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【詩】月夜の手紙

わたしのポストは
湖の中

配達員は
向こう岸から
手紙を葦舟に乗せて
送り出す

葦舟は
月の道を
滑るように辿り

あなたからの言葉はそうして
届く

今夜の
風はどこを吹いているのか
雲はどこを流れているのか

静かな月夜でないと
あなたの言葉は届かない

鎖編みの糸を
指に絡めたまま、
目を閉じ
耳を澄まし

わたしの心も
葦舟のように
頼りなげに震える

やがて、また、雨が零れる
心が震えると
なぜ、溢れてしまうのか

湖面に漂う
葦舟に
濡れかかると

あなたの言葉は流れ落ちる

あなたの言葉を溶かした
わたしの湖は
哀しみの色を増し

迷子になった葦舟の中
真っ白まっさらになった
手紙に

わたしは
月から手を伸ばす




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