメージされた曲が20数曲並んでいます。フランス音楽の様な和音や、時にはジャズの様なリズムも出てきて、楽しさ満載。曲集の一番最後は、”お菓子の行進曲”というタイトルで、掲載されている曲全てがちょっとずつ出てきて、さながらお菓子のつまみ食い状態。結構長い曲なのですが、私はこれが大好きで、今でも時折気晴らしに弾いており、つまみ食いで満腹?な一曲です。

 中学一年生のレッスンの時に、なぜか将来についての話になりました。
先生;よしこちゃん、ピアノで音大行く?
私;ピアノでは行きません。
母;(空気を読んだのか?)この子はフルートが好きなんです。
先生;あら、フルートの先生知ってるよ。紹介しようか?

ピアノ ”では” って他にあるのか?と思われそうですが何もない。
この時、真っ先に頭に浮かんだのは ”私、ピアノで行くほどのレベル違うで。。。”  でした。ピアノで音大=レッスンに更に時間を費やす…と浮かび、のらりくらり弾いている私は、内心 ”無理無理無理無理” (イヤとも読んでもらって良いです)でした。
しかも、当時入っていた吹奏楽部ではクラリネット担当。フルートはジャンケンに負けて、空きのあったクラリネットになり、それはそれで楽しく吹いていました。
母は、フルートになれなかった私が悔しがっていたのを覚えていたのかもしれませんが、この会話の流れでフルートを出してきた母は、動物的カンとしか言いようがない。

もっとも我が家の家系に、音楽はおろか芸術関係は誰ひとりおらず、音大に進学するということがどういうことなのか、あまりきちんと理解していなかったかもしれません。。
私は記憶にないのですが、前述の先生との会話の後、さすがに母は楽器購入を含め、いろんな事が過ったのか、”本当にフルートを習うかどうかよく考えなさい”と言ったそうです。で、一週間程考えた後に私は ”フルートを習う” と母に宣言したそうです。
…ホントにこのことを全く覚えておらず、大人になってから母に聞いて ”へー” と思ったのでした。
かくして、私のフルートへの第一歩は、ここから始まりました。

フルートを習って半年程の頃、フルートの先生が「大学からじゃなくても高校の音楽科に行くこともありだよ。レッスンやソルフェージュ※も全部学校でしてくれるよ。」と言って下さったこともあり、勧められるままに受験をすることにしました。
そして、ピアノに関しては、しばらくそのまま M 先生のレッスンを受けていたのですが、受験対策として、ソルフェージュの先生をご紹介頂き、その奥様 R先生にピアノのレッスンを受けることになりました。

中学三年生になる前の春休み、初めて R 先生の前でピアノを弾いたら
「あらぁ、これはあかんわ」と言われ、それまで6年間習っていた私のピアノは通用しないことが判明。R 先生は、大学の音楽科の講師でもあるので、私のへなちょこピアノを約一年かけて、受験できるレベルにご指導下さいました。
私はいざという時の気弱な部分は変わらず、弾いている最中にちょっと苦手な箇所が近づいてくると、そこを弾くか弾かないかぐらいのところで、フッと手を止めてしまうことがありました。その様子を見てR先生は、「アンタは目の前で電車が発車しかけてたら諦めるんやな?」と仰るので、普段の自分を思い浮かべて、「はい…」と答えたら、「諦めるの⁈」と驚かれたことがありました。”そうかぁ目の前の電車には必ず乗らなアカンのか…”と、吞気に思っていました。

 R先生に習って約一年後、無事高校の音楽科に合格しました。R先生は「音楽も勉強も優秀な成績やったみたいね。」と喜んで下さいました。
ひとまず、目の前の電車に乗ったには違いありません。

…続く

※ソルフェージュ・・・楽譜に書いてあることを理解し演奏に結び付ける為
           の必須科目。聴音(音を聴き取って五線譜に書き写
           す)や視唱(リズム音程などをドレミで正しく歌う)
           楽典(楽譜の表記やルールを学ぶ)があります。







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