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【詩】満月の夜のスカボローフェア + 「note創作大賞」参加作品ハードボイルドの世界へのご招待

満月の夜に
スカボローフェアを聴きながら

胸の中を静かに満たしていくものに
心は揺らぐ

輝く月は
風に流される雲の隙間から
視線を投げかけ

わたしをいざな

パセリ、セージ、ローズマリー、タイム

呪文を唱えながら
緑の露に
足指を染め

パセリ、セージ、ローズマリー、タイム

呪文のとばりを降ろし
月の影が生み出すあわいの世に
聖なる結界を結ぶ

あわいの世は
ただ、在ることが
そのままの意味になり

パセリ、セージ、ローズマリー、タイム

緑の息吹の呪文に結ばれた
結界の中で

誓いもちぎりほどかれると
わたしは
ただ、わたしという存在になり
月の眼差しに
くっきりとした姿を映し出す




「note創作大賞」参加作品
ハードボイルドの世界へのご招待


noterのネリケシさんの記事で取り上げられた
スカボローフェア

身にまとわりついたものが
ひとつひとつ剥がされていくような
旋律を
言葉であらわしてみました。

さて、毎朝(ときどき夜も)、さまざまなジャンルの音楽の世界に誘ってくれるネリケシさん、
今、note創作大賞ミステリー小説部門に、
ハードボイルドで挑戦中。

眠らない街・新宿で
ハンドルを握るタクシードライバーの真山。
孤独を身に染み込ませ、
何かを諦めたような日々の中
同僚の大野の失踪を知り、
真山の日常は塗り替わる。

大野の一人娘千尋にも影が忍び寄る中
真山と千尋は
どんな真実にたどりつくのか。

作者のネリケシさん自身が
探偵を経てタクシードライバーだった経験を、存分に注ぎ込み
細かなところに
さりげなく描かれる
リアリティさは憎いばかり。

ハードボイルドに相応しい
硬質な文体は
あなたを捉えて離さず、
さり気なく置かれた布石に
導かれ
もう、あなたは謎解きから逃れられない。

どうぞ、あなたも
ネリケシさんが描き出す
ハードボイルドの世界をお楽しみください。

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