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地域リハビリとインセンティブ:要支援者編

 市町村の事業運営における新たな挑戦と成果は、多くの関心を集めています。今回の記事では、日常生活総合支援事業の運営方法と、その中での私の経験に焦点を当てます。臨時雇用職員としての業務から得た洞察、そして成果連動型民間委託方式(PFS)を用いた事例についても触れます。これらの事例が読者の皆様にとって、意欲と行動を促すきっかけとなれば幸いです。

臨時雇用職員としての経験
 2017年4月から3年間、私は大阪府内のある市町村で臨時雇用職員として勤務し、日常生活総合支援事業に携わりました。この業務では、基本チェックリスト該当者や要支援1・2の方々のアセスメントを行い、地域包括支援センターの職員やデイサービスの職員にプログラムの提案や定期評価を行い、短期間でのデイサービスから卒業を支援しました。さらに、デイサービス卒業後の新たな通いの場を探し、そこへ繋げることが役割でした。当時28歳だった私は、このような業務に携わることに大変興奮していました。

業務の興味深い点
 特に興味深かったのは、市内の包括職員や通所介護事業所が集まる事業説明会での発表経験や、デイサービス卒業後に通える施設の調査などです。これらの活動は作業療法学会でも発表し、私たちがまとめた報告書や事業紹介が市の高齢者福祉支援のマニュアルにも掲載されました。

事業成果と改善の必要性
 初年度の事業結果は、相談者数や目標達成者数が目標値を下回るというスタートでした。しかし、私が携わった市での事業規模は、他市で実施されていた同様の事業に比べて数倍小さかったにもかかわらず、成果はそれらと比較しても同等レベルの結果が得られていました。この事実が、市からの良好な評価につながりました。しかし、プロジェクトの2年目は、初年度の成果を下回り、机に座っているだけの時間が増えるという状況に直面しました。3年目には、初年度の成果をわずかに上回る程度には回復しましたが、依然として目標値には届かず、満足のいく成果とは言えない結果に終わりました。

 改善策として、病院への積極的な営業や、近隣の大学との連携を検討しましたが、臨時雇用職員としての立場上、結果に対する責任感や行動力が不足していたと感じています。

成果連動型民間委託方式(PFS)の発見
 
大学進学のために退職後、私は驚くべき事例に出会いました。それは、私が携わっていた事業を成果連動型民間委託方式(PFS)で行っている他市の企業の事例です。この方式では、事業に対して企業への裁量が与えられますが、成果が出なければ市からの満額の報酬は支払われません。私がこの方式を知っていたら、行動と成果へのマインドセットが変わっていたかもしれません。

 今回の記事で取り上げるのは、地域社会における福祉事業の革新的な取り組みを示す2つの事例です。一つ目は九州地方を拠点に事業展開を行う「くまもと健康支援研究所」で、もう一つの事例は、島根県雲南市を拠点に活動する「光プロジェクト株式会社」です。彼らの事業は、地域社会における高齢者支援のあり方に新しい視点を提供しています。これらの事例を通じて、読者の皆様に新たな知見やインスピレーションを提供できれば幸いです。


1.株式会社くまもと健康支援研究所

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