見出し画像

人間と会話するバケモノの話(2024.5/8の日記)

 アルバイトの日。後輩との雑談で「先輩って大学よりバイトの方がたくさん来てるんスね」と言われた。それまで意識しなかったけど、確かに週の過半数をバイトに費やしている。それって大丈夫なのか?と思った。突然何かが心配になってきた。

 アルバイトの後輩と大学の話をした。周りの人が頑張っていないように見えて腹が立ってくるけど、実際自分だって甘いだけで部屋に帰って何もしないのを良くないと分かってもやめないんだよね、と話した。大学のカリキュラムの物足りなさに悩んでいるみたいだった。自分の将来のことをしっかり考えていて格好良いと思った。

 この後輩は私が格好つけて理屈っぽく話すのを受け入れて、上手く解釈しわかりやすく言い直してくれるところがあってかなり好きだ。私に都合が良い話し相手だから好きなのではなくて、そういう思考ができる賢さにぐっとくる。

 人に教科書を貸している授業が明日にあって、まだ返ってきていないという話をしてくれた。連絡するほど親しくないから、いつ返すというやりとりは無いらしい。教科書は他の友達を写真で撮るなりして備えることができるとしたうえで、後輩は「私からは絶対に返してって言いません」と言った。「向こうから返されたら、『ううん!まあちょっと困ったけどね~』って笑顔で言ってやるんです」と言った。格好良すぎる。
 自分が腹を立てている不快感をそのまま相手に伝えるのではなく、自分が善意100%であるようにふるまって、相手に申し訳なさを押しつけて蓄積させるということだった。本当に格好良い。後輩のこういうところが好き。
 基本的に頼まれたら断れない人らしく、「できる人って見栄を張りたいんスよ」と言っていた。結局優しい人なんだなと思った。優しくない人はそんなことできないから。

 久しぶりに会った友人としばらく話した。私が頻繁に話すのは大学の友人二人とバイト先の人くらいだから、この友人との十数分の会話が新鮮に感じた。生きた心地がした。「久しぶりに人間と話してる気分だ」と伝えた。いつも話す友人を化け物だと思った。もちろん比喩としてだけど。交友関係を絞って依存してしまう危険を感じた。こうやって他の人と話すまで、自分の思考や話し方の癖が固まっていることに気がつかなかったから。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?